「ジダンを狙って…」おとぎ話のようなプレミア制覇を果たしたブラックバーン。早すぎた“凋落“の理由とは【回顧録】

「ジダンを狙って…」おとぎ話のようなプレミア制覇を果たしたブラックバーン。早すぎた“凋落“の理由とは【回顧録】

25年前にブラックバーンの大エースとして君臨したシアラーが当時の裏話を語った。 (C) Getty Images



 それはまさしく「おとぎ話」のような戴冠劇だった。今から25年前の94-95シーズンにプレミアリーグを制したブラックバーンだ。

 1991年に鉄鋼業で財を成した地元の名士ジャック・ウォーカー氏がチーム経営を任されてからのブラックバーンの変貌ぶりは凄まじかった。

「あのユナイテッドを安っぽいチームに見せてやる」と啖呵を切った同オーナーは、リバプールを3度のリーグ優勝を導いていたケニー・ダルグリッシュを監督に招聘。2部に低迷していたチームを1年でトップリーグ昇格に導くと、92年の夏に当時のイングランド史上最高額となる330万ポンド(約4億6200万円)でサウサンプトンからアラン・シアラーを獲得し、チームを瞬く間に成長させていった。

 文字通り、満を持して迎えたのが、94-95シーズンだった。

 開幕前の夏にシアラーを上回る500万ポンド(約7億円)でイングランド代表FWのクリス・サットンをノーリッジから引き抜いたブラックバーンは、強力な「SAS(Sutton And Shealerの略称)コンビ」を軸にしたパワフルなサッカーでリーグを席巻。最終節でまでもつれたマンチェスター・ユナイテッドとのデッドヒートを制し、クラブとして81年ぶりのトップリーグ制覇を成し遂げたのである。

 今も語り継がれるブラックバーンの伝説的なプレミア制覇だが、彼らの凋落は早かった。
 
 95-96シーズンに7位に落ち込むと、その翌シーズンには、主砲シアラーが退団が響き、13位にまで転落。そして、98-99シーズンに降格してしまったのだ。

 トップリーグ昇格からわずか7年で優勝と降格を経験した事実も、ブラックバーンの戴冠劇が「おとぎ話」と評される理由でもある。だが、当時を知る人間からすれば、優勝という栄光の後に訪れた降格は、必然だったのかもしれない。英紙『The Sun』で、優勝後のチームの内情を暴露したのは、あの「SASコンビ」だ。

 まず、チームが衰退していった要因について、「ダルグリッシュがフットボールディレクターになるためにベンチから離れたこと」と指摘したのはシアラーだ。その決断に小さくない不安を感じていたという大エースは、当時の上層部が計画していたとんでもない補強プランを明かした。

「アレックス・ファーガソンならば、トップにいる間にこそ、大きな入れ替えが必要だとしていただろう。でも、あの時の僕らはそれができなかった。新しい顔を入れるべきだったんだ。あのとき実は、クラブはジネディーヌ・ジダンとクリストフ・デュガリーを同時に狙っていたんだけど、どちらもこなかった。それも僕らは上に留まれなかった理由だ」

 なんとも信じがたいジダンの獲得プランを明かしたシアラー。そんなかつての相棒の言葉に、「本当に狙っていたの?」と驚きを隠さなかったサットンは、こう話している。

「ジダンがブラックバーンにいるところなんて想像なんかできやしない……。僕はレイ(・ハーフォード。ダルグリッシュ退任後の監督)に『壊れてなければ修正の必要はない』なんて言われていたよ。

 それで結局、その夏はマティー・ホームズとアダム・リードを補強していた。けど、僕が思うにあの時からすでに終わりに向かっていたんだ。きっとジャック(オーナー)は、あの時に(資金を)費やさなかったのを後悔しているはずだ」
 

 内情を赤裸々に告白した二人だが、当時の経験は今も彼らにとって、かけがえのないものとなっているようだ。シアラーとサットンは口を揃えて「あれは大きな成果だった」と振り返った。

「僕はいま、『マジでありがとうございます!』と思っているよ(笑)。多くは勝てなかったが、少なくともプレミアリーグを優勝したんだからね。ケニーが原動力であり、彼にリーグを勝てるだけの補強をするための資金をジャックが与えた。それは本当に理想的だった。2部にいたチームがわずか4年で優勝だなんて本当に驚異的だ」(シアラー)

「当時の僕は自分のしたことで感慨に浸ってなんかいなかった。だけど、25年が経って、それが信じられないほどの功績だったと考えるようになった。今では当時を知るファンの多くを失ってしまったけどね」(サットン)

 現在、ブラックバーンは、イングランド2部で10位と8年ぶりのトップリーグ昇格が望み薄な順位に甘んじている。かつての古豪がその輝きを取り戻す日は訪れるのだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

関連記事(外部サイト)