【THIS IS MY CLUB】生え抜きの守護神・八田直樹が、ジュビロや“ライバル”への想い、イチ押し選手を語る!「移籍も考えたけど…」

【THIS IS MY CLUB】生え抜きの守護神・八田直樹が、ジュビロや“ライバル”への想い、イチ押し選手を語る!「移籍も考えたけど…」

磐田のユースからトップチームに昇格して16年目を迎える八田。(C)SOCCER DIGEST



 昨シーズンに、クラブ史上2度目の降格を経験したジュビロ磐田。昨夏に就任したフェルナンド・フベロ監督の下、半数以上の選手を入れ替える大刷新を行ない、1年でのJ1復帰を目指している。

 この度、サッカーダイジェストもその一員となっている「DAZN Jリーグ推進委員会」では、「THIS IS MY CLUB – FOR RESTART WITH LOVE - 」と称して、各クラブの「在籍最長選手」へのインタビューを実施。磐田では、ユース出身の生え抜きで、トップ昇格16年目を迎える守護神・八田直樹に“異例のシーズン”に懸ける想いを語ってもらった。

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――三重県出身でジュビロのユースに入った経緯は?

「世代別の代表に選ばれていたので、目に留まってスカウトしてもらった形ですね」

――当時はジュビロのファンだった?

「申し訳ないですけど、違いました。三重県はJリーグのクラブがないので、どちらかと言えば名古屋グランパスが身近な存在でした。テレビでは中日ドラゴンズの試合が良くやっていたので、あまりJリーグを観る機会もなかったですね。高校サッカーの方が注目度は高くて、僕も選手権に出て活躍したいと思っていました」

――高体連ではなく、ジュビロのユースを選んだ理由は?

「スカウトしてもらって、色々な人から話を聞きました。中学生ながらに考えて、ジュビロを選ばせてもらいました。やはり環境が良かったですから」
 
――ユースに入ったのが2002年です。先日『サッカーダイジェスト』で実施した企画では、その年のジュビロが「Jリーグ歴代最強チーム」の1位に輝きました。

「正直、トップチームの試合を観る機会はあまりなかったんです。結果だけ見て、『また勝った』みたいな感じでしたね」

――トップチームの選手と交流する機会はあまりなかった?

「そうですね。高校に通いながら、練習が毎日ありましたし、初めて親元を離れての寮生活だったので、自分のことでいっぱいいっぱいだったところもあります。本当に必死だったので。その環境に慣れてからですね。当時のサテライトリーグにユースから何人か呼ばれてたんで、そこに入りたいなとか、トップの練習に参加したいなと感じ始めたのは」
 

――世界的にも生え抜きのバンディエーラが少なくなっています。移籍を考えたことは?

「何度もありましたよ。でもそのタイミングで、他のキーパーが退団したので、わざわざ自分が出て行く必要がなくなった。誰かが抜けたところを埋めていった、そういう感じでした。僕より実力のある先輩がいなくなるという話を聞いて、じゃあこのチームで勝負してみようかなという感じで、ずっといさせてもらってます」

――ジュビロの魅力は?

「これだけ長く在籍していると、『愛着は?』と聞かれるんですが、あまり考えたことがないですね。言葉には出しにくいというか。ただ、頭で考えなくても、結局このクラブにいるということが、魅力だったり愛着だったりするのかなと」

――今季で16年目です。これまでで最高の瞬間は?

「勝つのはいつでも最高ですね。あのピッチで、あの声援の中で勝って喜べるというのは幸せですし、そのために頑張っています。ひとつ選ぶならナビスコカップ(現ルヴァンカップ)で優勝した時(2010年)ですね。、決勝戦には出られなかったですが、優勝って良いなと本当に思いました」
 
――昨シーズンはクラブとしても、八田選手としても2度目の降格を味わいました。

「チームというのは難しいなと思いました。レギュラー、ベンチ入りする人、ベンチにも入れない人がいるなかで、みんなで一つの方向に向かって同じ気持ちで戦うというのは、本当に難しい。僕もシーズン初めはベンチにも入れなかったので、『試合に出たい、負けたくない』という気持ちでやっていました。

 ただ、長い間チームにいるので、もう少しメンバーから外れたやつの気持ちになって、自分が支えてあげられれば良かったなと。もう一回引き上げてあげられたら良かったんですが、なかなか伝えられなかった。試合に出られるようになってからは、試合で勝つことに集中していましたし。もっとみんなを同じ方向に向かせられることができていたら、ああいう結果になってなかったかなという後悔はあります」

――いまもお話にありましたが、ご自身はシーズン途中からレギュラーを奪回しました。

「自分で言うのもなんですけど、試合に出ていることが奇跡みたいな感じでした。だから持っているものを全て出そうと思いましたし、僕がだめでもカミック(カミンスキー)がいる、という気持ちでやっていました。ずっと一緒に練習をやっていたから、彼の凄さは誰よりも知っているんで。正直、僕が出ている時も練習のパフォーマンスはカミックの方が良かったと思います。だからある意味で安心してやれましたし、やるだけやってダメだったら仕方ないみたいな感覚でしたね」

――その良きライバルだったカミンスキー選手は退団しました(母国ポーランドのヴィスワ・プウォツクに復帰)。

「カミックと一緒にやれたのは、今後の人生でも財産になると思う。そのくらいの印象に残ってる人間ですね。三浦(龍輝)と志村(滉)も含めて、去年のキーパー陣は、悪いグループではなかったかなと思います」
 

――コロナ禍で、自粛期間中はどのように過ごしていた?

