Jリーグ再開後の3大注目ポイント! 過密日程と酷暑のダブルパンチ――有利なのは川崎か

Jリーグ再開後の3大注目ポイント! 過密日程と酷暑のダブルパンチ――有利なのは川崎か

異例のシーズンで優位なのは川崎か。後藤氏が推す理由とは――。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)



 J2・J3リーグが6月27日に再開・開幕を迎え、J1リーグもついに7月4日から再開する。約4か月間の長期中断期間を経て行なわれる今シーズンは、過密日程を考慮し、「5人交代制」や「降格なし」のレギュレーション変更や、リモートマッチなど、いまだかつてない状況での開催に、波乱の展開も予想される。
 
 ここでは、“コロナ禍”のなかで行なわれる今シーズンのJリーグで、3つの注目ポイントをサッカージャーナリストの後藤健生氏に挙げていただいた。コロナがもたらすリーグ、クラブへの影響、特筆すべき点を紹介していく。
 
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【ポイント1】過酷なサバイバルレースを乗り切れるのはどこ?
 
 約4か月の中断を経て再開したJリーグ……。12月まで6か月弱の間にJ1リーグで33試合、J2ではなんと41試合を戦う強行スケジュールとなる。代表ウィークにも中断せずに戦いが続くので、メンタル的な疲労も激しいことだろう。当然、選手層の厚いビッグクラブが有利だ。
 
 もう一つ、難しいのは再開直後に夏の猛暑を迎えることだ。トレーニング不足で、暑さの中でのプレーに体が慣れていないだけに、連戦は選手の体力を確実に消耗させる。運動量で勝負するチームより、ポゼッション志向でボールを動かすチームが有利というのはいつもの通りだが、今年はその傾向が一層強まる。
 
 選手層が厚く、ボールを動かすスタイルのチーム……。2つの条件を満たすのは川崎フロンターレだ。昨年の川崎は負傷者が多く、選手をやり繰りしながら戦った試合も多かったが、その経験が生きてくる。複数ポジションをこなせる選手も多いし、大学サッカー屈指のアタッカーだった三苫薫と旗手怜央も加入して層はますます厚くなっている。
 
【ポイント2】多くなるジャイアントキリング
 
 今季のJリーグは降格がなくなり、交代枠が5人に拡大された。過酷な夏場の連戦。優勝を狙うチームはローテーションを使って、疲労を溜めないようにするしかない。連戦の最中に下位との試合があれば、メンバーを落とすことも必要だ。いわゆる「谷間の試合」である。
 
 下位チームにとってはそこが狙い目だ。降格がないのだから、例年なら最優先となる下位同士の“直接対決”は無視して、上位との試合に照準を合わすことができる。
 
 そして、5人の交代枠が武器となる。上位チームにとっては選手交代もローテーションの一環なのだが、下位チームにとっては下克上のための武器として使えるのだ。たとえば、守備の強い選手でスタートして後半までスコアレスで持ちこたえ、一気に5人を交代させて攻撃に移る……。そんなギャンブルもできる。J2開幕節では前半0−3でリードされた愛媛FCがハーフタイムに3人を交代させて流れを変え、大逆転勝ちした試合もあった。それをもっと計画的にやれば大きな武器となるだろう。
 
「ジャイアントキリング」はサッカーの醍醐味の一つ。下位チームには果敢な挑戦を期待したい。
 
【ポイント3】新型コロナウイルス対策のモデルとなろう
 
 Jリーグは新型コロナウイルス感染症に対して迅速かつ的確に対応してきた。他のイベントより早い段階で「中断」を決定し、その後はプロ野球と連携して専門家の意見を聞きながら対策を練り、再開に漕ぎつけた。選手や審判員など関係者全員3,000人以上を対象にPCR検査を実施したのも、検査数が少なかった日本では異例だった。
 
 しかし、本当の難しさは再開後にある。無観客で再開した後、まず5,000人まで、続いてキャパシティーの50%まで、といったように段階的に観客を増やしていく。この間、感染の拡大、クラスターの発生は絶対に避けなければならない。
 
 リーグ戦が成立するかどうかというだけではない。もし、Jリーグが試合の開催と感染拡大防止の両立に成功すれば、その経験は他競技とも共有できるし、来年に延期された東京五輪開催への指針ともなりうる。だが、これだけ綿密に対策を練ったJリーグで感染拡大が起こってしまったら、他のあらゆるイベントが開催不可能ということになりかねない。日本のスポーツ界全体に対して、Jリーグが負う責任の重さは計り知れない。
 
文●後藤健生(サッカージャーナリスト)
 

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