「クラブは不当に扱っている」パリSGの“アイドル”は、なぜ移籍を決断したのか?【現地発】

「クラブは不当に扱っている」パリSGの“アイドル”は、なぜ移籍を決断したのか?【現地発】

アトレティコ行きが有力視されているカバーニ。1月末までに移籍が成立するのか。 (C) Getty Images



 クラブ史上最多の198ゴールを叩き込んできたパリ・サンジェルマン(パリSG)のアイドル、エディンソン・カバーニが26日、リーグ・アン第21節のリール遠征不参加を志願。いよいよ移籍の可能性が高まってきた。

「マタドール」ことカバーニの契約は、2020年6月まで。本人は当初、契約を更新してパリに残りたいと思っていた。ところが新スポーツディレクターのレオナルドから一向に更新交渉の提案が来ず、本人も故障で戦線を離脱。その間に新加入のマウロ・イカルディに定位置を奪われてしまった。

 この結果、メディアは「カトル・ファンタスティック」(4人のファンタスティック)と命名されたネイマール、キリアン・エムバペ、イカルディ、アンヘル・ディ・マリアの話題で盛り上がるようになり、トーマス・トゥヘル監督も4人の同時起用を模索。サポーターからの人気は不変だったが、カバーニはいつしかバックアッパーになり下がっていた。

 この状況に屈辱感を募らせたカバーニは、ついに退団を決意し、移籍に向けて動き出した。そして、以前からカバーニを欲しがっていたディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリーが、ジエゴ・コスタの長欠でCF強化の必要に迫られているため、今冬のメルカートでこのウルグアイ代表FWを獲得すべく1000万ユーロ(約12億5000万円)のオファーをパリ側に提示したとされる。

 こうしたなか、レオナルドSDが、フランスカップのロリアン戦後に突如ミックスゾーンに登場。カバーニが退団したがっていること、アトレティコからオファーを受けたことを初めて認めたうえで、「だがオファーが選手の価値に見合っていない。耳を傾けているところだ」「クラブとしては手放したくないし、あのレベルのプレーヤーはそう見つからない」とぶちまけた。

 これを受けて、スペインのテレビ番組に出演したカバーニの父親が、「プレーするべき選手なのに、いま息子は1試合4〜6分しかプレーできていない。クラブは不当に扱っている」と批判。これで緊張は一気に高まった。

 カバーニの怪我はすでに完治しており、トレーニングも皆と同様にこなしている。普通なら6月を待てばフリーになり、新天地で多額の契約金をもらえるはず。「それなのにどうしても今冬に移籍したいというのは、本人が『何が何でもプレーしたい』と思っている証拠」(フランス紙『L’EQUIPE』のパリSG番ダミアン・ドゥゴール記者)と分析されている。

 対するクラブ側は、サポーターの逆鱗に触れないよう配慮する必要があること、もしイカルディが故障した場合はチャンピオンズ・リーグを戦うでCF不足に陥ること、夏にフリーで放出すれば一銭も入らないこと、などの諸事情を勘案しているとみられている。

 ただ、スペイン紙『MARCA』によれば、パリSGは3000万ユーロ(約37億5000万円)を要求する方向だという。これが事実上の放出拒否を意味するのか、それとも落としどころを考慮したうえで強気の値段設定をしているのかは、いまのところ不明だ。また、アトレティコは1500万ユーロ(約18億7500万円)までなら上積みする意向だとも報じられている。

 トゥヘル監督は、「エディはみなと一緒にトレーニングしたが、状況がスッキリしていない。リール戦に行けないのもその理由からだ。この状況は長いこと続いている。怪我をした時期もあったが、いまはもう問題ない。彼の状況は別のクラブ(アトレティコ)ともスッキリしていない」と認めた。「メルカートではよくあることで、私は穏やか」と付け加えたものの、正直、辟易としている様子だった。

 カバーニをめぐっては残留を望む声も多く、「俺に言わせれば、カトル・ファンタスティックとはネイマール&エムバペ&カバーニ&ディ・マリアだ! イカルディはファンタスティックには入らない。いまの4人はトロワ・ファンタスティック+1と言うべきだ!」(アナリストのジル・ファヴァール氏)といった意見もある。

 メルカート閉幕まで数日。ズラタン・イブラヒモビッチとの競争にも耐え、黙々とゴールを決め続けてきたパリのアイドルは、いよいよ花の都を去るのだろうか。

取材・文●結城麻里
texy by Marie YUUKI

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