仲川輝人が選ぶJ歴代ベスト11「イニエスタ選手は想像以上で、もはや異次元」

仲川輝人が選ぶJ歴代ベスト11「イニエスタ選手は想像以上で、もはや異次元」

赤く囲っているのが「MY BEST PLAYER」。仲川が選んだのは、「この人だけは別格」とリスペクトする神戸のイニエスタだ。



 4月23日発売のサッカーダイジェストでは、「Jリーグ歴代ベストイレブン」と題し、現役選手や元日本代表など総勢50名に“マイベストイレブン”を選んでもらっている。人選の条件は現在までに登録されたJリーガーで、外国籍選手は3人まで。ここでは、横浜のスピードスター、仲川輝人の“マイベストイレブン”を紹介しよう。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、チームは現在、活動休止中にもかかわらず、仲川は動画での取材を通じ、時間の許す限り、その選出理由についてたっぷりと語ってくれた。本誌では未収録分を加えたノーカット版をお届けする。

――◆――◆――

――11人を選ぶ際、最初にパッと思いついたのは?
「イニエスタ選手ですね。個人的には、他の選手のことをあんまり“凄い”って思いたくないんですけど、この人だけは別格」

――具体的に何が凄い?
「ボールに触れさせないというか、ボールにアタックできない間合いを取ってくるんですよ。奪いに行こうとしても、『あ、これはかわされる』とこっちが思ってしまう。その時点で、相手の状態のほうが上、ちょっとこっちは負けていると思うんですよね」

――見ている側としては、「なんで仲川、行かないの!?」と思ってしまうけど……。
「簡単には飛び込めない間合いがある。その間合いを作るのが本当に上手い。寄せられてもすぐにかわせるところにボールを置いているし、それでも相手が来れば、ボールと相手の間に身体を入れてドリブルし始めたり。もう、異次元ですよ(笑)」
 
――バルセロナでのプレーも見ていたと思いますけど、想像以上だった?
「想像以上ですね。テレビで見ていると、あんまり速くないというか、そこまでスピード感がないように思うけど、実際にピッチ上で対戦すると、相手の逆を突く動きとか、速いし、上手い。奪いに行って、すっとかわされる選手がわりといるじゃないですか。イニエスタ選手からすれば、『食いついてきた』っていう感覚でかわしてると思いますね」

――周りがよく見えている。
「かなり見えているはずですよ。ボールをキープするにしても、足もとをほとんど見ないで、感覚でキープして、周りの動きを観察している。だから、ああいうプレーができると思いますね」

――ユニホーム交換とかしなかったんですか?
「うちのエジガル(・ジュニオ)やマルコス(・ジュニオール)がもらっていましたね。ああ、いいなぁとか思いながら、でも自分はまだそういう立場でもないし……」

――去年のMVPで得点王だし、十分に“そういう立場”だと思いますけど。
「ちょっと遠慮しちゃいました(笑)」

――逆に、悩んだポジションは?
「CBとSBですね。特にCBには、チームメイトのチアゴ(・マルチンス)は入れたかった。一緒にやっていて、『ヤバいなこいつ』って。対人は強いし、予測が少し遅れても、スピードでカバーできてしまう。言い方はあれですけど、“バケモン”です」

――仲川選手のチアゴ選手への高い評価は、揺るぎないですよね。
「チアゴがいなかったら、去年も優勝できていなかった。それぐらい、本当に大事な選手です」

――そのCBには、井原正巳さんと中澤佑二さんを選出されました。
「井原さんは、なんといっても“アジアの壁”ですから。プレーも熱くて、強い。あと、自分が福岡にレンタル移籍していた時の監督で、前からのプレッシングとかを教えてもらいました。今の自分の守備のやり方だったり、守備意識の高さは、井原さんのおかげでもありますね」

――中澤さんとは、横浜でチームメイトでした。
「シュートブロックとか、凄いですよね。だいたい佑二さんの身体に当たって、難を逃れる。読みがほぼ全部当たっているんじゃないかっていうぐらいに」

――あのシュートブロック、なんであんなに確率が高いんですか?
「いや、僕も知りたいですよ(笑)。あの読みの鋭さや、コースの切り方。FWからすれば、すごく嫌でしたね。敵のクロスを撥ね返すのも、だいたい佑二さん。もちろん、ポジショニングの良さだと思うんですけど、当時のチームメイトとも話していましたからね、なんであんなに佑二さんのところにボールが集まってくるんだろうって」
 
