静岡学園のクオリティの前に完敗も、ストライカーの矜持を感じさせた今治東期待の2年生FW

静岡学園のクオリティの前に完敗も、ストライカーの矜持を感じさせた今治東期待の2年生FW

後半7分のゴールで小山尚紀(3年)は3戦連発。守備陣も3試合連続完封で、“静学”が勝利を収めた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)



 優勝候補の面目躍如だろう。1月3日の全国高校サッカー選手権3回戦、静岡学園が初出場校の今治東を2−0で下し、5大会ぶりとなるベスト8進出を決めた。静岡県勢が準々決勝まで駒を進めるのも5年ぶりだ。ただ、当事者たちに浮かれた様子はない。

 王国・静岡の代表としての「役目もある」と口にする川口修監督が「5年前の自分たちに並んだだけ」と勝って兜の緒を締めれば、本分の守備のみならず楔のパスも光った主将のCB阿部健人(3年)は「先輩たちの期待に応えられるように。自分たちの代は最後の大会なので悔いのないように」と落ち着いた口ぶりで次戦への決意を語った。

 静岡学園にとって決してイージーな試合にはならなかった。前半4分にトップ下の浅倉廉(3年)が幸先よく先制点を奪ったものの、川口監督が「特に前半は相手がパワーを出してきたので、良いリズムに乗れなかった」と振り返るように、今治東の鋭い攻撃に何度か肝を冷やした。それでも防戦一方とはならずに、阿部を起点に左右両サイドからチャンスを創出。しっかりと手数を出していき、相手に主導権を握らせなかった。

 1点のリードを保ったまま、ハーフタイムを迎えた静岡学園はこのインターバルできっちり修正する。相手の運動量がやや落ちた影響もあったにせよ、後半7分に欲しかった追加点をゲット。高速ドリブルでピッチを斜めに切り裂いた鹿島内定の右ウイング、松村優太(3年)から左ウイングの小山尚紀(3年)にボールが渡ると、この14番も個人技で魅せる。ドリブルで3人を置き去りにして、最後はGKとの1対1を冷静に制した。

 その後は今治東に付け入る隙をほとんど与えずに、静岡学園が危なげない試合運びで3戦連続となる完封勝利。再三に渡ってドリブル突破を図った松村&小山の打開力、マルセイユルーレットも繰り出した浅倉の技巧、出足の鋭い寄せやボールを運ぶ力が際立ったボランチ・井堀二昭(3年)のダイナミズムに、何度となく感嘆交じりの歓声が上がっていたように、静学が誇る個々のクオリティーは掛け値なしに素晴らしかった。

 一方で、今治東にも高い個人能力を見せつけた選手がいた。前日の2回戦で2ゴールを奪ったFWP太聖(2年)だ。確度の高いポストプレーで前線の起点となれば、36分にはスピードを活かした突破から決定機を生み出し、その2分後には相手の2CB間を破ってフィニッシュまで持ち込んだ。後半13分に放った強烈な枠内シュートも印象深い。

 だが、いずれもゴールという結果には結び付けられなかった。試合後、Pは目を真っ赤にしながら、「自分に3つのシュートチャンスがあって、それを全部決めていたら勝てていた」と悔やんでいたが、静学の守備陣を相手に彼の力が決して通用していなかったわけではない。足りなかったのは最後のプレー精度だけだ。

 今治東の谷謙吾監督が「(選手たちの)成長の通過点になる試合だったと思う」と振り返るように、この一戦で味わった悔しさはかならずPを一回りも二回りも成長させるはずだ。前日の取材時を含め、言葉の端々からストライカーの矜持を感じさせた2年生FWが、はたして今後どんな成長を見せるか。それが楽しみでならない。

取材・文●遠藤孝輔(フリーライター)

【選手権PHOTO】静岡学園2−0今治東|3戦連続無失点&3戦連続小山がゴールを決め静岡学園が5大会ぶりの8強へ!!

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