【セルジオ越後】日程を無理に取り戻そうとするくらいなら“コンペティション中止”でもいい。不安をなくしてフェアな競争を

【セルジオ越後】日程を無理に取り戻そうとするくらいなら“コンペティション中止”でもいい。不安をなくしてフェアな競争を

5月末までの試合の延期を発表したJリーグ。再開の日はいつになるのだろうか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



 新型コロナウイルスの感染拡大は、スポーツ界に深刻な打撃を与えているね。国内外のサッカーリーグはもとより、多くのスポーツ大会やイベントが延期や中止に追い込まれている。そんななか7日に政府が「緊急事態宣言」を出したことで、私たちの日常生活や経済的な側面にも、ますます大きな影響を及ぼしそうだ。
 
 多くの国民が日々、自宅での活動を中心とした生活を余儀なくされ、週末も首都圏地域や大阪などは外出自粛要請が出て、自由に行動することもはばかられている。マスコミの流すニュースも新型コロナに関する情報ばかりで、これといった明るい話題もない。新型コロナの情報は必要ではあるけれど、そればかりでは本当に精神的に重くなってしまうよね。まったく、この暗い話題から逃れる術がなくなっている。
 
 そう考えると、週末のスポーツイベントというのは、多くの人々の娯楽として多大な貢献をしていたんだなと、改めて痛感するものだよ。同時にスポーツは平和な世の中の上に成り立っていることも再認識させられる。
 
 さて、これから国内のサッカー界はどういう方向に進んでいくのか。公式戦の再開について、Jリーグはこれまで2週間おきに再開の可否を判断していくとしていたけど、さすがに感染拡大が深刻化して再開のスケジュールを白紙に戻してしまったよね。決断しなければならない村井チェアマンは大変だけど、変にその場しのぎでつないでいくのは逆にファンやスポンサーに対して不信感を強めることになりかねない。慎重な判断が必要だよ。
 
 最悪のケースとして、僕は今シーズンの公式戦に関しては“コンペティション”というカタチにこだわらなくてもいいのではないかと思っている。理由としては、この先の状況があまりにも不透明で、はっきりとした見通しが立たないからだ。このコロナ禍がいつ収束するかも分からないなかで、多くのクラブがトップチームの活動を停止している。一応、5月末までの公式戦延期となっているけど、例えば再開が7月あたりまでずれ込んだら、選手はモチベーションの維持と再開に向けた調整で、随分負担を強いられることになってしまう。そこに過密な試合スケジュールが組まれたら、故障者が続出してしまうんじゃないかな。
 
 それに、再開したとしても新型コロナの感染状況によっては、再度の中断を余儀なくされる可能性もあるだろう。リーグはそうなった時のシーズン成立のレギュレーションを決めているけど、全チームが同じ試合数で終わっている保証もないから、単純に勝点で決めるわけにいかない場合もある。イレギュラーなシーズンとはいえ、いろんな問題が孕んでいるんだ。そうしたなかで、順位をつけるのもいかがなものかと思うよ。

 村井チェアマンは、今季は“競争から共存”の立場でリーグ運営を考えていくと言ったそうだけど、そうであるなら遅れた日程を無理に取り戻そうとするのではなく、地域やファンへの還元を強調した“エキシビションマッチ”の年にしてもいいと思うんだ。

 クラブによっては財政危機に立たされて、資金繰りに困って試合開催が難しくなるところも出てくるかもしれない。今まで散々煽ってクラブ数をどんどん増やしてきたJリーグには、そういう小規模経営のクラブもしっかり救済する義務があると思うし、いろんな面での不安がなくなって初めて、フェアな競争社会が生まれるんじゃないかな。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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