【名古屋】岐阜との練習試合で見えた課題と収穫は?楽しみな“新オプション”も披露

【名古屋】岐阜との練習試合で見えた課題と収穫は?楽しみな“新オプション”も披露

岐阜との練習試合に向けアップをする山ア。試合でも好パフォーマンスを見せた。写真:今井雄一朗



 新型コロナウイルスの感染拡大で公式戦の延期が続くなか、3月21日に名古屋は岐阜との45分×2本の練習試合を行なった。

 本拠地(パロマ瑞穂スタジアム)を会場に選んだことで、さながら“無観客試合”の様相を呈したJ3の岐阜との練習試合は、名古屋が抱える課題と持ち得る長所、その両面が明確に表現された。それらは全てポジティブに捉えれば改善点を理解できていることになるのだが、その修正は一筋縄ではいかない作業でもある。

「彼らには向上心がある」と、フィッカデンティ監督はトレーニングの質や選手のモチベーションには心配無用だということを強調してきたが、その信頼に違わぬプレーを名古屋の選手たちは見せたように感じる。試合開始から積極的に仕掛け、一気に押し込み7分に先制点を挙げたのはその最たるところ。

 中央を締める岐阜の守備をものともせず、サイドと中央を行き来するパスワークから前田直輝がこぼれ球を押し込んだ。この日は本来のサイドアタッカーとして出場したエースは伸び伸びとプレーし、1トップの山ア凌吾やトップ下の阿部浩之、右SBの成瀬竣平とも密にコミュニケーションを取りながら躍動。まだ連係の合わない部分も多かったが、実戦でチャレンジを繰り返し、すり合わせを行なえた点は、チームの進化につながるはずだ。
 90分で計3得点を奪った名古屋だが、うち2点に山アが絡んだことも収穫だ。「開幕当初よりも身体のキレやフィーリング、連続した動き直しなども練習中からできるようになった」とコンディションの向上に笑顔を見せたポストプレーヤーは、前田の得点の直前にゴール前に飛び込みチャンスを生み、後半にはJ・シミッチのクサビをペナルティエリア前で収めて相馬勇紀のゴールをお膳立てした。

 ハイプレスの機動力、ロングボールを収める安定感、敵陣深い位置でプレーを作れる質の高い動きは、まさに“ディープストライカー”。「ペナルティエリアの角の裏など相手の嫌なところに入って深みを僕のところで作れれば、2列目の選手が活きるなと考えながらやっていた」と、縦への速さを目指すチームが求めていた起点となる動きを、何度も表現した。

 一方で課題はSBの役割が不明瞭だったことだろう。この日は吉田豊が調整のため欠場し、右は成瀬、左は秋山陽介がスタメン起用されたが、大きなミスはなかったものの、貢献度はまだまだ物足りなかった。ともに改善点は攻撃時にあり、より効果的なビルドアップへの絡みや、フィニッシュに至る部分での精度向上などが挙げられる。

 太田宏介や宮原和也の復帰時期がいまだ不透明ななかで、若手たちには好機を掴む気概を見せてほしいもの。19歳の成瀬は守備面で確かな進歩を見せ、秋山も運動量などコンディションの充実ぶりを示すだけに、もう一皮むけることができればチームに追い風を吹かせられるはずだ。

 また中盤では米本拓司が欠場した影響で、J・シミッチが久々に90分プレーしたのも隠れたプラス面か。稲垣祥とのコンビは前後関係でのバランスも悪くなく、ボールを追いかけ回して攻守に躍動感を出す稲垣と、後方からゲームメイクを担当するJ・シミッチという役割分担もハッキリしていた。

 フリックを始め緩急をつけて前線にパスを送る前者と、独特の間合いと視野からクサビを打ち込む後者というプレースタイルの違いも攻撃のバリエーションにつながっていた。J・シミッチはややゆったりとしたテンポでのプレーが多く、チーム戦術と噛み合い切らない部分はあるものの、パスで相手の守備陣を切り裂ける能力はやはり稀有だと再認識させてくれた。
 後半は次々と選手を代え、2種登録の甲田英將(名古屋U-18所属)を2列目のサイドで起用。また青木亮太を最前線でプレーさせるなど新たなオプションも指揮官はテストした。青木の1トップはゼロトップ的な印象だが、“前任者”である前田よりFW的な傾向は強いプレーヤーということもあり、数度、ペナルティエリア内で突破を仕掛け、試合終了間際には惜しいシュートも放つなど悪くないパフォーマンスを披露。

「ちょっとスピードを上げすぎてしまったので、リラックスすることでいろいろ見えてくるものもあったと思う」と話す表情は明るく、慎重に仕上げてきたコンディションが上向いている様子。いまだ負傷者は多いが、青木の状態が軌道に乗れば、さらなる攻撃のレパートリー向上にも期待は高まる。

 ひょんなことから実現した2年ぶりの名岐ダービーは、フィッカデンティ監督の言葉通り「悪くない」ものだった。練習試合での勝利もチームの自信維持には欠かせない。中断期間のテーマをチームの“地固め”に定めていた名古屋は粛々と、浮足立つことなく地力を蓄えている。

取材・文●今井雄一朗(フリーライター)


 

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