バルサの給与削減に異を唱えたスアレスの横暴【現地発】

バルサの給与削減に異を唱えたスアレスの横暴【現地発】

常に闘志を剥き出しにしてプレーするスアレス。時々問題行動を引き起こすことも……。(C) Getty Images



 ルイス・スアレスは、ウルグアイ人の中でもとくにその特徴が際立った選手だ。ピッチ上ではウルグアイ人のDNAでもある不屈の闘争心を前面に出して、チームの勝利のために極限までプレーする。しかしいったん試合から離れると、その自尊心の強さによって手が付けられなくなることがある。

 ウルグアイの著名な作家、ジャーナリストのエドゥアルド・ガレアーノはそんなスアレスの暴れん坊ぶりをこう評していた。

「スアレスのゴールは、食事中にボトルからこぼれ落ちるワインのようだ。彼の“ベストゴール”は、2010年ワールドカップの準々決勝ガーナ戦での得点機を阻止したプレーだ」

 延長戦にもつれ込んだ試合で、スアレスは相手のヘディングシュートを手で弾き出して退場処分を受けた。しかしそのPKをアサモア・ギャンが外し、ウルグアイがPK戦の末に勝利を収めて次のラウンドに駒を進めたため、“お手柄”のハンドとなった。

 ただ、GKのようにあからさまにシュートをストップするプレーは物議を醸した。しかしルイス・スアレスのW杯におけるもっともスキャンダラスなプレーは、4年後のブラジル大会のイタリア戦でジョルジョ・キエッリーニへ噛み付いた事件で間違いない。

 この暴力行為が原因で、争奪戦が繰り広げられていたそれまでの状況が一転し、多くのクラブが獲得に二の足を踏み始めた。そんななか、唯一強い関心を示し、移籍金約8000万ユーロ(約100億円)で所属クラブのリバプールと契約合意を取り付けたのがバルセロナだった。以来、ルイス・スアレスはリオネル・メッシと黄金コンビを形成しながら、ゴールを量産。通算ですでに191得点を挙げている。

 それでも、チャンピオンズ・リーグ(CL)でアウェーでの得点が2015年9月のローマ戦から遠ざかっていることが槍玉に挙げられてりう。バルサがその前シーズン以来、ビッグイヤーから遠ざかっているのと決して偶然ではない。

 しかしその一方で、今シーズンは、とりわけメッシが、スアレスの怪我による長期間の離脱の影響をモロに受けた。スアレスはことあるごとに自らの存在価値をアピールしたがる傾向にあるが、その言動に確かな実績が裏付けされているのは間違いない。

 とはいえ、やはり問題視すべきは、ピッチを離れての振る舞いだろう。交代を命じられてピッチを去る時に不機嫌な態度を見せるのはお決まりだ。そして、新型コロナウィルスの感染拡大でフットボールが中断している間、またしても“暴れん坊ぶり”が顔を覗かせた。給料の削減を巡るクラブの交渉の進め方に苦言を呈したのだ。
 

 もちろん交渉プロセスにおいて、フロントの不手際が目立ったのは事実だ。ただ同様に選手たちの間で相手に寄り添おうとする姿勢が欠けていたのも確かで、付け加えるならば、「圧力をかけてきた人物がいた」と対立を表沙汰にしたメッシの声明も余計だった。

 バルサの古株たちのこうした強硬な態度は、今に始まったことではない。彼らはまるで過去に勝ち取ったトロフィーをメダルのように常にぶら下げているかのような振る舞いを見せることが多々ある。選手、監督を問わず新入りに対して従順さを求め、おまけにジョゼップ・マリア・バルトメウ会長をはじめとするフロント幹部はそうした態度を見て見ぬふりをしている。

 マドリード、トリノ、ローマ、リバプールと過去4シーズン、CLにおいて敵地で惨敗を繰り返している責任の一端は当然、古参の選手たちにもある。そこまで自らを勝者とアピールしたければ、それだけのプレーを見せ続けなければならない。

 この中断期間は、スアレスにとっては怪我の回復に充てることでできたという意味でプラスに働いている。再開時期にもよるが、復帰を果たした暁には、とりわけCLで重要なゴールを決める働きが求められる。

 スアレスは、特別な日にベガ・シシリアの高級ワインをメッシと一緒に飲むことを至福の楽しみにしているという。ボトルからワインがこぼれ落ちていると指摘するガレアーノはすでにこの世にいない(2015年に他界)。ピッチ外での横暴は、ほどほどに自制すべきではないだろうか。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
 

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