【三浦泰年の情熱地泰】年に一度の恐ろしい依頼…「Jリーグ順位予想」について考える

【三浦泰年の情熱地泰】年に一度の恐ろしい依頼…「Jリーグ順位予想」について考える

コリンチャンスU-23の沖縄キャンプに帯同し、Jクラブとのトレーニングマッチも行なった。気になる順位予想は2月13日の『サッカーダイジェスト』にて!



 サッカーダイジェストのWebコラムを始めて6年目になる。

 タイのチェンマイFCの監督に就任する前に頼まれ、まだこのwebサイトがどうなるか分からない時期に、お互いが良い方向と良い関係になっていくであろうという話からコラムがスタートした。

 その分、誌面に載る機会は減ってしまったが、サッカーダイジェストというサッカー雑誌を愛する人たちのために、長く貢献している日本スポーツ企画出版社と一緒に価値のある記事を一緒に世間に発信できることを本当に感謝している。

 そして、少なくなった雑誌取材のほうでは1年に一度やって来る「恐ろしい依頼」がある。
 それは「Jリーグ順位予想」だ。今年も、そんな時期がやってきた。

「ブラジルで生活している僕で大丈夫ですか?」というのが率直な良い断り方。それでも「お願いします」と言われれば断る訳にはいかない。

 僕は評論家でもなく、プロのコメンテーターでもない。どちらかというと、現場よりの立場でもある。この仕事を楽しみにしているプロのコメンテーターはいるのであろうか? 悩む日が続く……。

 今年は偶然にも、沖縄でコリンチャンスの日本遠征に帯同して何チームかと対戦してチームの現状を少し知ることができたが、それでも全チームの情報がしっかり把握できているわけではない。そうしたなかで予想を立てるのは正直難しい。

 僕の監督としてのファーストキャリアとなったギラヴァンツ北九州の時に、そっとみたTVの順位予想は“最下位”だった。当時、前年のリーグ戦ではわずか1勝、15ポイントしか挙げられなかったチームの予想であれば当然であるが、8位と躍進した翌年も最下位予想が多く、あくまでも予想に過ぎないのだからなのだが、誰も嬉しいことではない……。

 現場にいるほとんどの人たちのことは知っている。そうした世界で予想をするのだから、その人たちの気持ちを考えたら受けるものではない。

 そんななか、やるからには予想への裏付けとなる理由をしっかりと持って順位をつけるしかない。「その理由だけで、なんでその順位?」と思われるかもしれないが、自分なりの分析と勘を頼りに決める。

 順位予想をするうえで参考になるのが選手補強だろう。各チームの傾向を知るのにも役立つが、これは当然である。どれだけの即戦力が入ったかによって、チームに与える影響も違ってくるはずだ。そして前年リーグの順位も大きく左右する。昇格したばかりのチームや、なんとか降格を免れたチームを上に持っていくのは難しい。

 だからと言って、それだけで決められるものではない。

 僕は「積み重ね」を重視しながら、クラブの「信念」や「拘り」みたいな部分を僕のイメージや勘でチェックしている。

 そのイメージ、勘とは、クラブの予算規模や地域性、偶然入った情報などの中で、クラブの雰囲気、勢いが今年感じられるかどうかだ。

 決して名前のある選手が入ったとか、外国人監督が入ったという、人の動きだけでは決められない。

 予算から大物選手の獲得はないが、地道に監督が料理している様に見えるチームを予想外の位置に置いたり、その逆にまさかという位置に置いたりもする。

 そして少し高い位置に置く理由はそうあってほしいという願望があり、低い位置に置くにもそうならないで欲しいという願いもある。

 それは予想ではない、と言われても僕の予想の付け方とはそうであるということだ。

上位に書いたチームからは「ありがとう」と言われ、下に書いたチームの人から無視される。そんなものではない。

 ただ怖い仕事である。人のやる事を予想するのだから……。

 監督をやっている時によくこんな質問をされた。
「今年の順位は?」

 それは、今年の目標ではなく予想だ……。

 まったく自分のチームの予想をするのも難しいのに、J1・J2の40チームの予想となれば、難し過ぎて困るの一言である。

 今シーズンを占うゼロックス・スーパーカップをTVに釘づけで観戦した。攻撃的な両チームが1試合に懸ける想いで戦っている試合は正直に楽しく、面白かった。積極的にアグレッシブに攻守に仕掛けていくサッカーは見ている人の心を掴む。

 そこに世界を引っ張り続けている「イニエスタ」のようなハイレベルな選手もいる。彼に引っ張られる様に周りの選手のレベルも上がる。観ていて、お金の取れる試合であったことは間違いない。

 PK戦では9人連続失敗という珍しい?シーンも見れた。たくさん外す選手が出るPK戦は見た事はあるがここまで連鎖したPK戦は初めてだった。

「PK戦」は運だ! というが、少年団から高校サッカーまでPK戦は多くの場合、僅差で勝者が決まりがちであることを考えると、運ばかりでなく実力も関係があるという観点も捨てられない。

 PKでは、キッカーは1番と4番がキープレーヤーだという意見があったり、いや5番だ! という人(監督)もいたりする。

 もちろん、外してしまった後のキッカーも大事で、今回のヴィッセル神戸対横浜F・マリノス戦で言えば、横浜の3番目の選手が外した後に神戸が外したのだが、このケースでは横浜が有利になる場合が多い。それが今回は4回も続いたのだ。

 最後は山口蛍がここで残っていたのか? というタイミングで出てきて決着。笑える?笑えない? TVの前で、このPK戦を数人で観戦していたが、僕らは興奮冷めやらぬといった状態だった。

 翌日は、大宮まで足を運び、生で大宮アルディージャ対ナシオナルのプレシーズンマッチを観戦して来た。J2本命であろう大宮が、トヨタカップ優勝という歴史を持つウルグアイのナシオナルとどんな試合になるか楽しみであった。

「寒かった〜」というのが正直な感想。前半は大宮サポーターの構えるゴール裏で観戦した。メインが日陰で寒すぎて移動しながらの観戦。後半はナシオナルサポーター横のバックスタンドコーナーフラッグ前で観戦した。

 ここは日向だ、と寒さを避けて観戦を楽しんだ。

 試合は、前半はナシオナルの選手も「日本人、結構上手いな〜」と思っていたのではないか。後半はナシオナルが大宮の中央をなかなか破れないなかで、サイドからのクロス一発で仕留めてナシオナルが先制。大宮は選手個々に「オッ」と思う選手やプレーはあったが、決めきる強さを感じる攻撃は見られなかった……。

 今週からACL、ルヴァンカップが始まり、来週からはJリーグがJ1からスタートする。僕が先週に観戦した、この2試合から予想を立てるのは到底不可能に近い。

 神戸の沖縄キャンプのトレーニングは2回も見に行った。僕の古巣でもあり、引退したクラブ。

 神戸市から今の体制になり、努力が実る年になった2020年。天皇杯、ゼロックスを取り、素晴らしいスタートを切った。これも日本のJリーグの中で最も頑張り続けている一人の経営者の功労であろう。

 そして市民がファン、サポーターが一つになってクラブを支え、クリムゾンカラーが日本一の集団になった。良い選手がいて、良い監督に率いられ勝利する。組織を経営するパワーは、どの世界へ行っても必要不可欠だと思う。

 今シーズンはどんなシーズンになるのであろうか!? そして僕の予想は忘れてほしい(笑)。僕自身が予想のつかない、良い意味で予想を裏切ることのできるような1年にしたい。

 予想など意味はない。目の前の事実を信じて追求していこう。

2020年2月12日
三浦泰年

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