【THIS IS MY CLUB】“ミスターセレッソ”森島寛晃社長が語るクラブ愛と異例のシーズン「この状況をなんとかせなあかんと…」

【THIS IS MY CLUB】“ミスターセレッソ”森島寛晃社長が語るクラブ愛と異例のシーズン「この状況をなんとかせなあかんと…」

2018年12月にセレッソ大阪の代表取締役社長に就任した森島氏。“モリシ”は引退後も「チームの顔」だ。写真:山脇美紀



 7月4日のJ1リーグ再開を前に、サッカーダイジェストもその一員を成す「DAZN Jリーグ推進委員会」では、「THIS IS MY CLUB – FOR RESTART WITH LOVE - 」と称して、各クラブの関係者にインタビューを実施した。

 セレッソ大阪では、現役時代は生え抜きのスター選手として活躍し、現在は代表取締役社長としてクラブを支える“ミスターセレッソ”森島寛晃氏が登場。クラブへの想いや異例のシーズンへの意気込みなどについて語ってくれた。

――◆――◆――

――コロナ禍で、大変な状況だと思います。

「ルヴァンカップ、リーグ戦と白星スタートを飾っていただけに、中断してしまったのは非常に残念でした。新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、どのクラブもこれまでにない状況を経験しています。Jリーグも何度も延期が続き、先が見えないなか、再開できるのかという不安もありました。そんななか、ようやく再開が目の前まで来て、準備をする段階に移ってきた。皆さんにまたパワーをもらいながら、スタートラインに立たせてもらえるのかなと」
 
――再開日が決まってまた延期を繰り返すという、ストレスが溜まる流れでした。

「そうですね。3か月以上も試合が行なわれないというのは選手時代も含めてほぼ経験したことがなかった。選手たちは自粛のため外に出れない状況で不安を抱えていました。クラブスタッフも、再開に向けて準備を整えていたら、また延期というのが続いて、苦労した面もありました。ただ、我々だけじゃなくて、応援してくれるサポーターもスポンサーの皆さんも大変な状況だったと思います」

――森島社長がこの状況で一番気にしていることは?

「今は何よりも感染防止ですね。選手やクラブスタッフはもちろん、サポーターの皆さんにも安心して安全にサッカーを見てもらえるようにしていかないといけない。最初はリモートマッチで、制限をかけながら徐々にお客さんに来ていただくという、初めての形になるので、その準備は今まで以上にしっかりしていかないといけないですね」
 

――元選手という立場で、選手たちへの声掛けなどは?

「実際のところ、なかなかコミュニケーションを取れないのが現状です。普段ならグラウンド行って直接声を掛けることもあるんですが、いまはできるだけ選手に近づかないように気を付けています。ただ、トレーニングマッチで選手たちの動きを見たら、のびのびプレーしていましたし、みんな元気に準備をしてくれてるなと。

 開幕前に一度身体を作って、これだけ長く中断してしまったので、やはり怪我が心配です。再開に向けて、しっかり時間をかけて身体を作れているわけではないと思いますし、さまざまな規制がある中で、なかなかサッカーだけに集中できない環境でもある。もちろんサッカーができる喜びというのは今まで以上にあると思うので、怪我なくのびのびとプレーしてほしいなというのが素直な気持ちですね」
 
――この期間でサポーターやスポンサーさんからのサポートを改めて実感した?

「もうその通りですね。これまで当たり前のようにサッカーしてシーズンを送ってきましたが、サポーターやスポンサー、色々な人たちに支えられてやってこれたんだということを、クラブスタッフや選手たちも含めてみんなが感じたと思います。

 どのクラブも苦しい状況の中で、スポンサーの皆さんから『こういう時だからこそしっかりサポートしていくよ』という心強い言葉をもらいましたし、サポーターの皆さんから再開を待ちわびる声もたくさんいただきました。みんながこのクラブを支えてくれて、楽しみに待ってくれているんだなと改めて感じましたね。今後はそういう皆さんに希望や夢を与えていくのが、我々の使命だと思っています」

――再開後は今まで以上に勝利や“ワクワクさせること”が求められてくると思います。

「皆さんを『ワクワクさせる』という部分は昨シーズン以上に大事にしていかないといけない。今は思いっきり笑顔で楽しめるということがなかなかない状況なので、サッカーで皆さんを元気にしていきたいですね。みんながスタジアムで一体感を出して大きな声で応援できるようになればいいんですが、しばらくはさまざまな制限があります。選手が、見る人を魅了するようなプレーで引き付けてくれるのが一番ですが、リモートマッチでも楽しんでもらえるような企画をスタッフが準備してくれているので、そういうところも含めてサッカーでみんなが一つになれるようにしていきたいですね」
 

――その一つが「なんかせなあかん!プロジェクト」ですね。工夫を凝らしているのが伝わってきました。

「そうですね。これは、クラブスタッフがどう伝えていくかを、色々と考えてくれた中で生まれました。普通にやってもインパクトがないし、この状況をみんなで『なんとかせなあかん』みたいなところから、この名称になったんです。それぞれが企画を練って、みんなの想いが詰まったプロジェクトです。この想いがなんとか伝わればいいですね」

――サポーターの反響は?

「これまでも『長居をピンクに染めよう』という想いで色々なプロジェクトを進めていくなかで、様々な反響があって、賛同もいただきました。今回の『なんかせなあかん!プロジェクト』というのが出た瞬間に、普段連絡がない元同僚の人からLINEが送られてきたり、反響は大きかったですね。みんなやはり見てるんやなと」

――影響力の大きさを感じましたか?

