「競争は激しくなるけど…」スペイン代表の新鋭MFが語る「東京五輪延期の利点」【現地発】

「競争は激しくなるけど…」スペイン代表の新鋭MFが語る「東京五輪延期の利点」【現地発】

スペイン五輪代表で攻撃の要として期待されるのが、バルサのカンテラ出身のダニ・オルモだ。(C)Getty Images



 スペインのアンダーカテゴリーのチームが近年、もっとも輝きを放ったのが、昨夏にイタリアで開催された欧州選手権を制したU-21代表だった。戦いぶりも堂々たるもので、当然、その半数以上の主力が残る東京五輪でも優勝候補の筆頭に挙げられていた。

 しかし新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、東京五輪が1年延期された。不測の事態であるが、この決定を前向きに捉えるのが、攻撃の要のひとりであるMFダニ・オルモだ。

 今年1月にRBライプツィヒに移籍した新鋭は、今シーズンに鮮烈なデビューを果たしたアンス・ファティ(バルセロナ)、進境著しいマルク・ククレジャ(ヘタフェ)やフェラン・トーレス(バレンシア)、伸び盛りのエリック・ガルシア(マンチェスター・シティ)、低迷するチームに引きずられるようにスランプに陥っていたマルク・ロカ(エスパニョール)、プレミアリーグの壁にぶち当たっていたダニ・セバジョス(アーセナル)とパブロ・フォルナルス(ウェストハム)らと自らを重ね合わせながら、その利点をこう説明する。

「誰もが素晴らしいクオリティーの持ち主だ。どこのチームでプレーしても活躍できるほどにね。まだ適応段階にある選手もいるけど、それは時間が解決する。1年後には、大きな成長を見せているはずだ」

 一方、指揮官のルイス・デ・ラ・フエンテは1年間の延期について「非常に残念だ」と悔やみながらも、ダニ・オルモと同様に、経験という観点ではプラスになると力説する。

「選手たちは1年の間に貴重な経験を積むことができる。それで彼らがさらに進化を遂げてくれることが我々の願いだ。2002年生まれのアンス・ファティ、2001年生まれのエリック・ガルシア、2000年生まれのフェラン・トーレス、セルヒオ・ゴメス(ウエスカ)といった選手は、新たな主力候補だ」
 
 先日、FIFAとIOCは1年間の延期に伴い、出場資格について年齢の上限を「24歳以下」に引き上げることを発表した。そんななか、スペイン・サッカー連盟の下部組織統括コーディネーターのフランシス・エルナンデスはオーバーエイジ枠の採用を明言するとともに、同じく1年間延期となったEUROとの掛け持ち招集の可能性を示唆する。

「ダニ・セバジョスやファビアン・ルイス(ナポリ)といった選手は、A代表の常連だ。彼らはオーバーエイジ枠の有力候補だよ」

 競争激化は必至だが、しかしダニ・オルモはむしろこの状況を歓迎する。

「大会を迎える時点でのコンディションがポイントになる。98年、99年、2000年生まれの中からも次々と有望株が頭角を現わしている。1年経てば、その数はさらに増えているはずだ。チーム内の競争が激しくなるのは間違いないけど、それぞれが切磋琢磨して成長していけばいい」

 さらにEUROとの掛け持ちにも、「EUROは選手にとって夢の大会。五輪は一生に一度しか参加できない。ひと夏でその両方の大会に出場できるなんて最高だよ」と前向きな姿勢を示す。
 

 目標の“ダブル出場”を実現するには、いうまでもなくライプツィヒでの活躍が前提になる。ただ移籍金2000万ユーロ(約25億円)で大きな期待を受けて入団したものの、ユリアン・ナーゲルスマン監督が採用する難解かつ斬新な戦術への適応に苦しみ、出場機会は限られていた。

 21歳のアタッカーは、「ライプツィヒは僕が加入した時、ブンデスリーガの首位を走っていた。その好調なチームの波に乗るのは簡単ではなかった」とその事実を認めたうえで、今後の巻き返しに意欲を示した。

「ライプツィヒはブンデスリーガの勢力図を塗り替えようと野心的なプロジェクトに取り組んでいる。その最大の目標が、まだ獲得した経験がないリーグタイトルで、僕もチャンピオンになるための手助けをしたいと思って入団を決意した。早くチームに適応して、もっと成長して、定位置を奪いたい」

 現在、ブンデスリーガをはじめ欧州各国のリーグ戦は中断を余儀なくされている。だが、あくまで前向きなダニ・オルモの視線はすでに未来へ向けられている。

文●ディエゴ・トーレス(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
 

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