『田中美南コール』を聞きたくて。汗を惜しまず奪った3点目「女子サッカーの未来を背負って、また見に来てもらえるために」
2023年04月30日 16時31分サッカーダイジェストWeb

仙台L戦で2得点の田中。写真:西森彰
ゴールデンウィークの初日となった4月29日、WEリーグ第15節でINAC神戸レオネッサはマイナビ仙台レディースをノエビアスタジアム神戸に迎えた。
この日のゲームはナイトマッチで行なわれ、前節まで勝点3差で前を行く三菱重工浦和レッズレディースは、今節はノジマステラ神奈川相模原を2-0で下していた。J1(神戸対湘南)とのダブルヘッダーという特殊条件もあり、プレッシャーのかかる状況だったが、I神戸は素晴らしい内容のゲームを見せた。
開始6分、仙台Lの宮澤ひなたに引っかけられて、あわやのシーンを作られたが、ここはGK山下杏也加がゴールを許さず、難を逃れる。終わってから振り返ると、これが仙台Lに許した最大の決定機で、その後はペースを握った。
立ち上がりの時間帯に、最終ライン裏へボールを入れて、相手にプレッシャーをかけるのはI神戸の常套手段だが、この日は、これが有効に機能した。
理由は、シーズン半ばでコンディションを崩していた田中美南が、完全復調していたからだ。まず10分、中盤に下りていた田中は、守屋都弥からのパスをダイレクトで前方のスペースへ返して、チャンスを拡大する。リターンを受けた守屋の鋭いクロスが逆サイドへ流れる間に、田中は長い距離を走ってゴール前へ潜り込む。ボールを回収した伊藤美紀の折り返しにヘッドで合わせて先制ゴールを奪った。
一気に流れを掴んだI神戸は、右サイドでは守屋のクロスで好機を作り、左サイドでは、直近の試合を「受けるまでは良かったが、そこからのつなぎがあまり良くなかった」と自省していた伊藤が高い位置で、再三ボールに絡み、37分には追加点を決める。ここでも脇阪麗奈のスペースへのボールを、しっかり走ってキープした田中が起点になっていた。
8日間で3戦という強行日程の初戦で、昼の浦和Lと同じ2得点という最低限のノルマは確保。2-0で省エネのゲーム回しで締めるという選択肢もあったが、I神戸は追加点を奪うために汗を惜しまなかった。
「浦和に勝っても得失点差が関わってくる部分があると思うし、自分ももっともっと取れるところがあると思うし、最後にそこでやっておけばと後悔しないように」(田中)。リードに満足せず、再三、ゴールへ迫る田中へ、スタンドから声援が飛ぶ。
I神戸に移籍後、新型コロナの影響で無観客試合や、制限付きの観戦ルールが設けられ、昨季までスタンドから田中コールはなかった。「優勝したけれど、アイナック神戸サポーターの『田中美南コール』って聞いていないんですよ。どんな感じなんだろう?」とこれを楽しみにしていた田中。
88分、愛川陽菜からのパスを受けると、自分の名前を連呼するホーム側のゴール裏へ向かって、ドリブルを開始する。そして、仙台Lのディフェンダーたちと駆け引きをしながら、シュートコースを作り出して右足を振りぬく。これがダメ押しとなる3点目となった。
最後までゴールを目ざしたI神戸と田中の戦いぶりに、生粋のサポーターなら「首位との得失点差を縮めた価値」、一見の観客なら「女子サッカーらしいひたむきさ」を見出しただろう。
「本当にいろいろな方が(このダブルヘッダー開催を)作り上げてくれた。自分たちは女子サッカーの未来を背負っているということを意識して、また見に来てもらえるために、勝利を目ざす。そこは一緒です。良い結果を見せることができたので、それは良かった」(田中)。
自分たちの試合が始まる前に行なわれたJ1の試合を見ながら、田中は「お客さん、けっこうな数、入っているなあ。どれくらい(自分たちのゲームに)残ってくれるかなあ」という気持ちでいたという。この日の観客数は3,012人。J1の首位を行く神戸の試合を見て、そのままノエビアスタジアムに残った観客も含まれていた。
3,012人という数字には「うーん……。正直、もっと入ってほしかったという気持ちはあります」と感想を漏らした田中。「けれど、こういう機会がなかったら、これだけ入っていなかったでしょうし、今後つながることがあれば。こういう機会を設けてくれたヴィッセル神戸やチームの方々の尽力のおかげ」と関係者への謝意を述べ、最後に「そこに感謝して、自分たちはこれからやるべきことをやるだけだと思います」。
首位・浦和Lとの勝点3差は変わらず。得失点差はひとつ縮めて3。ゴールデンウィーク3連戦で白星を並べて、5月14日の直接対決に臨めるか。
取材・文●西森彰(フリーライター)
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