「そうですね。もっと広めていって、賛同してもらって、みんなで一体感を出して盛り上げていきたいですね。今後も色々な形でプロジェクトが進んでいきます。サポーターの皆さんから、『こんなこともした方がいいんじゃないか』という声もぜひいただきですね。『なんかせなあかん!プロジェクト』が一つの大きなプロジェクトになっていくキッカケになればいいですね」
 
――選手時代と比べて、社長という立場では、セレッソを背負っていくということに違いはありますか?

「選手の時は、自分のできることはしっかりプレーするということしかない。それがチーム全体の力になると。これは一般的な会社でも同じだと思うんですが、選手が活躍できる場を見えないところで、クラブスタッフの人たちが準備してくれているんですね。今回のプロジェクトもそうですけど、スタッフのみんながなんとか選手を輝かせようと地道に準備をして、陰ながらクラブを支えてくれている。自分は選手だっただけに、そういったスタッフの人たちの想いをすごく感じています。

 選手の時はまず自分がやるんだという気持ちでしたが、今はみんながやっているものを自分も一緒にやっていくという感じですかね。だから、自分自身をもっとなんとかせなあかんなと。自分の『なんかせなあかん!プロジェクト』も並行してやっていかないといけないですね(笑)。みんながよくやってくれているので、セレッソがもっともっとサポーターの人たちやスポンサーの皆さんに応援してもらえるように、良いクラブになっていくように一緒にやっていきたいですね」
 

――社長になって1年半になります。

「日々反省ですね。まだまだです。もっとしっかりしていかなあかんと思うことばっかりで。サッカーの現場の部分は、ある程度分かってきていますが、会社の中での社長という役割に関しては、まだまだ経験が足りなくて、もっとスキルアップしていかないといけないなと」

――具体的には、どんな点ですか?

「まずクラブには色々な部署がありますが、その一つひとつの部門についての中身や動きをしっかりと勉強していきたい。例えば、営業でも色々なところに足を運んでセレッソの良さを伝えて仕事をしていますが、まだ勉強しなければいけない部分はたくさんあるので、分からないことは周りの話を聞きながらしっかりやっていかないといけないなと」
 
――選手としてのイメージと社長としてのイメージは、通ずるところもありますか?

「そうですね。チーム一丸、クラブ一丸というのは、セレッソがずっと目指してきた大事な部分ですし、みんながなんとかクラブのためにやろうという風にもっとなって行きたいなという思いは強いですね。あとは選手の時もそうでしたけど、地域の皆さんに応援してもらうことで非常に大きな力をもらっています。去年は大阪の区役所を全て回ってご挨拶させてもらうなど、地域の色々なところに顔を出しました。

 セレッソにより親近感を持ってもらうために、自分も引き続きあちこちご挨拶に行きたいと思っているんですが、今年はなかなかできていません。そういう地域密着が改めて大事だなと思うので、ホームタウン活動により力を入れてやっていきたいですね」

――「桜スタジアム」もクラブの大きなプロジェクトです。

「これはクラブの光ですね。今こういう状況ですが、来年に新しいスタジアム、長居球技場を改修した『桜スタジアム』ができるのは、明るいニュースです。ただ、こうした状況でも、完成するまでに募金をしっかり集めないといけない。代表理事になりましたし、重要な1年になります。スタジアムはスポーツの大きなパワーを発信していく場になりますし、プレーする選手も見ている人もみんなが笑顔になれる。サッカーでもラグビーでも、感動を与えていける場所ができるので、皆さんにご理解いただいて募金をお願いしたいですね。

 来年の3月までは『ふるさと寄付金』という形で税金が控除される制度もあります。5万円以上ですと、スタジアムに自分の名前が載ったプレートが貼り出されるんですよ。みんなで一緒に作るというのが当初からのコンセプトでもあるので、ぜひ皆さんのお力をお借りして、スポーツの感動を与えるスタジアムを完成させられればなと思っています」
 

――再開初戦がいきなり大阪ダービーです。今シーズンのチームの目標とクラブとして取り組んでいきたいテーマを教えてください。

「今年はまずサッカーができる喜びというのを、みんなが強く感じています。そして新しい観戦スタイルで、今までにない形でシーズンが再開していくので、今まで以上にサッカーでこういう状況の皆さんに元気と勇気を与えられるようにしたいですね。選手にもそういう思いでピッチに立ってほしいですし、クラブスタッフも安全安心を徹底したやっていきたい。サポーターやスポンサーの皆さんに『やはりセレッソがあって良かった』と思ってもらえるような、そういうパワーを送りたいですね。

 まずはアウェイで大阪ダービーがあります。自分たちの中では特別なガンバ戦ですし、サポーターも想いのこもった一戦です。スタジアムでの応援はできず、新しい形でのダービーになりますが、相手に負けないようにサポーターの想いを届けてほしいですね。

 告知っぽくなってしまいますが、リモート観戦を応援する企画として『なんかせなあかん! with出前館』というのを実施しています。6月19日から大阪ダービー当日の7月4日まで、セレッソを通じてキャンペーンをやっているので、ぜひ登録して出前を注文してみてほしいですね。選手とクラブへの大きなパワーに繋がってきますから。自分も利用しているんですよ」

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)    
協力●DAZN
 

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