U-17矢田龍之介の類まれなセンス。「イメージ通り」の先制点アシスト。成長の伸びしろは「要所で潰し切る、スプリントで戻り切る」

U-17矢田龍之介の類まれなセンス。「イメージ通り」の先制点アシスト。成長の伸びしろは「要所で潰し切る、スプリントで戻り切る」

インド戦はボランチで先発した矢田。攻守両面でタフに戦った。(C)2023 Asian Football Confederation (AFC)



[U-17アジア杯]日本 8-4 インド/6月23日/ラジャマンガラ・スタジアム

 タイで行なわれているU-17アジアカップはグループステージが終わり、インドに8-4で勝利した日本が、D組の1位で準々決勝に進出。11月にインドネシアで開催されることが発表されたU-17ワールドカップの出場権をかけて、日本はオーストラリアと対戦する。

 個性的なタレントを揃える“06ジャパン”だが、ボランチのポジションから一際存在感を放つのが、清水エスパルスユースのMF矢田龍之介だ。北海道千歳市の出身で、埼玉県に移ると小中学校では1FC川越水上公園に所属した。

 そこから清水に才能を評価されて加入。今年の鹿児島キャンプでトップチームに帯同し、練習試合でゴールを決めるなど、印象的な活躍を見せた。

 3月にはスペイン1部マジョルカのU-19に練習参加して帰国すると、16歳にしてルヴァンカップの湘南戦、川崎戦に出場するなど、メキメキと頭角を現してきた。1FC川越水上公園の1つ上には、U-19日本代表の早川隼平(浦和ユース)がいる。

「ジュンペイは何度か帰省して、一緒にサッカーとかするんですけど、凄いっすよ。プロで出続けて、やっぱり刺激になりますし、僕も追い付いて追い越さないといけない」

――矢田選手もルヴァンには出ているけども、やっぱり早くリーグ戦に絡みたい?

「はい。もう、それは間違いないです」
 
 そう語る矢田は、インド戦で4-4-2のボランチでスタメン起用されると、13分、機を見た攻め上がりから、柴田翔太郎(川崎U-18)とのパス交換を成立させて右サイドから抉り、マイナス気味の折り返しで川村楽人(東京Vユース)の豪快な先制点をお膳立てした。
【動画】矢田の絶妙クロスから川村が豪快弾!
「イメージ通りというか。あの辺の位置まで行くと、相手のセンターバックは中を閉めるので。あそこがポケットになるなと。良い形でパスをもらって、冷静にマイナスのスペースに流し込めたかなと思います」

 そこから日本は高い位置のボール奪取で追加点に繋げたが、相手のビルドアップに対してコンパクトな守備を実現させたのは、矢田と宮川大輝(G大阪ユース)のプレスだった。

「前でカットできると、そのあとに速攻できて、ゴールに繋がったのはあるんですけど。そこを剥がされたあとの対応とか、蹴られたあとのセカンドボールの回収が、まだまだ課題かなと」
 
 攻撃面では惜しいミドルシュートを放ったシーンも。その1つが、CKを取り、セットプレーの流れからの4点目にもつながった。矢田本人は「悔しいです。ミドルを決めたかったので。積極的に狙えたのは良かったですけど」と振り返るが、攻め上がりのセンスは特別なものを感じさせる

「相手と味方を見ながら、空いた時に出る。それが無理なら斜め下にスライドするという判断を自分の中でしています」

 そうした持ち味はインド戦でも随所に見せていたが、やはり「後半、すぐに相手を勢いづかせてしまったので。その勢いを跳ね返せなかった」と語るように、インドに4失点して、試合を難しくしてしまったことは、ボランチの1人としても反省材料と感じているようだ。
 
「何度か球際で勝てた部分もありましたけど、まだまだ全然、勝ててなかった。要所、要所で潰し切るだったり、スプリントで戻り切るっていう後半の体力とか強度はまだまだ」

 そう課題を認識する矢田にとって、守備面を向上させることが、そのまま清水でのリーグ戦出場にもつながってくるはず。まずはオーストラリア戦に勝利し、世界の切符を勝ち取ること。

 そして願わくば、アジア王者になって清水に戻ることが望まれる。2年後には早川とともにU-20W杯の舞台に立つ可能性もあるが、まずはU-17の舞台でさらに輝くことを期待したい。

取材・文●河治良幸

【試合情報】
U-17アジアカップ準々決勝
日本代表 vs.オーストラリア代表
日時:6月26日(月)19時キックオフ
解説:水沼貴史
実況:福田浩大
配信:DAZNにて独占ライブ配信

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