――中澤さんは後輩の面倒見も良かったと思いますが、どんな絡みを?
「自分のプロ1年目は、まだ足を怪我していてリハビリからスタートしたので、当時はそこまで話す機会はなかったんですよ。でも、時々、ちょっと冗談っぽいんだけど、でも真面目にリハビリに関してアドバイスしてくれたりもしましたね」

――その他の選手について、まずワシントンを選んだ理由は?
「レッズ時代の印象が強いですね。ひとりでゴリゴリと行けちゃう。ヘディングも強いから、多少アバウトなクロスでも決めてくれるし、ペナルティエリアの中でもしっかりとキープして、そこからゴールにつなげられる。自分と似ているタイプだと、ジュニーニョとかエメルソンとか、スピード系の選手も考えましたが、あえてここは、自分にはあまりないフィジカル的な強さに優れるワシントンをチョイスしました」

――2列目の左サイドには、大久保嘉人選手を選ばれました。
「いろんな形で、どこからでも点が取れる選手だと思います。ミドルシュートもあるし、ワンタッチゴールもあるし、ヘディングも不得意なわけではない。自分も去年、得点王を取りましたが、嘉人さんは3年連続で得点王になっている。その得点感覚は参考にしていますし、自分ももっと連続で点が取れるようになりたいです」
 

――2列目の右サイドは、中村俊輔選手です。
「CKとかFKとか、セットプレー1本で試合を決められる選手。あの左足で多くのチャンスを作ってくれますし、そういう存在はチームに絶対に必要ですから」

――ちゃんとチームとして11人を選んでいただいた。
「そこは、もちろん(笑)。けっこう悩みましたよ」

――中盤の底はダブルボランチ。ひとりは、ドゥンガです。
「味方を鼓舞したり、チームを引き締められる選手ですよね。クレバーというか、献身的なプレーでも頼りになる」

――もうひとりは、中田英寿さん。
「ドリブルが速くて、スルーパスも出せて、戦える。なんでもできるし、場面ごとに何が必要かを瞬時に考えられるインテリジェンスにも惹かれます」

――両SBは左に相馬直樹さん、右は酒井宏樹選手です。
「日本代表や鹿島でのプレーを見ても、相馬さんのあの上下動は本当に凄い。酒井選手は、クロスの質が抜群。受け手として“ここに欲しい”というところに合わせてくれるイメージです」

――GKは、現在は横浜のGKコーチでもある松永成立さんですね。
「GKの練習を見ていても、すごく熱い方ですし、選手を成長させる指導力は素晴らしいと思います。プレーヤーとしては、GKについてはどう表現していいか難しいのですが、セービングもコーチングも、まさに盤石の一言ですね」

――松永コーチ、シンプルに「怖い」印象です。
「怖いっすね(笑)。でも、普段はすごく優しいですよ。オンとオフをしっかりと分けている。とにかく、熱い。ボス(横浜のアンジェ・ポステコグルー監督)も感情をあらわにして選手たちを勇気づけてくれますが、シゲさんも負けず劣らず、試合の時は“スイッチ”が入る感じです」

――今回の企画では、監督もひとり選んでいただきたいのですが?
「選ぶならボスですが、これだけのメンバーが揃えば、監督は必要ないかな、と。この11人は、自分たちで考えてサッカーができるはずだし、むしろボスを丸め込んでしまうぐらい個性も強い(笑)。同じぐらい強烈な存在感を放つボスの良さが消されてしまうのも嫌なので、監督はなしでお願いします!」

――では、監督はなしで(笑)。この11人はどんなサッカーをピッチ上で見せてくれますか?
「アグレッシブに、攻撃的に、ですね。ワシントンが前でゴリゴリ行って、パワープレーでも迫力を出せば、嘉人さんが果敢に裏に抜け出す。そこに、イニエスタ選手や俊さんがラストパスを通す。俊さんのFK、ヒデさんのロングシュートやミドルシュートもある。相馬さん、酒井選手の両サイドは正確なクロスで決定機を演出。井原さんと佑二さんの2CBは堅い守りを見せつつ、セットプレーでは得点源にもなる。どんな形からでも点が取れる人選と配置。エキサイティングで、見ていてワクワクするようなサッカーを見せてほしいですね!」

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

※『サッカーダイジェスト』2020年5月14・28合併号より転載。一部、加筆・修正。

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