長谷部誠、鎌田大地、大迫勇也らブンデス勢6人のこれまでを総括! 最も活躍が目立ったのは?【現地発】

長谷部誠、鎌田大地、大迫勇也らブンデス勢6人のこれまでを総括! 最も活躍が目立ったのは?【現地発】

ブンデス1部でプレーする長谷部、鎌田、大迫。(C) Getty Images



 新型コロナウイルスの影響でブンデスリーガは中断。選手たちは自宅待機を続けていたが、各クラブは少しずつ一定の条件下(接触プレーなし、少人数など)でのトレーニングを再開しており、5月中に再開するのではないかとも報じられている。

 そこで、中断するまでの間に行なわれた試合での日本人選手の活躍ぶりを検証した。1部、2部でプレーする6人の選手について、公式戦出場記録や現地専門誌『kicker』の採点(1部2部ともに第25節まで)、本人のコメントなどをもとに紐解いていく。

※ドイツメディアの採点は1が最高、6が最低
※順位は第25節終了時点のもの
フランクフルト(12位)所属
長谷部誠
<出場成績>
リーグ戦 16試合出場0ゴール・0アシスト 『kicker』誌平均採点:3.7
DFBポカール 3試合出場0ゴール・0アシスト 『kicker』誌平均採点:3.7
EL(予選)5試合出場0ゴール・0アシスト 『kicker』誌平均採点:2.9
EL(グループリーグ・決勝T)7試合出場0ゴール・0アシスト 『kicker』誌平均採点:3.5

<総括>
 昨シーズンが非常に素晴らしかっただけに、今季はどうしても失速感がつきまとってしまうものの、前半戦ほとんどの試合でフル出場。ウインターブレイクを挟んだ後半戦も公式戦6試合のうち4試合でフル出場している。特に、ザルツブルクとのヨーロッパリーグ(EL)ラウンド・オブ32の第1レグでは、攻守に起点になるプレーで快勝劇に貢献した。テンポのいいパスワークで相手守備を翻弄し、鋭い読みでスペースをケア。そんな長谷部のプレーぶりを、監督のアディ・ヒュッターも「チームに安定感をもたらしてくれる」と、信頼を口にしている。

 ただ、ヒュッター監督はハードワークが求められる試合では、ライプツィヒから新加入のシュテファン・イルザンカーを重宝しており、試合や相手に応じて適切な選手を選んでいる。どんな試合でも長谷部というわけではない。アンカーとしてのゲームコントロール能力はチーム随一だが、スピード面でどうしても後手になることは否めない。バランスが崩れてしまうと一気に強度がもろくなる点を解決できないままでは、チームとしても、長谷部個人としても、強豪相手には厳しい戦いを強いられることになりそうだ。

フランクフルト(12位)所属
鎌田大地
<出場記録>
リーグ戦 19試合出場0ゴール・3アシスト 『kicker』誌平均採点:4.0
DFBポカール 3試合出場2ゴール・0アシスト 『kicker』誌平均採点:3.7
EL(予選) 6試合出場0ゴール・1アシスト 『kicker』誌平均採点:2.7
EL(グループリーグ・決勝T) 9試合出場6ゴール・2アシスト 『kicker』誌平均採点:3.0

<総括>
 地元紙から「ミスター・カップ戦」というニックネームをつけられている通り、カップ戦にめっぽう強い。ELとDFBポカールを合わせると18試合で8ゴール・3アシスト。リーグ戦と比べて確かに良い数字を残している。ELのアーセナル戦で2得点、ザルツブルク戦でハットトリックの活躍は、記憶に新しい。

 その分、リーグでは苦戦しているという印象を持たれがち。だが、相手のオウンゴールとなったドルトムント戦でのゴールなど、チャンスがないわけではない。鎌田自身も、「タイミングの問題。やっていれば、ブンデスでも取れるはず。実力が足りていないというわけではないと僕は思っている」と話す。継続してやってくことが大事なのは言うまでもない。

 ただ、守備固めをした相手へのプレーには改善が必要だろう。欲を言えば、中盤のスペースを消され、密着マークを受けていても、パスを引き出し、シュートチャンスに持ち込めるようにしたい。
 ブレーメン(17位)所属
大迫勇也
<出場記録>
リーグ戦 18試合出場4ゴール・1アシスト 『kicker』誌平均採点:4.0
DFBポカール 4試合出場1ゴール・2アシスト 『kicker』誌平均採点:2.5

