西野タイランドの快進撃はどこまで続く!?土曜のサウジ戦は2万5000人の観衆で埋め尽くされるはず

【U-23アジア選手権】西野朗氏が監督を務めるタイが快進撃 日本は1勝もできず敗退

記事まとめ

  • U-23アジア選手権で、優勝候補の一角と目されていた日本代表が、1勝も出来ずに敗退
  • タイ代表はベスト8へ勝ち上がり、開催国タイでも驚きをもって報道されている
  • A代表と監督を兼務する西野朗氏の采配は冴えていたといいシステムがはまっているよう

西野タイランドの快進撃はどこまで続く!?土曜のサウジ戦は2万5000人の観衆で埋め尽くされるはず

西野タイランドの快進撃はどこまで続く!?土曜のサウジ戦は2万5000人の観衆で埋め尽くされるはず

A代表との兼任でU-23タイ代表を率いる西野監督。東京五輪出場まで、あと2勝だ。(C) Getty Images



 優勝候補の一角と目されていた日本代表が、1勝も出来ずに去ったU-23アジア選手権。開催国タイでも驚きをもって報道されたが、それ以上の衝撃となったのがタイ代表の躍進だ。1勝1分け1敗の勝点4、グループAを2位突破し、ベスト8へ勝ち上がって見せたのである。

 初戦(バーレーン戦)は5-0の大勝。“17歳”FWスパナットが2点を奪取しラッキーボーイとなれば、プレーイングタイムが僅か5分のMFジャルンサックも2得点とスーパーサブまで誕生しての快勝。正直、出来過ぎだとは思うが、この試合で得た“勝点3”と“5得点”が以後の戦いを優位に進める材料となったことは明らかだった。

 2戦目(オーストラリア戦)は先制するも、逆転を許して力負け(1-2)。敗戦を引きずりモチベーション低下を不安視していた3戦目(イラク戦)は、その心配とは裏腹に魂の宿った試合を演じてみせた。6分、VAR判定から得たPKを、この日は先発出場となったMFジャルンサックがきっちりと決めて先制しこのまま前半を折り返す。

 しかし後半開始早々の49分に自陣ゴール前での混戦から失点を喫してしまう。イラクへ傾き掛けた流れを食い止めるべく、A代表にも名を連ねるMFスパチョークとFWスパチャイを同時投入し、前線でのキープ力を高め阻止し、勝たなければ先がないイラクの猛攻にも耐えての引き分け。同大会3度目の出場で初となるベスト8進出を決め、東京オリンピック出場への夢を繋いだ。


 ちょうど1年前の同日、アジアカップUAE大会を戦ったA代表がグループステージを突破、実に47年ぶりとなるノックアウトステージ進出を決めた日と重なった。以後、1月14日は、タイサッカー界にとって語り継がれるだろう記念日となったことだろう。

 グループステージを通して、西野の采配は冴えていた。兼務するA代表と同じ“4―2―3―1”をベースに、相手ボールを奪取してから攻撃へ転じ攻めきるスピードセット、西野タイランドの代名詞と言うべきシステムがはまっている。負けが許されないイラク戦、スタメンを7名入れ替えて奇襲を狙ったりと選手起用も光っている。また自国開催という地の利も大きな要素のひとつだろう。そして何よりベンチの一体感を感じてならない。カタールワールドカップ2次予選を戦うA代表よりも良好な空気を感じられることが頼もしいではないか。
 
 しかし課題がない訳ではない。多くの得点チャンスを作りだしてはいるがフィニッシュの精度を欠いているし、前半は優位に試合を運べても、後半になると体力面も含めパフォーマンスが低下してしまう。

 勝ち上がりが決定したイラク戦後の喜びようは、あたかも優勝したかのような絵面だった。無理もないのだが、目標へ向けた戦いは尚も続く。94年アメリカ・ワールドカップ アジア最終予選、浮足立っていたチームを叱咤鼓舞したラモス瑠偉のような、冷静な状況判断が出来る者が居るのか心配だ。

 そして準々決勝の相手は、B組1位・サウジアラビア代表に決まった。会場は「聖地」ラジャマンガラ競技場から、バンコク都の北側に隣接するパトゥムターニー県にあるタマサート競技場へと変わる。


 入場者数が1000人前後の入り試合が多かったグループステージで、タイ代表の試合には桁違いのファン(7076人/2万2352人/1万5342人)が集い彼らを支えた。次戦は土曜日夕方の開催、2万5000人収容の箱は青一色に染まるはずだ。

 ホスト国のノックアウトステージ進出は、大会を盛り上げるには持って来いのトピックとなる。主催者であるAFCは、早々に去っていった日本代表のことなど気にせずとも、タイ代表の勝ち上がりに安堵し、続く快進撃を期待しているに違いない。漢の真剣勝負はここからだ。(文中敬称略)

取材・文●佐々木裕介

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