【U-22代表|最新序列】主軸不在の欧州遠征はアピールのチャンス! 注目は最終ライン、大学組や海外組の小田&松岡にも期待感
2023年06月02日 15時57分サッカーダイジェストWeb

U-22日本代表、欧州遠征メンバーの最新序列。(C)SOCCER DIGEST
今回の欧州遠征に参加する選手たちにとっては、序列を覆すうえでまたとないチャンスだ。
日本サッカー協会(JFA)は6月1日、U-22日本代表の欧州遠征メンバーを発表した。今回の活動は4日から行なわれ、10日にU-22イングランド代表、14日にU-22オランダ代表との対戦が予定されている。
いずれの相手も6月9日に開幕するU-21欧州選手権(U-21の名目で23歳以下の選手で争われ、パリ五輪の最終予選を兼ねる大会)を控えており、本気モードの相手と対戦できるのは間違いない。イングランド戦が非公開で実施されるのも、相手の要望があったからだ。
しかし、今回のメンバーリストを見ると、顔ぶれが今までと少し異なる。A代表歴を持つ選手やJクラブで出場機会を得ている常連組が数名いないからだ。
今回の代表戦はインターナショナルマッチウィークの期間外で行なわれる。そのため、Jクラブで出場機会を得ている選手を呼べなかった。そうした理由で、3月に初めてA代表に招集された右SB半田陸(G大阪)、昨年7月のE-1選手権でフル代表デビューを果たしたFW細谷真大(柏)などがリストに入っていない。
主軸組不在の遠征で、イングランドやオランダに対してアピールがきれば、大岩剛監督が考えるベストメンバーにも影響を及ぼす。特に、初めて海外遠征に参加する4名を含めた大学生組には、大きなチャンスとなる。今後はU-20日本代表組の参戦も予想されるため、選手たちにとってターニングポイントになる可能性は高い。
現状では、今季に入ってU-22世代の主軸組は出場機会を減らしており、チーム力の底上げのためには新たな選手の台頭が必須。指揮官も大きな期待を寄せている。
「新しく入った選手も我々のスタイルや原則を理解したうえでグループに入ってきてほしい。その一歩目として非常に強い国と試合ができる。いろんな緊張感、スピード、強度、スタイルを理解しながら、自分の特徴を出してもらう。その要求は今回もしっかりやっていきたい」
主軸となる選手が数名不在のなか、迎える今回の2連戦。現時点で序列をつけるのは難しいが、最も注目したいポジションは最終ラインだ。
序列の一番手には代表の常連組を並べたが、それ以外の4選手は全て大学生。左SB今野息吹(法政大/G大阪加入内定)は攻撃力が高いレフティで、初招集された今年3月の欧州遠征では、不完全燃焼に終わっただけに巻き返しを図りたい。
初の欧州遠征参加組の根本健太(流通経済大)は貴重な左利きのCBで、大学に入って SBに転向した関根大輝(拓殖大/柏加入内定)は187センチの大型プレーヤー。G大阪の育成組織出身で、来年からC大阪でプレーする右SB奥田勇斗(桃山学院大)も虎視眈々とポジション奪取の機会を狙う。Jクラブに所属する選手たちの牙城を崩し、どのようなプレーを見せるのか注目だ。
また、久しぶりに代表活動に参加する海外組のFW小田裕太郎(ハーツ)とMF松岡大起(グレミオ・ノヴォリゾンチーノ)も期待値が高い。
小田は今冬にスコットランド1部のハーツに移籍。怪我に悩まされていたが、12試合に出場し、最終節では初ゴールをマークしている。身体の強さを生かした局面打開力は世代屈指のレベル。最前線だけではなく、両サイドでも生きる点も魅力的だ。
「パフォーマンスが良くて今の立ち位置にいて、しっかりとハードな環境の中でプレーもできている。スタッフも現地で彼の状況を確認した」
大岩監督もポジティブな印象を持っており、昨年11月の欧州遠征以来となる代表活動で存在感を示せるか楽しみだ。
一方、アンカーやインサイドハーフが主戦場となる松岡は、今冬からブラジル2部で技を磨く。異例の南米挑戦で何を掴み、一体どんな成長を遂げているのか。期待を込めつつ、指揮官はこう話す。
「非常に良い状態でプレーをしている。映像などで確認しても日本にはないサッカーをしているので、そのなかでいま彼が何をできるのか。日本にいた時から何が成長しているのか。こちら側も今回の活動で見極めたい」
チームの立ち上げから大岩ジャパンの常連として、ピッチ内外で重要な役割を担ってきた。しかし、プレー面では課題も残し、今年3月の欧州遠征ではメンバーから漏れている。自らの存在価値を証明するうえで、今回の欧州遠征は重要な戦いになるはずだ。
好調・町田でアピールを続けるMF平河悠や、MF重見柾斗(福岡大/福岡加入内定)、U-22日本代表では思うように活躍ができていないMF西川潤(鳥栖)らにとっても、今回の遠征はアピールするうえで絶好の機会となるだろう。
今年9月には、パリ五輪の出場権を懸けたU-23アジアカップの予選がバーレーンで行なわれる。残された期間は短いだけに、今回の遠征は選手たちにとって勝負どころになるはずだ。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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