「チーム内MVPは間違いなくタケ」久保建英の加入1年目をソシエダ番記者はどう評価したのか「ラ・リーガ全体でも最優秀若手選手」【現地発】

「チーム内MVPは間違いなくタケ」久保建英の加入1年目をソシエダ番記者はどう評価したのか「ラ・リーガ全体でも最優秀若手選手」【現地発】

セビージャとの最終戦でも違いを作り出した久保。(C)Getty Images



 ラ・リーガ最終節、セビージャをホームに迎えたレアル・ソシエダは2-1で勝利し、シーズンに別れを告げた。この白星で、今シーズンの通算勝利数を30の大台に乗せた。

 今シーズンをA、B、C、Dの4段階で評価すれば、間違いなく「A」だ。確かに、コパ・デル・レイとヨーロッパリーグは残念な結果に終わった。しかしコパの準々決勝敗退に追い込んだバルセロナはラ・リーガのチャンピオンチームだし、ELのラウンド16でその軍門に下ったローマも決勝に進出した。クジ運に恵まれなかったのは事実だ。

 一方、個人レベルでチーム内MVPを選出するのであれば、これまたタケ・クボ(久保建英)で間違いない。ラ・リーガ全体を見渡しても、今シーズンの最優秀若手選手というステータスをセルタのガブリ・ベイガと分け合った。

 シーズン終盤ともなれば、目標を持っているチームとないチームでは戦い方が大きく異なる。ソシエダは前節に4位を確定させた。一方のセビージャは4日前にELを制覇。この一戦は両チームにとって消化試合的な位置づけだったが、しかし向上心の塊のタケには、そのような思考が存在するはずがなかった。

【動画】翻弄された相手DFは転倒!久保の超絶ヒールタッチ
 ポジションは最近定着している4-3-3の右サイド。セビージャはディエゴ・オルミゴが対峙したが、この試合がトップチームデビュー戦だった20歳には荷が重すぎた。タケは格の違いを見せつけ、たまらずホセ・ルイス・メンディリバル監督は、ハーフタイムで交代させた。

 最初のチャンスは30分。自陣深くでボールを拾うと、ドリブルで一気に相手ゴール前まで持ち込み、並走していたブライス・メンデスに横パスを送った。シュートは相手DFにクリアされたが、キレキレのドリブルを前に止めにかかったオルミゴは赤子のようにあしらわれた。

 さらに37分、イゴール・ズベルディアが前線へ縦パスを入れると、ブライスがスルーし、そのボールが通り抜けた先にいたのがタケだった。カットインしてからのシュートは、ネマニャ・グデリにクリアされたが、シーズンを通して見せてきたように、この日も、2人の息の合ったプレーが光った。

【動画】「すごいキレ」「読めなくて頭こんがらがる」と驚嘆の声!久保の60メートルぶち抜きドリブル
 その数分後、今度は遠目からシュートを放つも、ボールはクロスバーの上を大きく越えていった。この日、最も観客が沸いたのは前半終了間際のプレーだった。後ろ向きでボールを受けに入ると、左足ヒールでそのままダイレクトでちょんと前方に蹴り出した。可哀そうなオルミゴは、完全に虚を突かれ、転倒させられただけだった。

 エンドが変わった後半、最も惜しかったのは64分の場面だ。前半ほど攻勢をかけられない時間帯が続いていた中、ソシエダの流れるようなパスワークが炸裂。ボックス内でブライスからパスを受けたタケはニアの狭いコースを射抜こうとしたが、シュートは枠を捉えることができなかった。
 
 結局、タケは71分にお役御免で交代。すぐ前方で待ち構えていたにもかかわらず、パスを出さなかったアンドニ・ゴロサベルに不服そうなジェスチャーを見せ、その続けざまカウンターを繰り出そうとしたところで、よく分からない理由でオフサイドを取られた後だった。“不機嫌モード“は表情にも表れていたが、チームメイトからなだめられると取り直し、代わって投入されたモハメド=アリ・チョと力強く抱き合った。

 最後までタケはタケらしかった。この向上心をもってすれば、新たなるモチベーションをたぎらせ来シーズンに臨むのは間違いないだろう。さらに頼もしいのは、チームと同様に、タケもまた伸びしろが十分に残されていることだ。

 番記者として、再びその成長を見守ることができるのが今から楽しみだ。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸

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