語り継がれる伝説――スコットランド代表の“10番”が中村俊輔への憧れを語る「ボールボーイだった僕は…」

語り継がれる伝説――スコットランド代表の“10番”が中村俊輔への憧れを語る「ボールボーイだった僕は…」

中村俊輔(左)への憧れを語ったのが、スコットランド代表でも10番を背負うマクレガー(右)だ。 (C) Getty Images



 日本が生んだ稀代のファンタジスタの左足から生まれた衝撃の一撃は、ボールボーイだった少年の人生を変えた。

 今から14年前、当時スコットランドの超名門セルティックに所属していた中村俊輔は、チャンピオンズ・リーグ(CL)のグループステージで対戦したマンチェスター・ユナイテッドとの2試合で、2本のFK弾を決めた。

 敵地オールド・トラフォードでの第1節で、CL史上初の日本人得点者としてその名を刻んだ中村が、より特大のインパクトを残したのは、クラブ史上初となるCLグループステージ突破がかかった第5節、本拠地セルティック・パークでの一戦だ。

 スコアレスで迎えた81分、セルティックは敵ゴール前約30メートルの位置でFKのチャンスを得た。超満員となったスタンドの視線が、日本人MFの左足に注がれるなか、冷静にゴールを見定めた中村は、鋭く曲がり落ちるボールをゴール右上へ突き刺し、名手エドウィン・ファン・デルサルの牙城を崩したのである。

 歓喜に沸き立ち、中村への声援がこだまするスタジアムの中で、後のスコットランド代表の10番はボールボーイを務め、世紀の瞬間をゴール裏から眺めていた。現在セルティックに所属するカラム・マクレガーである。
 
 当時12歳だった下部組織出身のマクレガーは、その時の心境を地元紙『The Scottish Sun』で、こう明かしている。

「僕にとって、ナカムラのユナイテッド戦のFKはとてつもなく大きな瞬間だ。どんな時もそう話している。ボールボーイだった僕は、あの夜、スタジアムで活気と興奮を感じたんだ」

 芸術弾を、文字通りの目の前で見たマクレガーは、中村への憧れからより一層の努力を重ねたという。そして、09年にトップチームに昇格すると、17年にはオランダ戦でスコットランド代表デビューを飾り、現在は10番を背負っている。

 スコットランドを代表するフットボーラーへと成長したマクレガーは、中村への想いを告白している。

「彼の残したインパクトは特大だった。僕は、『こういうことをやりたい。これこそ僕だ、このために僕は生まれたんだ』と思ったのを覚えているよ。あの瞬間は、多くの人を刺激したと思う。僕はセルティックに迎え入れられ、チャンスを与えられ、ナカムラからフットボーラーとして生きるためのインスピレーションを得たんだ」

 スコットランドで異彩を放ったファンタジスタが決めた芸術弾は、どれだけ月日が流れようと、「伝説」として語り継がれていくことだろう。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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