「マンUと契約できれば…」“人類滅亡説”で突如引退した元アルゼンチン代表GKが語る20年前の真実

「マンUと契約できれば…」“人類滅亡説”で突如引退した元アルゼンチン代表GKが語る20年前の真実

“宿敵”イングランドとのPK戦で大活躍したロア。その堅守が記憶にあるサッカーフリークたちも少なくないはずだ。 (C) Getty Images



 サッカー界には、経済面、情熱、心身、怪我、病気など様々な理由で現役を退くスターたちがいる。だが、元アルゼンチン代表の守護神カルロス・ロアのそれは世間をアッと驚かせるものだった。

 1990年代に母国の名門ラヌースで声価を高めたロアは、98年のフランス・ワールドカップではアルゼンチン代表の正守護神として、決勝トーナメント1回戦のイングランド戦で2本のPKを止めて勝利に貢献するなど奮闘。98-99シーズンには所属したスペインのマジョルカで孤軍奮闘し、年間最少失点のGKに贈られる「サモーラ賞」を手にしていた。

 キャリアの絶頂期にあった1999年の夏には、ピーター・シュマイケルの代役探しに奔走していたマンチェスター・ユナイテッドから獲得のオファーが舞い込んでいた。だが、ロアは突如として引退を宣言する。理由は、「人類が滅亡するから」だった。

 当時の彼は、「セブンスデー・アドベンチスト教会」の信者で、その教えでもある2000年に訪れる「アルマゲドン」によって人類が滅亡するという説を信じていたのだ。

 キャリアを退き、資産をほぼ手放した彼は地元コルドバの山で家族とともに“その時”を待った。だが、人類は終わらず……。引退から9か月後の2000年4月にマジョルカと再契約するも、同胞のレオ・フランコに定位置を奪われ、全盛期の調子を取り戻せぬまま、2006年に母国の小クラブ、オリンポでひっそりと2度目の引退を決めた。
 

 そんな元名手ロアが、英紙『Mirror』のインタビューで、人類滅亡説を信じた当時の決断を振り返っている。

「あの時の私は宗教と聖書の研究に没頭していた。だから難しくはあったが、引退を決めたんだ。思慮深い家族からはすぐに同意してもらえた。けど、無知な人々からはあらゆることを言われたよ。事実ではない悪いことばかりがブランド化されていった」

 それでも一線を退いたことに「私の精神的な面では後悔はない」というロアは、ユナイテッドから勧誘を受けた99年夏のエピソードについても明かした。

「スポーツの面だけでみれば、全く後悔がないわけではない。キャリアの最高の時に辞めたからね。それにユナイテッドと素晴らしい契約を結び、イングランドでプレーしていれば、より進化できたとも思う。

 マジョルカの人たちは、私が移籍金で大金をクラブにもたらすと思っていたはずだ。だから、あの状況下での引退を誰も理解はしてくれなかったよ。四方八方から怒り狂った電話が私のところに舞い込んだ。引退の理由を説明すればするほど、彼らは怒っていたよ」

 正式な引退から14年――。指導者に転身したロアは、現在MLSのサンノゼ・アースクエイクスのGKコーチとして後進の育成に尽力している。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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