“ユン戦術”の深化へ。中断期間でジェフに見えるポジティブな要素

“ユン戦術”の深化へ。中断期間でジェフに見えるポジティブな要素

練習に励む千葉の選手たち。新井章はチームの雰囲気を前向きに捉える。写真:田中研治



 新型コロナウイルスの感染拡大で、公式戦の延期を余儀なくされているJリーグ。再開への見通しが立たないなか、やきもきしている人も多いだろうが、今季からユン・ジョンファン監督を招聘し、悲願のJ1復帰を目指す千葉にとって、不測の中断期間はポジティブな面でもあるようだ。

 今季、川崎から加入したGK新井章太は「この状況なので仕方ないですが、サポーターのためにも早く試合はやりたいですね」と本音を漏らしながら、中断期間での取り組みを次のように説明する。

「逆に良かった面もありますよ。(中断前の)開幕戦(琉球に1-0で勝利)で6、7割くらいしかできていなかったことが、今では8割くらいまで浸透してきていますからね。そういう意味じゃ新体制のチームにとっては良かった面でもあるのかなと。ユンさんのやり方に対する理解度は上がっていますし、皆で一致団結してやれています。大きな怪我人が出ていないのもプラスです。ほぼ全員が同じトレーニングをして同じ方向を向けていますから」

 琉球との開幕戦は、試合開始直後に米倉恒貴が奪ったゴールを守り切り、1-0で勝利を掴んだ。試合途中には5バックに切り替え、重心が後ろに偏っただけに、攻撃面を含めて粗さは見えたが、新井は「皆で話し合いながら、開幕戦で出た課題も修正できています」と自信を覗かせる。

 ユン・ジョンファン監督のスタイルに関しては「言っていることは間違いないですし、シンプルな面もありますが、攻撃においては自由もある。決まりごとはしっかりありますが、自分たちで考えながらやれてもいます」と好印象を抱いているという。
 

 ちなみに新井といえば2013年から川崎に所属し、ここ3年でJ1連覇、ルヴァンカップ優勝と、輝かしい成績を残したチームで経験を積んできた。その目から見る千葉の雰囲気は「練習に対する意欲は川崎にも劣りません。そこが伸びる要素だと思いますし、落ちてしまうこともあるかもしれませんが、経験豊富な選手も多いので上手くキープしていきたいです」と前向きに捉えている。

 そして中断期間の個人的な過ごし方は「常にベストを尽くして練習に臨むだけです。とにかく1本でもシュートを止める。やることはまったく変わりません」と話す。

 昨季18年ぶりに千葉に戻った佐藤寿人も中断期間を前向きに過ごしている。

「試合がない日常は、なかなかない経験ですが、僕らはこうやってサッカーができています。ストレスがかかったり、仕事を奪われたりする方もいるわけで、そういう意味では、僕らは落ち込むような状況でもないのかなと。

 今はサッカーを見る楽しさを失われているファン・サポーターの方もいますし、僕らも一サッカーファンとして、国内もそうですし、海外の試合も観られる機会が減っています。そういう意味でスポーツを観る、やる楽しさが減っているところはあるので、それらを取り戻せた時にやっぱりサッカー、スポーツは楽しいなと感じてもらえるように、僕らはピッチでそれを見せなくてはいけないと思います」

 3月12日に38歳の誕生日を迎えたストライカーは、かつてC大阪でユン・ジョンファン監督とチームメイトとしてプレー。「技術でいかに違いを作るかという選手だった」と、指揮官の現役時代の姿を振り返りながら、監督としての印象を「チームを率いていくなかで、勝つことにフォーカスした時に、相手より走る、守備の部分で相手の良さを消すというところを重視したと思いますが、根本的にはボールを保持して、相手の逆を突くところの考えは持っていると思いますので、その攻撃の強みを僕らが早く習得してやっていかなくてはいけないと思います」と話す。
 さらにユン・ジョンファン監督のチームへの影響力をこう説明する。

「とにかく勝つことを一番に、勝って学んでいけるところがあると思います。自分たちに足りなかった勝利への執着心、そこに対してどうしていけるか。チームとして整理していきたいです。(スタイルは)よく守備的と言われますが、守備をしっかり整えることで、去年以上に失点は減ると思いますし、そこからいかにボールを保持してチャンスを作っていくかというところを自分たちの課題としてやっていけば、J1が見えてくると思います」

 そして「厳しい練習を選手に課す監督さんですが、選手へ愛情を持って接している方」とユン・ジョンファン監督の人柄を評し、「なので、しっかり応えていきたいです」と意気込む。

 練習はハードで「よく走るのは間違いないです。僕は21年目のプロのシーズンですが、もう20年走ってきたことを、ここ数か月でやっているような感覚です。ボールを使わない走りなどで精神的な厳しさも培っていますね」と苦笑いを浮かべつつ、「この年齢でそういうトレーニングをできるのは、身体をしっかり作るベースになっています。ユンさんはセレッソ時代(2017、18年に指揮)にはタイトルをふたつを獲った方なので、その喜びをこのジェフというクラブでも経験したいです」と栄光を望む。

“ユン体制”で新たにスタートを切った千葉は、中断期間を活用して、チームとしての成熟度を高めている。再開後はそのパフォーマンスに期待を寄せたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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