【小野伸二/この一枚】異国の地でも愛されて、日本人の“誇り”さえ感じさせる存在に

【小野伸二/この一枚】異国の地でも愛されて、日本人の“誇り”さえ感じさせる存在に

練習後にファン・マルバイク監督(右)に呼び止められた小野(左)は、2日後のNEC戦で好プレーを披露。2-1の勝利に貢献した。写真:徳原隆元



 5月11日に『サッカーダイジェストweb』で掲載されていた記事で目に留まるものがあった。小野伸二がオランダのフェイエノールトに所属していた時の話で、監督のベルト・ファン・マルバイクが「シンジ・オノは今まで見てきた選手の中で最高の選手だ」とコメントしていた。

 このコメントを読んで、小野が当時のフェイエノールトにとって、かけがえのない選手であったことを表わす場面を思い出し、過去の写真データを探してみた。2003年3月14日にフェイエノールトの練習風景を撮影した中に、そのコメントに説得力を持たせる一枚があった。

 練習が終わるとファン・マルバイクがふたりの選手を呼び止めて話を始めた。そのひとりが小野だった。写真に切り取られた表情は真剣で、重要なことを話しているのが分かる。2日後にはアウェーでのNEC戦を控えており、小野は指揮官が練習後に選手の中から選んでコミュニケーションを取るほど、チームにとって重要な選手だったということだ。

 そして、NEC戦に先発出場した小野は好プレーを見せ、2-1の勝利に貢献する。繊細なボールタッチから前線へとボールを供給して攻撃をリード。味方にも堂々と指示を出し、セットプレーのキッカーも務める中心的役割をこなしていた。

 当時のフェイエノールトは01-02シーズンにUEFAカップで優勝するなど、ヨーロッパの国際大会でトップレベルのクラブとも対戦をしていた強豪である。そうしたチームで存在感を発揮できる選手が、日本人から出現するという事実が嬉しかった。
 


 だが、小野を取材していて嬉しさを感じたのは、何もピッチ上のプレーだけではない。練習が終わると観戦していた子どもたちとも気軽に遊び、サポーターの求めに応えてサインもする。当時のフェイエノールトの日常に小野は欠かすことのできない存在として、人々から愛されていたのだ。

 サッカーはスポーツという枠を超え、そこに生きる人々の感情や存在意義までもが投影される地域の象徴だ。異国でそのサッカーを通じて日本人が愛されている場面を見た時、嬉しさ、いや誇りさえ感じはしないか? そう、これがフットボーラー小野伸二の最大の魅力なのである。

取材・文・写真●徳原隆元

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