圧巻6連勝の森保Jにちらつく不安要素。「史上最強」の評価は逆に危険? 好スタート→頭打ちで停滞期という負のサイクルは避けたい

圧巻6連勝の森保Jにちらつく不安要素。「史上最強」の評価は逆に危険? 好スタート→頭打ちで停滞期という負のサイクルは避けたい

チュニジアを下して怒涛の6連勝を達成。今の森保Jは向かうところ敵なしだが...。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



 今年3月に新体制が発足し、6・9・10月と4回の活動を終えた第二次森保ジャパン。ここまで8試合を消化し、6勝1分1敗という好成績を収めている。

 6月のエルサルバドル戦以降は6連勝。この6試合で計24ゴールと圧倒的な攻撃力を示しており、11月から始まる2026年北中米ワールドカップのアジア2次予選、来年1~2月に控えるアジアカップに向けて、不安など、まったくないようにも思えてくる。

 しかしながら、過去の歴史を振り返ると、新チーム発足直後にロケットスタートを切った日本代表は、途中で頭打ちになり、停滞期に直面するという嫌な傾向がある。

 顕著な例と言えるのが、2014年ブラジルW杯に向けて2010年秋に立ち上がったザックジャパンだ。

 2010年南アフリカW杯16強の立役者となった本田圭佑、長友佑都(FC東京)、長谷部誠(フランクフルト)、川島永嗣らを軸に据えたチームは、いきなりアルゼンチンを撃破。2011年アジアカップも優勝し、今と同じように「史上最強」と称された。
 
 香川真司(C大阪)や内田篤人、吉田麻也(LAギャラクシー)らも欧州で実績を積み上げ、確かにW杯予選までは危なげない戦いを見せていた。

 だが、2013年にコンフェデレーションズカップで惨敗してから急激に低迷。そこから大迫勇也や山口蛍(ともに神戸)ら若い世代を抜擢したが、本大会までには間に合わなかった。メンバー固定のマイナス面が如実に出たのが、この時のチームだったと言える。

 翻って今の森保ジャパンを見ると、当時より選手層がかなり厚くなっている分、スタメンが毎回、同じというわけではない。実際、三笘薫(ブライトン)や鎌田大地(ラツィオ)、堂安律(フライブルク)ら2022年カタールW杯の主力級が不在だった10月シリーズでは、久保建英(レアル・ソシエダ)や旗手怜央(セルティック)が確実に穴を埋めており、2列目のアタッカーは選び放題だ。

 DF陣に関しても、冨安健洋(アーセナル)と中山雄太(ハダ―スフィールド)の復帰で一気に安定感が増した。板倉滉(ボルシアMG)、谷口彰悟(アル・ラーヤン)も計算できるし、町田浩樹(ユニオンSG)も高さと左利きという点で、今後も使える局面が広がっていくだろう。

【動画】チュニジア戦、古橋&伊東の鮮烈フィニッシュ

 とはいえ、気がかりな部分がないとは言えないのも事実。その筆頭がボランチだ。森保一監督は17日のチュニジア戦で遠藤航(リバプール)・守田英正(スポルティング)の鉄板コンビを起用。彼らの連係は過去にないほど光ったうえ、個々が相手をはがして展開する力を高めており、2人が組んだらこれ以上の安心感はないというほどの存在感を示した。

 公式戦前最後のテストの場ということもあり、指揮官としては最強コンビを確認しておきたかったのだろうが、思惑以上の収穫があったはずだ。

 それはそれで確かに前向きなことだが、万が一、遠藤にアクシデントが起きた時には計算が大きく狂うことになる。守田と田中碧(デュッセルドルフ)は川崎フロンターレ時代からの積み重ねがあるから、いざという時の連係は大丈夫だろうが、田中自身が所属先で苦しんでいる分、心配だ。

 それ以外の伊藤敦樹(浦和)や川辺駿(スタンダール・リエージュ)は守田と組む機会がこれまで皆無と言っても過言ではない。遠藤不在の緊急時は守田が軸を担うことになるだけに、その形もしっかり試しておきたかったところ。それをしないまま公式戦に向かうのは不安も拭えない。
 
 絶対的主軸のいないFWとGKも、今の日本にとっての弱点ではないか。

 FWは13日のカナダ戦でポストプレーヤーとして新境地を開拓した浅野拓磨(ボーフム)が序列のトップに踊り出たと見られるが、彼も今季のブンデスリーガではまだ2点しかゴールを奪っていない。

 大舞台での勝負強さが頭抜けている浅野は、肝心なところでは結果を出してくれるのだろうが、もう少し数字を伸ばすべき。

 それ以外の候補者である古橋亨梧・前田大然(ともにセルティック)、上田綺世(フェイエノールト)も得点・起点となる動き・守備といった全体的な部分で高いスタンダードを示し続けることができていない。かつての大迫のように、ここから一気に抜け出してくる存在が必要だろう。

 GKも10月参戦組の大迫敬介(広島)と鈴木彩艶(シント=トロイデン)、怪我で離脱中の中村航輔(ポルティモネンセ)が今後のベースになりそうだが、まだまだ横一線の印象だ。

 第一次森保ジャパンでは、権田修一(清水)が最初から最後まで軸を担い続け、最終ラインとの連係を深めていったが、このままだとそういうことがしづらい。試合ごとに選手を入れ替えるというアイデアもなくはないが、果たして森保監督はどのような起用法を見せていくのか。11月以降の動向を慎重に見守っていくしかない。

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 このように手薄なポジションに厚みを加えることは必須の課題。それに加えて若い世代の台頭も求められてくる。3月以降、指揮官はパリ五輪世代の人材を何人か招集したが、定着できているのは鈴木彩艶だけ。その彼もチュニジア戦ではミスを犯している。

 将来性と潜在能力を買われて抜擢され続けると見られるが、実力で追い上げを見せる若手がもっともっと出てこないと、このチームもどこかで頭打ちになってしまいかねない。

 パリ五輪世代は全体に小粒という見方もあるが、タレント豊富な東京五輪世代を越えていくのは難しいかもしれない。ただ、上記のように不足気味のFWなど一部のポジションは参入の余地があるのではないか。
 
 細谷真大(柏)などは18日のU-22アメリカ戦でも個で戦えることを証明した模様で、今後に向けての期待が高まった。そういった面々がW杯予選やアジアカップに参戦し、現メンバーに危機感を与えてこそ、日本はもっと強くなる。

 2026年W杯で本気で頂点を目ざすなら、穴のないチームを作るべく、マイナスポイントを一つひとつ潰していくこと。それを指揮官には強く求めたいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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