石川直宏が選ぶJ歴代最強チーム「『もう勘弁してくれ』。そんな絶望感を味わった相手が…」

石川直宏が選ぶJ歴代最強チーム「『もう勘弁してくれ』。そんな絶望感を味わった相手が…」

組織として完成度が高かった02年の磐田。FC東京をホームで6−1と圧倒している。写真:サッカーダイジェスト



 5月28日発売のサッカーダイジェストでは、「Jリーグ歴代最強チーム」と題し、現役選手や元日本代表など総勢50名に“歴代で最強だと思う3チーム”を選んでもらっている。ここでは、元日本代表の羽生直剛(現FC東京のクラブナビゲータ)の“最強チームトップ3”を紹介しよう。

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「石川直宏が選ぶ“最強チームトップ3”」
1位:2002年のジュビロ磐田
2位:2006年の浦和レッズ
3位:1993年のヴェルディ川崎

 1位は、02年にリーグ戦で完全優勝を果たした磐田。(FC東京は)ホームで0−2、アウェーでは1−6でやられて、高原(直泰)さんには計6ゴールも奪われた。惨敗を喫したアウェーゲームは、僕が現役時代に「もう勘弁してくれ」と絶望感を味わった試合です。

 僕は1対1で仕掛けてリズムを作るタイプですが、当時の磐田と戦うと“動かされている感じ”でした。言ってみれば「やらせておけばいいよ」みたいな。上手い具合に放っておかれるんですよ、でも、自由にはやらせてくれない。組織的にしっかりと網が張られていて、向こうの間合いになったら奪われる。実際、どこでボールを受けても、ほとんどスペースはありませんでした。はめられている感じですよね。

 奪ったボールを流動的に動かされ、あっという間にピンチになって高原さんに決められる。試合巧者ではなかった当時のFC東京との間には、大きな力の差がありました。少なくとも、僕はそれを一番感じた試合でした。

 当時の高原さんはフォワードとして突出していましたね。パワー、技術はもちろん、スペースへの抜け出しも抜群。止める術がなかった印象です。
 
 守備面で凄かったのがハットさん(服部)です。僕がドリブルで仕掛けた時に「やらせておけばいい」と言ったのはハットさん(笑)。ハットさんはピッチ上の監督で、そういう選手がいるチームは主体的に戦える。当時のFC東京にはハットさんのような司令塔がいなかったので、余計、ハットさんのプレーが印象に残っています。

 2位に選んだ06年の浦和にも錚々たるメンバーがいました。なかでもポンテ、ワシントンの両外国籍選手は強力で、チーム力も高かったです。当時のFC東京は3−5−2システムとの相性が悪くて、その布陣で戦う浦和との試合は苦戦しましたね。

 ボールの動かし方が上手く、各選手のポジショニングも優秀。そのなかでワシントンを生かし、(鈴木)啓太やウイングバックの能力を引き出していたのがポンテでした。リズムがひとり違いましたね。嫌な選手でした。技術が高い選手は、簡単にはたける時ははたくし、キープしてほしい局面では確実にキープする。ポンテがまさにそうで、さらにひとりでシュートに持ち込める大胆さもある。なんでもできるアタッカーでしたね。

 嫌な選手と言えば、三都主(アレサンドロ)もそうでした。浦和戦で対峙した時、こっちは僕と(徳永)悠平のふたりではめようとするんですが、それでも捕まえられない。動きが読めなくて、苦労しました。
 

 3位は93年のヴェルディ。当時僕は小学6年生で、マリノスとのJリーグ開幕戦も観にいきました。細かい戦術などは覚えていませんが、日本のトップ・オブ・トップの選手が集結していて、「俺たちがJリーグを引っ張る」というプライドを感じさせてくれるチームでした。

 華やかで、強くて、好きな選手は多かったですね。個性が強い集団がチームとしてまとまるところに感動を覚えたり、選手一人ひとりから「プロフェッショナルとはこうだ」というメッセージを伝えられた気がします。カズさん(三浦知良)、ラモス(瑠偉)さん、北澤(豪)さん、武田(修宏)さんらスター選手を支えていたのが、汗かき役の(中村)忠さん。こういうチームには忠さんのような選手が不可欠です。

 個の能力が上手く融合して、優れた組織を形成していたのが、02年の磐田であり、06年の浦和であり、93年のヴェルディでした。組織力という点では、鹿島も素晴らしいです。個人的に鹿島には苦手意識がありました。小笠原(満男)選手や中田(浩二)選手に止められて、ほとんどゴールを奪った記憶がありません。

 その鹿島も含めて、組織の中で生きる、生かされるチームにはブレない強さがありました。現役時代、常にそういう関係でプレーできていた時は、チームも自分も力をより発揮できていたと思います。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

※『サッカーダイジェスト』2020年6月11・25合併号より一部転載・加筆。

文章:【詳細情報】2020年6月11.25日合併号
https://www.nsks.com/ssd/detail/id=914


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