「手放しで太鼓判は押せない」ブンデスで大ブレイクした4人の超逸材をスペイン人記者が分析【現地発】

「手放しで太鼓判は押せない」ブンデスで大ブレイクした4人の超逸材をスペイン人記者が分析【現地発】

左上から時計まわりで、ハベルツ、ハーランド、デイビス、サンチョ。(C) Getty Images



 他国の先陣を切って再開したメリットも追い風にして、ブンデスリーガの若手が注目を集めている。中でも、急速に知名度を高めているのがカイ・ハベルツ(レバークーゼン)、アーリング・ハーランド、ジェイドン・サンチョ(ともにボルシア・ドルトムント)、アルフォンソ・デイビス(バイエルン・ミュンヘン)の4人だ。

 ヘルムート・ハーラー、カール=ハインツ・シュネリンガー、ホルスト・シマニアクらを皮切りに、かつてドイツ人選手がセリエAに活躍の場を移すケースが後を絶たない時代があった。アルゼンチン代表と顔を合わせた1990年ワールドカップの決勝では、セリエAに所属している7人の選手がドイツ代表のメンバーに名を連ねた。しかし市場のグローバル化の流れと逆行するように、その数は急激に減少。経営を強化したバイエルンが国内市場を独占する状態が続いた。

 ドイツ・サッカーが輸出大国だった頃は、選手たちの知名度が高く、クオリティーも保証されていた。しかし活躍の場がブンデスリーガに限定される傾向にある昨今、バイエルン・も含めて、注目を集めている若手ですら“品質保証度”が全体的に低下してしまっている。
 
 前述した4選手についてもそれは同様だ。もちろんいずれも将来を有望視されている逸材であるが、現時点では国際レベルでの活躍は限られている。まだまだ成長段階にあり、実際にどこまでの選手になるかは未知数な部分が少なくない。

 ハベルツは190センチの長身とは思えない柔軟なテクニックの持ち主で、まるで軽業師のような器用なプレーを見せる。もちろんその高さはヘディングの強さに活かされている。ボールに触れば、プレーエリアを問わず、天性のセンスと正確な判断力を発揮。精度の高い左足のキックを武器にフィニッシュにも絡む。

 ボールを持つだけで、次にどんなプレーを見せてくれるのかと観る者に期待感を抱かせてくれる選手だが、反面その余裕溢れる振る舞いが、献身性やどん欲さが欠如している印象を助長させる要因にもなっている。まだ20歳。ベテラン選手のような悠々としたプレーに終始するのは早すぎる。ともあれこの一点を除けば、逸材中の逸材であるのは間違いない。
 

 ジェイドン・サンチョはブラジリアンテイストを漂わせた英国人選手だ。早くからマンチェスター・シティと各年代のイングランド代表で活躍し、2017年夏に移籍金800万ユーロ(約10億円)でドルトムントに加入。前線を幅広く動き回りながら局面を打開するプレーを連発し、パサーとしても優秀で、得点力も高い。

 その活躍に比例し、市場価値も高騰。事実、若手の中ではもっとも高値がついている選手のひとりだが、彼もまた手放しで太鼓判を押すことはできない。気がかりなのは、どこか不満を抱えながらプレーしているように見える点だ。それがパフォーマンスの不安定さにも繋がっており、このムラっ気の多さが今後のキャリアに影を落とす可能性は否定できない。

 ハーランドは、北欧出身らしい金髪で大柄の選手だ。一見すると、いかにも武骨なストライカーといった趣だ。実際、体中から力強さが漲っているが、同時にそのイメージに似つかわしくない繊細なプレーを見せる。

 さらにストライカーらしいゴールへの強い執着心に加え、プレーも落ち着いている。レッドブル・ザルツブルクから今年1月に移籍したドルトムントでゴールを量産できているのも、冷静なフィニッシュワークの賜物である。もっとも彼にしてもまだまだ未完成な部分が多く、今後どのような成長曲線を描くかは意見の分かれるところだろう。
 
 アルフォンソ・デイビスはこの4人の中でブレイクの時期はもっとも遅かったが、同時にもっとも完成された選手である。たしかに守備を苦手にしている面は否めないが、タッチライン際で上下動を繰り返しながら、左サイド全般に発揮するプレゼンスは圧巻ですらある。

 特筆に値するのは、天性のフィジカルだけに頼ることなく、プレーエリアに応じて自慢のスピードを使い分けられる判断力も備えている点。サッカー選手としての完成度の高さを感じさせる所以でもある。すでにビッグクラブに在籍し、キャリアプランが確立されている点も他の3人にはない要素だ。向こう10年間、バイエルンの左サイドバックは安泰である。

文●サンティアゴ・セグロラ(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
 

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