元ブラジル代表のカフーが「詐欺への加担」で全財産差し押さえに!英雄の身に何が起こったのか?【現地発】

元ブラジル代表のカフーが「詐欺への加担」で全財産差し押さえに!英雄の身に何が起こったのか?【現地発】

詐欺への加担容疑で財産差し押さえとなったカフー。本人は潔白を主張しているが――。(C) Getty Images



 ブラジル代表で歴代最多の148試合に出場し、キャプテンも務めたカフーは3度のワールドカップ決勝(1994、1998、2002年)でプレーし、そのうちの2度(1994、2002)で世界チャンピオンに輝いている。まさしくセレソンのスターであり英雄だ。

 ローマ時代には中田英寿らとともにスクデットも勝ち取っている。いつもにこやかな笑顔を絶やさない男だが、残念ながら最近は災難が付きまとっている。

 現役引退後、カフーは自身が生まれ育ったサンパウロの郊外に「フォンダソンカフー」(カフー基金)という施設を作り、貧しい子供たちとその親に食と医療と教育を与えてきた。そこで助けられてきた人々はのべ1万5000人にも上る。しかし2017年頃から基金のスポンサーが減り、運営が難しくなってきた。それでもカフーはどうにかこの事業を続けようと金策に走っていた。

 2018年のロシアW杯ではブラジル代表のスポーツディレクターという名誉な話が舞い込んできた時にもそれを断り、カタールW杯のアンバサダーに就任した。そちらのほうが、報酬が良かったからだ。
 
 しかし2019年7月、基金は行き詰まり、銀行への借金が焦げ付いた。運営に当たっていた会社は破産となり、裁判所はカフーが所有していた5つのマンションを取り上げて、その他15の不動産を差し押さえた。それでも基金をなくせば食事も勉強もできなくなる子供が出ると、運営を続けたが、12月にはとうとう資金が尽き、職員にも給料の支払いができなくなったため、16年続いた施設は閉鎖となってしまった。

 カフーの不幸はそれだけではない。昨年の11月にはまだ30歳だった息子のダニーロを亡くしている。友人たちとサッカーをしていた最中に心臓発作で倒れての急死だった。カフーは打ちひしがれており、旧知の仲だった私もなんと声をかけていいかわからなかった。

 そして、いままた問題が降りかかっている。数日前にブラジルの消費者庁がカフーの銀行口座をすべてブロックしたのだ。理由は「詐欺への加担」だった。
 
 昨年8月、カフーはアルブクリプトという会社と契約をした。仮想通貨を使った投資会社で、顧客が金を預けると会社がそれで仮想通貨を買い、上昇した差額分が顧客の儲けとなる。3000ドル(約33万円)以上を預ければ月末には何もしなくても最大2.5%の利益がつくとうたっている。その会社の広告塔となったのだ。

 しかしそんなうまい話は世界中どこに行ってもありえない。結局、2人の会社創始者は行方をくらましてしまい、利益どころか預けた金も一緒に消えてしまった。残ったのはカフーだけだった。そのネームバリューを信じて資産を預けた顧客が彼を訴え、裁判所が財産を差し押さえたのだ。本当に踏んだり蹴ったりである。

 ただカフーも「自分は加害者ではなく、被害者だ」と訴えている。自身も支払われるはずのアンバサダー契約の金をもらっておらず、昨年末には弁護士を通して支払いの敢行と、契約解除を求める書類を投資会社あてに送っている。それを裁判所がどう取るか。調停の行方が注目される。

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。
8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
 

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