澤穂希もしみじみ。「世界一がどれだけ凄かったか」。殿堂入りの“2011なでしこジャパン”にはもう一度、大仕事を期待したい

澤穂希もしみじみ。「世界一がどれだけ凄かったか」。殿堂入りの“2011なでしこジャパン”にはもう一度、大仕事を期待したい

掲額式典に出席した“2011なでしこJ”の面々。女子W杯で初優勝という偉業は、多くの人々に感動を与えた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)



 9月10日、日本サッカー協会は、第19回日本サッカー殿堂掲額式典を開催した。

 大澤英雄氏、大仁邦彌氏、セルジオ越後氏、高橋陽一氏らとともに、「FIFA女子ワールドカップドイツ2011 なでしこジャパン」が殿堂入りすることになった。

 当日の早朝、日本代表が国際親善試合でドイツ代表を4-1で破ったこともあり、式典でもところどころで、この話題について触れられた。

 会場になったヴォルフスブルクは、12年前、なでしこジャパンが女子W杯2連覇中のドイツ女子代表を準々決勝で下した地でもある。

 式典で登壇した丸山桂里奈氏は、その準々決勝で決勝ゴールを奪った殊勲者だ。「ゴールに向かって照明の光が伸びていて、そのイメージどおりに」蹴った結果と、明かした。

 また、ゴールキーパーは山郷のぞみ氏、福元美穂氏、海堀あゆみ氏の3人が登壇した。佐々木則夫監督(当時/現・日本サッカー協会女子委員長)は、大会当時、前田信弘ゴールキーパーコーチも含めた4人の結束力を讃えていた。そのゴールキーパーチームを代表して、ゴールマウスに立った海堀氏は、決勝のPK戦を含めて大活躍を見せた。

「先輩ふたりの後押しがあり、その奥に、ここ(ドイツ)に来られなかった人たちの想いがあった。いろんな人たちの想いや女子サッカーの歴史があって、あの舞台に立ったので、そのプレッシャーに負けないように頑張っていました」と振り返った。
 
 澤穂希氏は「ここにいるメンバーを見てのとおり、非常に個性的な選手が多いなか、チームのために一人ひとりが練習から考えてやってくれていた。家族と同じような存在で、優勝するにはここしかないというか、このチームだったら優勝できると思っていたし、この選手たちと一緒に優勝したいと思っていました」と語った。

 左CKにヒールで巧みに合わせた決勝延長での同点ゴールを振り返る。

「スポーツ選手で言うところの『ゾーン』に入っていて、宮間(あや)選手からのボールが、本当にスローで見えた。まさか本当に入るとは思っていなかったんですけれども『あの1球に、みんなの気持ちが入っていたな』と思います」

【PHOTO】岩渕真奈が涙と笑顔の引退会見で、現役生活に別れ告げる。澤穂希がサプライズ登場も!

 女子W杯ドイツ大会の優勝から12年を経て、今回の殿堂入りを、澤氏は大きな名誉として受け止めている。

「殿堂入りは本当に凄いこと。60歳を超えてからでないと、もらえないイメージがあったなかで、こうしてチームとしていただけたということに、非常にびっくりすると同時に、大変、嬉しく思います。当時も優勝して、日本中のみなさんが『世界一は凄い』って、おっしゃってくださりましたが、最近、女子ワールドカップが行なわれたこと、こういう式典もあって、より一層、世界一がどれだけ凄かったかというのを、改めて自分自身も感じています」

 この日は、福元同様、現役を続ける岩清水梓、近賀ゆかりも式典に参加し、一足早く、個人として掲額されていた佐々木則夫委員長とともに、喜びを分かち合った。現役選手はプレーを通じて、後輩選手や観客に様々なものを与えているが、引退したメンバーも、最近は様々な場所で、女子サッカーの普及、発展に尽力している。

 澤氏自身も、2日前は岩渕真奈氏の引退会見に出席し、式典前日は「JFA Magical Field Inspired by Disney ファミリーサッカーフェスティバル“First Touch Premium”in 千葉」で、初めてサッカーボールに触れる少女たちのイベントに参加していた。
 
「海堀がWEリーグを盛り上げるため、一所懸命にやっていますし、私もできることは限られてしまいますが、ディズニーのことだったり、普及のことだったり、一人でも多くの子どもたちが夢を見て、なでしこジャパンに入りたいという夢を持ってもらえるように」と澤氏。

 なでしこジャパン同様に殿堂入りを果たしたセルジオ越後氏は、自身が行なった普及活動の成果を、プレーする選手だけでなく、試合を見に来る観客を育てることにつながったと語ったが、これは女子サッカー界にも大きなヒントになる。

 選手数を増やすだけでなく、将来のファンの獲得まで含めて、2011年組に、もう一度、大仕事を期待したい。

取材・文●西森彰(フリーライター)

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