たった3人の補強でも大丈夫? 3年計画での優勝を掲げる浦和レッズ、その未来は明るいか?

たった3人の補強でも大丈夫? 3年計画での優勝を掲げる浦和レッズ、その未来は明るいか?

昨季13得点を奪った興梠は、苦境に陥ったチームの中で孤軍奮闘を見せた。今季はチームを上位に導けるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



「今年の会見はなんとも寂しい」
 1月9日開かれた浦和レッズ新加入会見を取材するメディアの多くがつぶやいた。

 今季、加入したのはJ2新潟から加入のFWレオナルド、大分から期限付き移籍から復帰したMF伊藤涼太郎。「柏木陽介の後継者」とも言われる青森山田高から新加入のルーキー武田英寿の3人。武田は高校サッカー選手権出場のため欠席。2人だけの会見となった。

 昨季、浦和はACL準優勝ながらリーグ14位と低迷。これにクラブは新強化体制を発表し、3年計画でのリーグ優勝を掲げた。立て直しが迫られるなか、報道ではクラブはオフ中、他チームの主力級の若手の獲得を進めたがことごとく失敗したとあった。

「得点力不足」
「攻守における粘りの無さ」
「進まぬ世代交代」
「相次ぐ監督交代による一定しない戦術」
 問題は山積だ。20年シーズンが始まる前に早くも暗澹たる思いを抱くサポーターがいるだろうが、果たしてそうなのか?

 昨年末、土田尚史スポーツダイレクター(以下・SD)が打ち出した戦い方の方針は何も目新しいことではない。会見で語られた「2点取られても3点取り返すサッカー」は森孝慈監督やミハイロ・ペトロヴィッチ監督などが敷いた攻撃スタイルだ。

「ゴールに向かって前進し続けるサッカー」は犬飼基昭代表が提唱した“速く・激しく・外連味なく”に通じる。つまりは原点回帰。


 加えて陣容を見れば西川周作、興梠慎三ら30代のベテランをはじめ、長澤和輝、岩波拓也ら中堅組、東京五輪世代の橋岡大樹と選手層、年齢構成のバランスなどはJ屈指であることは間違いない。となれば、問題はクラブの掲げる方針をよく理解し、大槻毅監督や何より選手たちが戦うか、戦わないかにある。冷静にその戦力を見れば、残留争いに名を連ねるようなチームではないはずだ。必要以上に悲観することはない。

 この点について土田SD、大槻監督にそれぞれ考えを聞いてみた。

 土田SDは「現有戦力で同じ方向を向き、トライできれば良いチームは作れる」と断言。また大槻監督は例え話しでこう説明した。「水が8割入ったコップを見て、『8割も入っている』と言う人もいれば、『8割しか入っていない』と言う人もいる。このチームには水はある」と力強く語った。まるで禅問答のようだがこう解釈できる。たとえ大型補強をしても納得する人もいれば、まだまだと思う人もいる。また監督の仕事は与えられた戦力のなかで最大限やり繰りすることあり、「このチームには水はある」という言葉には、現在のチームにも出場機会は少なくとも戦力となる選手がいるという期待と確信が感じられる。
 


 こうした施政方針の表われか、大槻監督は始動日から紅白戦を実施。注目は昨季までの3-4-2-1から4-4-2に変更したこと。現在、沖縄での一次合宿でも継続されていることから今季は4-4-2の採用も視野に入れているようだ。ただ浦和と4バックは相性が悪く、ここ20年間での成功例は17年に2度目のACL優勝を果たした際、堀孝史監督が敷いた4-1-4-1くらいだろう。

 しかし今季、クラブが推し進める縦に速いサッカーの中で、それぞれの個の能力を最大限に生かすという点では案外、機能するかもしれない。両サイドバックには宇賀神友弥、山中亮輔、橋岡大樹、荻原拓也、岩武克弥と十分に人材は揃っている。前線は興梠、武藤雄樹、杉本健勇、武富孝介、ファブリシオ、レオナルドと調子と相手を見ながら、編成できる。一方、中盤が6枚から4枚に、センターバックが3枚から2枚と減るためポジション争いは激化。土田SDの言う目先の勝ちにこだわりすぎた戦いや采配は減り、まっとうな競争が生まれそうだ。

 捲土重来。新たに挑戦するクラブ、チームを後押しする言葉がある。昨季限りで浦和を退団。今季からJ2京都に加入した森脇良太が去り際に選手たちにこう語った。


「みんなが楽しまなければサポーターだって楽しめない。余計なことは考えず、とにかく楽しもう。みんなの未来は明るい」

 今年の浦和に待つのは、終わることのない“いばらの道”か。それとも“明るい未来”か。その答えは大槻監督、選手自身にかかっている。

取材・文●佐藤亮太(レッズプレス!!)

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