【横浜】「“けどね”がつく悔しさ」喜田拓也が語る優勝の舞台裏と2020年に向けた意気込み

【横浜】「“けどね”がつく悔しさ」喜田拓也が語る優勝の舞台裏と2020年に向けた意気込み

優勝後は多忙な日々を送り、菅官房長官への優勝報告で首相官邸を訪れることも。「なかなかできない体験をさせてもらいました」と振り返る。写真:徳原隆元



 自慢の『アタッキング・フットボール』で2019年シーズンのJ1リーグを制した横浜F・マリノス。15年ぶり4度目の栄冠を掴んだトリコロールで、不動のボランチとして攻守に絶大な存在感を放っていたのが、腕章を託された喜田拓也だ。

 育成組織から横浜一筋。誰もが認めるチームのバンディエラは、悲願のタイトルを奪取した昨季をどう振り返るのか。王者でありながらも「自分たちはチャレンジャー」というスタンスで挑む新シーズンに向けた意気込みも語ってもらった。

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――昨季は15年ぶり4度目のリーグ優勝を果たしました。

「優勝が決まった後の数日間は特に忙しい日々を送らせてもらい、優勝するってこういうことなんだと、またそこで実感できましたね。周りの反応も含めて、みんな待っていてくれたんだと思ったし、それだけ大きなことだった、と。

 でも、いつまでもそういう感情に浸ってもいられません。また新しいシーズンが始まるし、2019年は優勝したから、2020年も同じ結果を得られる保証なんてどこにもない。うまく切り替えて戦っていきたいです」

――キャプテンとして、喜田選手の貢献度は非常に高かったと思います。

「いろんなことを考えながら、やっていましたね。一選手としてもそうだし、キャプテンとしても、ひとりの人間としても。それで最後に優勝という結果に結びついたのは良かったけど、自分ひとりだけ頑張っていたかというと、まったくそうではないので。みんなの頑張りがあって優勝できた。仲間への信頼、みんなが信じ合って、支え合って、タイトルを掴むことができた。その成功体験は、かけがえのないものだと思っています」
 
――自分たちのサッカーを信じて、ブレずに貫いたことも、優勝の要因だったのではないでしょうか?

「2018年にアンジェ(・ポステコグルー)監督が就任して、ご存知のとおり、F・マリノスのサッカーはガラリと変わりましたよね」

――堅守を伝統としていたチームが、『アタッキング・フットボール』を掲げて、より攻撃を重視するようになりました。

「スタイルを大きく変える時は、すべてが思い通りにいくわけではありません。それは最初から覚悟はしていました。実際、2018年は残留争いに苦しみました。それでも2019年に優勝できたのは、苦しかった時期も自分たちのサッカーをブレずにやり通せたから。2019年だけ頑張ったから優勝できたわけでもない。2018年から積み上げてきたものがあるから優勝できたと思っています」

――優勝後に口にしていた『F・マリノスファミリー』というフレーズが印象的です。

「そのファミリーの中には、苦しんだ時に一緒に戦った選手たちもいるし、スタッフもいる。もっと遡れば、このクラブの歴史を作ってきた人たちがいる。そういう人たちへのリスペクトをこめて、ああいう表現になりました」

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――クラブに関わるすべての人の想いも背負って戦い抜いた。

「(2018年に)あれだけ苦しめば、他の道に行ったり、逃げたりっていう選択肢もあったと思います。でも、ボス(ポステコグルー監督)を中心に信じて疑わなかったし、もちろん簡単ではなかったけど、チームみんなで手を取り合って、鼓舞し合って、乗り越えたシーズンでした。難しかったけど、やり抜くことができた」

――その姿勢を貫くのは、簡単ではないと思います。不安もあったはずですが、覚悟を決めて、ブレずに戦えた理由は?

「みんなの中に、反骨心みたいなものがあったんじゃないですかね。スタイルを大きく変えた2018年は、周りからは、面白いサッカーをする“けどね”、良いサッカーをする“けどね”という評価だったと思うんですよ。その“けどね”がつく悔しさ。それは選手、監督、スタッフを含め、チームとして持っていたはずです。でも、僕たちは本気で優勝するつもりだったし、それはずっと言い続けてもいた。

 シーズン前に、F・マリノスが優勝すると予想した人は、限りなく少なかったと思います。2018年に残留争いに巻き込まれたチームだし、また苦しむだろうって。それは自然な見方かもしれないけど、自分たちは信じて疑わなかった。結果で見返せたのは、納得させられたのは、みんなの中で積み上げてきたものの成果だと思っています」
 
――2020年シーズンは「リーグ王者」として挑むことになります。チームとして久々となるACLの戦いも控えています。

「大前提として日程的にもハードになるし、移動だったり、環境だったり、厳しい部分は出てきます。ただ、そこで動じることなく、どっしりと構えて、多少のことでは崩れないような逞しい集団にまたしていきたいです。

 リーグではチャンピオンになりましたけど、ある意味、自分たちはチャンピオンだっていうスタンスやマインドはいらないと思う。自分たちはチャレンジャーだし、どの相手に対しても自分たちのサッカーで勝負するというチャレンジが、1試合1試合、続いていくだけ。1試合1試合勝っていかないことには、1日1日積み上げていかないことには、優勝なんてとうていあり得ない。またチャレンジの年が始まると思っているし、前年の結果は、関係ないわけではないけど、『自分たちはチャンピオンだ』っていう驕りはいらない。でも、自信にはしていい。そのバランスみたいなものは、うまくとっていきたいですね」
 

――楽しみですね。

「思い通りにいくことばかりではないはずで、でもそれは覚悟しているので。そういうことも含めて、チャンピオンになるってことだと思っていますし。臨機応変に、チームの変化も見ながら戦っていきたいです」

――新シーズンの喜田選手の活躍を支えるのがアディダスの『COPA(コパ)』になりますが、このキットを選んだ理由は?

「皮系が好きなんですが、フィット感も素晴らしいし、一番は蹴った時の感触ですね。パスとかボールコントロール時の感触が、自分のフィーリングに合っています。このコパが発売されてから、ずっと使用しています」

――スパイク選びで重視しているのは、どれだけ良い感触でボールを扱えるか。

「フィット感やタッチの感覚は大事にしています。良いスパイクかどうかは、パスやボールコントロールですぐ分かります。このコパは、まさにそういうスパイクですね」

●PROFILE●
きだ・たくや/1994年8月23日生まれ、神奈川県出身。170センチ・64キロ。北方SC―横浜プライマリ―横浜Jrユース―横浜ユース―横浜F・マリノス。J1通算131試合・2得点。J3通算10試合・1得点。戦術理解力に優れるボランチ。守備力を持ち味としているが、近年は展開力にも飛躍的な成長が見られ、チームではますます不可欠な存在に。昨季はキャプテンとして15年ぶり4度目のリーグ優勝に尽力した。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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