<総括>
 序盤は3試合で3得点と調子が良かった大迫だが、第5節RBライプツィヒ戦からチームが8試合連続未勝利と不振に陥ると、負傷の影響もあったのか、徐々にリズムを崩してしまった。第15節バイエルン戦以降、スタメン出場はわずか6試合で、『kicker』誌の平均採点は5・16と完全に不調に陥っている。

 地元メディアの『ダイヒシュトゥーべ』は「残留争いにおいて繊細過ぎるのではないか」と心配がり、フロリアン・コーフェルト監督は「ユウヤは今もボールを要求しているし、スペースでパスを受けようとしている。ただ、そこからのアクションがいつもうまくいっているわけではない」と指摘している。強い責任感から、「やらなければならない」という意識が強くなりすぎてしまい、それが逆に大迫のプレーを抑圧してしまっているのだろうか。

ブンデスリーガ2部
シュツットガルト(2位)所属
遠藤 航
<出場記録>
リーグ戦 13試合出場0ゴール・0アシスト 『kicker』誌平均採点:3.1
DFBポカール 1試合出場0ゴール・0アシスト 『kicker』誌平均採点:3.0

<総括>
 加入からしばらくは戦力に数えられていなかった遠藤にとって、第14節カールスルーエとのダービー戦が転機になった。この試合で初スタメンを飾ると、中盤の底で攻守に存在感を発揮。一気にポジションを自分のものにした。冬の中断期に監督交代があったが、遠藤は完全に主力の一人として数えられており、スベン・ミスリンタートSDも「静かなリーダー」と認めている。後半戦も全試合でフル出場をしており、チームに欠かせない存在となっている。

 現在はレンタルでの期限付き加入だが、すでに保有先のシント=トロイデンとは買取オプション行使の交渉中とも。よほどのことがない限り、完全移籍が濃厚だ。来季1部で戦うことを想定した場合、中盤でのリスクマネージメントにおいて、より一層のレベルアップが求められる。
 ハノーファー(9位)所属
原口元気
<出場記録>
リーグ戦 23試合出場4ゴール・1アシスト 『kicker』誌平均採点:3.7

<総括>
 前任ミルコ・スロムカ監督とは苦労したが、新任ケナン・コチャク監督とは相思相愛の関係を築けている。これまで本職のサイドハーフだけではなく、ボランチやトップ下でもたびたび起用されては、豊富な運動量、身体を張ったハードワーク、正確なパスとスピードに乗ったドリブルでチームに貢献している。

 ハノーファーではなかなかゴールが決められなかったが、第14節ダルムシュタット戦で待望の初ゴールを挙げた。続く第16節アウエ戦ではアディショナルタイムに決勝ゴールを決め、チームに貴重な勝点3をもたらした。若手が多いチームにおいて、経験豊富でバランスが取れる原口の役割は、非常に重要なものになっている。
 
 ザンクト・パウリ(11位)所属
宮市 亮
<出場記録>
リーグ戦 25試合出場1ゴール・7アシスト 『kicker』誌平均採点:3.7
DFBポカール 1試合出場0ゴール・1アシスト 『kicker』誌平均採点:なし 

<総括>
 度重なるケガに悩まされた過去から解放された宮市。2部リーグで別格のスピードを武器に、フィールドプレーヤーでチーム内最多出場時間を記録している。対戦相手の監督には警戒され、ザンクト・パウリ監督のヨス・ルフカイは「リョウはファンタスティックな選手」と絶賛。選手としての才能を非常に高く評価している。

 7アシストとチーム最多アシストを記録している点も素晴らしい。あと求められるのは、ゴールだろう。大事な試合で大事な得点を決めることができるか。

 宮市本人は「僕はあんまり欲がですぎると、空回りしてしまうタイプ。一番大事なのは怪我をせずに健康でいること。日々やることをやっていけば、結果は自ずとついてくる」と語っている。

 もし、「ゴールやアシストでより高い数字を残せたら、来夏にはもうこのクラブにはいない」とルフカイ語るように、数字がついてくれば、間違いなく1部リーグでプレーしなければならない選手となるはずだ。
 筆者プロフィール/中野吉之伴(なかのきちのすけ)

ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中

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