【U-20代表|最新序列】“最強布陣”で掲げる目標は世界一! 精鋭21名の組み合わせは無限大だ

【U-20代表|最新序列】“最強布陣”で掲げる目標は世界一! 精鋭21名の組み合わせは無限大だ

布陣パターン①4-2-3-1



 組み合わせは無限大。21名で起用法の幅を最大化できる陣容でアルゼンチンに乗り込む。

 5月20日に幕を開けるU-20ワールドカップ。21日にセネガルとの初戦を迎えるU-20日本代表は、8日に20名のメンバーを発表した。残る1人も9日に確定。福田師王(ボルシアMG)の招集が決まり、21名が揃った。

 海外組は過去最多の4名。3月のU-20アジアカップを戦った髙橋仁胡(バルセロナ)に加え、チェイス・アンリ(シュツットガルト)、福井太智(バイエルン)、福田がリスト入りした。U-20アジア杯でキャプテンを務めた松木玖生(FC東京)といった主力組も順当に選出されており、“最強布陣”で初の世界一を目ざす。

 メンバー選考で最も難しかったのは、フィールドプレーヤー18名だろう。「一番大きかったのは、(GK3名を除いた)18名のポジションバランス。スペシャリストを何人選ぶのかも含めて悩みました」。冨樫剛一監督の言葉からも、その苦悩が伺える、
 
 23名で戦ったU-20アジア杯とは異なり、U-20W杯には21名で挑む。23名であれば各ポジションに2人ずつ割り振っても問題ないが、21名の場合は複数のポジションに対応できる人材がより求められる。

 しかも、グループステージは中2日の過密日程で怪我のリスクもつきまとう。その先のノックアウトステージを見据えても、限られた人数であらゆる状況に対応しなければならない。本職の選手が不在のシチュエーションは過去の大会でも起こっており、有事に備える必要がある。

 CB、左SB、FWはスペシャリストが顔を揃えた一方で、それ以外のポジションがポリバレントな能力を持つ選手で構成されたのはそのためだ。U-20アジア杯後のリーグ戦で結果を残していた選手が選外になったのは、18名の枠が影響したのは間違いない。

 そうした状況下で迎えるU-20W杯。4-2-3-1、4-4-2、3-4-2-1など、U-20アジア杯や昨年9月の同予選と同様に様々なシステムを使い分けるべく、複数のポジションをハイレベルにこなせる選手が顔を揃えた。

【PHOTO】ついに決定!U-20ワールドカップアルゼンチンに挑むU-20日本代表を一挙紹介!

 チーム編成で注目すべきポイントは3つある。1つ目がボランチの組み合わせだ。いずれのシステムでも2人が起用されるポジションの人材は豊富。松木が軸となるが、状況に応じて選手をピッチに送り出せるのは心強い。豊富な運動量と高い技術を持つ福井は、渡独後も順調にセカンドチームで出場機会を得ており、松木の相棒には打ってつけのプレーヤーだ。

 攻守のバランスを考えれば、高い戦術眼で右SBでもプレー可能な山根陸(横浜)を配置する策もある。攻撃的に振る舞うのであれば、2列目と左SBにも対応できるレフティの安部大晴(長崎)や、創造性に富んだパスでチャンスを生み出す佐野航大(岡山)を置いても面白い。

 状況によっては松木が1列前に入る可能性もあるが、誰が組んでもクオリティは落ちないだろう。タイトな日程で進行する今大会はターンオーバーの必要性もあり、連戦を乗り切るだけの力はあるはずだ。

 2つ目は右SBの起用法だ。チーム立ち上げ当初からレギュラーが定まらず、左SBが主戦場の中野伸哉(鳥栖)が務めるケースも多かった。しかし、その中野がコンディションを崩し、U-20アジア杯に続き、U-20W杯のメンバーからも漏れた。

 今大会も本職の選手が一人もいない状況でアルゼンチンに向かうが、現状ではU-20アジア杯同様に、サイドハーフの屋敷優成(大分)が右SBを務める可能性が高い。アジアの戦いで経験値を積んでおり、起用に目処が立っているのは明るい材料だ。
 
 そうは言っても層が薄いポジションであるのは明白。アクシデントやターンオーバーを考えれば、屋敷だけで乗り切るのは不可能だろう。

 そこで期待したいのが、CBが本職の高井幸大(川崎)とボランチの山根だ。高井は192センチの高さが武器で、4月中旬以降はクラブでもCBのレギュラーとしてプレー。SBにも対応できる柔軟性を持ち合わせており、U-20アジア杯でも右サイドで起用されている。

 右SBに高井が入れば、選手を替えずに3バックへ移行できるメリットもあり、フィジカルで勝負してくるアタッカーにも対応しやすい。

 一方、山根はゲームメイクに秀でたプレーメーカーだが、今季は所属クラブで右SBにも挑戦している。特に4月に入ってからは出場機会を増やしており、新たなポジションにも慣れてきた。ビルドアップではボールを前に運んで攻撃の出発点になれる。
 

 3つ目はストライカーのポジションだ。相手の特性やシステムによって選手の使い分けが見込まれているものの、裏抜けと決定力が魅力の坂本一彩(岡山)が怪我明けで、福田はU-20代表初参戦でコンビネーションに不安がある。

 二人の状態を考えれば、ポストワークと空中戦の強さが売りの熊田直紀(FC東京)がメインキャストだろう。だが、福田がフィットすれば、起用法の幅が広がる。空中戦に強く、裏への抜け出しを得意としており、こぼれ球に詰めるのも上手い。
 
 普段から海外勢と対峙しており、屈強なCBとのバトルに慣れているのもプラスの要素。体重も渡独後に3キロ増えて、2メートル近い選手との競り合いにも負けていない。短時間でも結果を残せるタイプで攻撃の切り札として起用できるだけに、周囲とのコンビネーション構築が攻撃のカギになるはずだ。

 セネガルとの初戦まであと11日しかない。限られた時間で冨樫監督は選手たちをいかに組み合わせていくのか。「私たちはアジア・ナンバーワンにはなれなかった。だけど、世界一という目標は下げない」と言い切る指揮官のもと、世界を驚かせる準備を進めていく。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

 

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