「自分を見つめ直す時間があり過ぎなぐらいあったので、YouTubeで色々な選手の動画を見て、自分の足りない部分とかをチェックしました。グループ練習に入ってからも、その足りないところをなんとか克服しようと思ってやりました。簡単にできることではないので、ストレスもかかりましたが。なので、良い時間にできたと思います」 

――足りない部分とは具体的にどんな点ですか?

「たくさんあり過ぎて言うのは難しいんですけど、全てにおいてまだまだ足りないと思っています。ただ、海外の選手のプレーを見たりして、逆に頭の中がいっぱいなり過ぎると身体が動かなかったりしたので、試行錯誤しながらやっています」

――どんな選手のプレーを参考にした?

「具体的にこの選手というわけではなくて、いまはトレーニングとかも動画で見られるので、参考にしたりして、もっとやらなきゃいけないと刺激になりましたね」
 
――長い間シュートを受けていませんでしたが、反応は鈍らなかった?

「多少はありましたが、いつもシュートを受けていても心配なので(笑)。普段から“試合勘”とかはあまり考えないようにしています。意識してしまうと、マイナスになるので。あまり考えずに、自信を持ってやっていきたいなと」

――再開に向けて、チームの仕上がりは?

「フィールドプレーヤーは疲労感があると思う。自粛期間が長かったので身体をもう1回作り直さないといけませんし。その疲れが抜けてくればいいんですが。対外試合がそれほどできてないので、まだ分からない部分もあります。紅白戦だとお互い特徴が分かってるんでね。試合が始まってみないと分からないですけど、やってきたことは間違いないと思うので、自信を持って戦っていければいいと思います」

――アスルクラロ沼津とのトレーニングマッチでは、リモート応援システムがテストされました。

「声が聞こえていい雰囲気でしたし、良い緊張感を持ってやれましたね。周りを見たらサポーターはいないですけど、試合中も周りを見ることはそこまでないので、気にならなかったですね。もちろんお客さんがいないのは、相当寂しいものがありますけど、声というのは、やはり力になるなと」

――フベロ監督はどんな指揮官?

「選手に積極的にコミュニケーションを取るというよりは、どっしり構えているタイプですね。厳しく言うところは言いますし、『ピッチで戦わなければいけない』というのは、口を酸っぱくして言われます」
 

――今季のチームの特徴は?

「攻守の切り替えですかね。全員攻撃・全員守備じゃないですけど、切り替えがいかにできるかだと思います。みんながさぼらずに同じ方向を向いて戦っていけば、自ずと結果が出てくる。ただ、先ほども言ったように、全員が同じ方向を向くというのは、簡単じゃない。過密日程なので、全員が出た時に同じようなプレーができれば。チームとして、集中力を切らさずにメンタルをしっかり維持して1年間戦っていきたいですね」

――イチ押しの選手を教えてください。

「小川航基は、オリンピック代表候補ということもあって誰もが注目しているので、別の選手にしておきます。僕のイチ押しはミッドフィルダーの藤川虎太朗ですね。すごく戦ってくれるし、守備でも戻ってきてくれたり、ボールを収めてくれたり、『ありがたいな』と思いながら後ろから見ています。まだ21歳ですけど、技術も高いし、シュートも上手い。1、2年目の時はよく一緒に練習してたんですよ。当時より数段に動けてますし、戦えている。あいつには期待はしています。あと、針谷岳晃や伊藤洋輝は、僕がベンチ外の時に一緒に練習する時間が長かったので、頑張って欲しいなと」
 
――今シーズンの目標は?

「チームの目標は、もう一つしかありません。J1に昇格できるように戦っていきたい。僕自身は、試合に出たらチームが勝てるようにしたいですね。自分のプレー云々よりも、チームが勝点を取れるように、少しでも貢献したい」

――再開初戦となる6月28日の京都サンガ戦に向けての意気込みは?

「もう1試合やってますけど、またリスタートの開幕戦だと思っているので、重要な一戦です。コロナの影響でまだ自粛しているものも多い中で、Jリーグが再開するということで、注目度も高いと思う。しっかり勝点を取りたいですね」

――最後にファン・サポーターへメッセージをお願いします。

「ここまでサポーターの人と顔を合わさないというのは初めてなので、何と言っていいか分からないですけど、皆さんも色々ストレスかかってると思いますし、大変な時期だと思います。選手も難しい状況ですが、サポーターの皆さんと喜びを分かち合うために日々練習していますし、これから試合を戦っていきます。最初はリモートマッチなので、スタジアムでサポーターの皆さんの顔を見る事はできませんが、しっかり戦って勝点を積み重ねていきたいと思います。リモートマッチが解除された時には、またスタジアムで、そして大久保グラウンドで熱い声援を送ってください。よろしくお願いします」

取材・文●江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)
協力●DAZN
 

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