「もう赤い血じゃなく、緑の血が…」浦和から移籍して5年目を迎える岡本拓也が湘南キャプテンに選ばれたワケ

「もう赤い血じゃなく、緑の血が…」浦和から移籍して5年目を迎える岡本拓也が湘南キャプテンに選ばれたワケ

今季からチームキャプテンを任されることになった岡本。湘南スタイルをさらに進化させていくと意気込む(写真は昨年の試合)。写真:田中研治



 パワハラ報道に揺れた2019年は、リーグ16位で終わり、プレーオフまで戦い抜いた末に、首の皮一枚でJ1残留を決めた。その湘南ベルマーレの今季のキャプテンに、DF岡本拓也が就任した。

 岡本によるとキャプテンへの打診があったのは始動日の1月10日、浮嶋敏監督から直接、受けたという。
「監督からは普段の練習の姿勢、チームメイトからの信頼の厚さから選んだと言われた。そうやって評価してもらえたことは嬉しいし、純粋に光栄に思う。自分としては新たなチャレンジだと思う」と前向きにとらえている。

 ただ本人も「キャプテンのキャラクターじゃない」と話すように、傍目から見ても意外な人選に感じた。岡本はチームをまとめ、引っ張るタイプではなく、黙々とプレーに邁進するタイプ。しかしクラブ・チームの状況を鑑みれば、岡本の主将就任は必然なのかもしれない。

 湘南は昨季から今季にかけ、選手が大幅に入れ替わった。今季、12年ぶりに古巣へ復帰したFW石原直樹をはじめ、MF福田晃斗、MF茨田陽生ら他チームのスタメン級が加入した一方、FW山ア凌吾、MF菊地俊介、GK秋元陽太、DF杉岡大暉ら多くの主力たちもチームを去った。

 そんななか、岡本は期限付き移籍を含め今季で5年目を迎える。連続して在籍5年を迎えるのは岡本と齊藤未月くらいだ。(※齊藤は15年に2種登録。16年プロ契約)そう考えると、チーム内ではかなりの古株であることが分かる。また岡本の浦和でのキャリアは、2種登録した2010年から数えて、約4シーズン半。今季、浦和での在籍期間を超えることになる。

 ただし、キャプテンに選ばれた理由は在籍年数の長さだけではない。
「(岡本は)立派なチームの支柱であり中心選手」と太鼓判を押す坂本紘司スポーツダイレクター(以下・SD)は、「最後まで諦めず戦い、最後まで走り続ける湘南スタイルを岡本は体現している。チームが大きく入れ替わるなか、‘湘南スタイル’の伝道師になってほしい」と期待を込めた。

 また浮嶋監督は「キャプテンはチームが一番大事にしているものを持っている選手にしたかった。チームにはアカデミー出身の選手もいるが、これまで中心としてやってきた選手のなかで、岡本が一番、湘南のDNAを持っている」と話した。
 
 坂本SD、浮嶋監督からの求められる役割について岡本は百も承知。
「毎年のようにチームを引っ張っていかなければならないと思っているが、今年は特に半分近く選手が入れ替わり、長く湘南にいた選手が抜けた。そのなかで、自分は湘南スタイルを知っているし、さらに進化させる役割がある」と話すとともに「キャプテンである前に自分のパフォーマンスを出さないと、キャプテンとしての説得力がなくなる」とレギュラー確保が最優先だ。

 今季の予想布陣は3-4-2-1。岡本のポジションは右サイドあるいは右センターバック。豊富な運動量。対人の強さ。果敢なオーバーラップ。時折見せる強烈なシュートが武器。ただ右サイドには快足MF古林将太、右センターバックに新加入DF大岩一貴らライバルがおり、気は抜けない。

 とはいえ、前述のように今季、湘南はチームをイチから作り直さなければならない。勝ったり、負けたりを繰り返しながら、最低限の目標となるJ1残留を決めることができるか。チームをまとめる岡本の役割は重い。

 その岡本には手本とするキャプテン像がある。それは浦和でキャプテンを務めた経験があるMF阿部勇樹。そして浦和OB鈴木啓太の姿だ。「2人は背中で引っ張るタイプのキャプテン。その背中を自分も見てきたから、できるだけ近づきたい」と話した。

「もう赤い血じゃなく、緑の血が流れているからね」と浮嶋監督。新生・湘南の主将・岡本拓也は湘南スタイルの伝道師となる。

取材・文●佐藤亮太(レッズプレス!!)

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