「大事な時期にプレーできない」26歳の岩波拓也が抱く不安…それでも今できることは

「大事な時期にプレーできない」26歳の岩波拓也が抱く不安…それでも今できることは

今季は開幕から2試合連続で先発。連勝に貢献した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



「かなりストレスが溜まっていますし、早くサッカーをしたい気持ちでいっぱい。なかなか先が見えない現状ですけど、いち選手として改めてサッカーに生かされているんだなと、それはすごく感じます」

 浦和レッズの岩波拓也は、危機感と不安を抱きながら、早くピッチに戻れることを望んでいる。

 今季の浦和は、昨年まで長らく採用していた3−4−2−1から4−4−2へとシステムを変更。必然的にCBの席は「3」から「2」に減少した。

 このふたつの席を巡る競争は熾烈を極めている。なにせ人材が多士済々なのだ。元日本代表の槙野智章、ブラジル人助っ人のマウリシオ、対人能力と統率力を兼ね備える鈴木大輔、U-23オーストラリア代表の主将を務めるトーマス・デン、そしてクレバーでフィード能力の高い岩波が揃う。
 
 キャンプから激しいアピール合戦が続くなか、ルヴァンカップの仙台戦、リーグ開幕の湘南戦の2試合で岩波はスタメンで出場。鈴木とコンビを組み、連勝に貢献した。昨年アジア年間MVP賞にノミネートされた槙野が先発できなかったことからも、その争いのレベルの高さが分かる。

「もちろんキャンプの時から争いはあると思っていました。ただでさえレッズにはハイレベルな争いがありますし、新しく入ったトミー(トーマス・デン)もすごくいい選手。危機感はあります。でも自信だけは常に持っています」

 しかし、開幕から2試合連続で先発したところで安心はできない。実力者ばかりでいつ取って代わられるか分からない。

「実は湘南戦が終わった後に少し怪我をしてしまって、次のリーグ戦にはおそらく間に合っていなかったもしれない。それがあったので、焦りは感じていた。簡単に戻れるポジションではないし、簡単に戻してくれるメンバーではない。そのへんは危機感を常に持ってやっています」

 中断したことで右太ももの治療に充てられたのは幸運だったが、それでも再開後も苛烈な競争は続くだろう。ポジションが確約されている保証はない。

 だからこそ今は、できることに最大限で取り組む。中断期間を「自分の身体を作るチャンス」だとポジティブに捉え、脂質の少ない食事を心がけ、肉体改造に励んでいる。

「筋トレとか今できることはあるので、そこは継続してやっていきたい。ピッチに戻ればポジション争いがあり、自分の良さをしっかり出していかないといけない。そこまでしっかり怪我をせずにコンディションを上げていくことが一番大事かなと思います」

 ただそんなポジション争いの危機感を抱きつつも、「なによりサッカーができる喜びをもう一度感じたい」という。

「これだけサッカーをしていない時間はプロに入ってなかったので、自分でもどういう感じになるか分からないですけど、それはどこのチームもどこの選手も同じなので、もう一度コンディションを作っていきたいと思います」
 
 岩波は今年の6月で26歳を迎える。20代後半はアスリートとしては脂がのる最も“旬な”時期と言える。そんなタイミングで訪れた新型コロナウイルスによるリーグ戦の長期中断。再開日も決まらないような先の見えない状況で、不安を感じないと言えば嘘になる。

「2、3日前にふと思っていました。やっぱり26〜30歳までが一番大事だと思っていた。その時期にプレーできないのは、キャリアにおいてすごく残念。だからこそ早く試合をしたい気持ちはある。不安がないわけではないけど、とにかくJリーグがある生活に戻りたいと思っています」

 こうした不安を抱えるアスリートは岩波以外にも少なくないだろう。彼らがまた安心してプレーをして、健全なポジション争いに挑めるよう一刻も早い事態の終息を願うばかりだ。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
 

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