U-19日本代表がコロナ禍の日本サッカー界で初の代表合宿。10月のアジア選手権へ練習の濃度がカギ

U-19日本代表がコロナ禍の日本サッカー界で初の代表合宿。10月のアジア選手権へ練習の濃度がカギ

U-19日本代表の指揮を執る影山監督。10月のU-19アジア選手権を見据えて、ウイルス感染対策など入念な準備のもとで合宿の開催を要望した。写真:徳原隆元



 来年5月のワールドカップを目指し、“影山ジャパン”がリスタートを切った。

 U-19日本代表は7月11日から千葉県のJFA夢フィールドで候補合宿を行なった。01年生まれ以降で構成されるチームが目指すのは、来年5月にインドネシアで開催されるU-20ワールドカップ。今年10月には出場権を懸けてU-19アジア選手権に挑むが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で代表活動は昨年11月の同大会予選以来となる。チームとして動くのは実に244日ぶりで、日本サッカー界にとってもコロナ禍で行なう初の代表合宿となった。

 そうした状況下を鑑み、今キャンプではJFAが策定した独自のガイドラインをベースにして、ウイルス対策に取り組んだ。

「U-19代表がトレーニングキャンプを行なうにあたり、(JFAのガイドラインに加え)JFAの医学委員会の方でも育成年代の活動を実施するために特別なガイドラインを作成してもらいました。安心、安全で活動を行なうことが第一優先。そのガイドラインに乗っ取って活動を行ないたい」

 影山雅永監督がメンバー発表時に話した通り、細かいルールを設けた。代表に合流する際は主要駅から施設までの公共交通機関の使用を禁止。関東圏の選手は“JFA夢フィールド”まで所属クラブスタッフに送迎してもらい、他地域の選手にはタクシーでの移動を求めた。

 到着後はPCR検査を受け、判定が出るまで自室で待機。また、ホテル内での行動も制限し、他部屋への訪問を自粛や、同じ空間で行なうミーティングや食事も十分な距離を取って行なった。練習中も給水時は選手ごとにボトルを分け、屋外のミーティングはソーシャルディスタンスを確保した上で実施。U-19代表の取り組みはA代表やU-23代表などにも適用されるはずで、全カテゴリーの活動において参考になるのは間違いない。

 今までとは異なる環境で再スタートを切ったU-19日本代表。入念な準備をしてでも活動を再開させたかったのは、冒頭でも挙げたように今年10月にU-19アジア選手権を控えているからである。昨年のU-20ワールドカップに出場した前回のU-19代表は本大会直近の10か月で海外遠征を4回、国内合宿を1回実施していた。一方、今回のチームは今年に入って一度も活動をしていない。情勢を見極めながらではあったが、「もともと7月は活動を予定していました。(コロナウイルスの影響で)Jリーグが連戦になってしまったが、最低でも3日間はキャンプをしたい」という指揮官の要望で今回のキャンプが実現した。
 

 開幕まで残された時間は96日。次の活動が予定通りに行なわれる保証はない。限られた状況でいかにチームを作っていくのか。それは今回のメンバー構成にも表われている。

 昨秋のU-17ワールドカップで活躍したひと学年下の選手たちを呼んだ一方で、半数以上は昨年から名を連ねていた面々。「2年前のチームであれば、コアな選手と伸び盛りの選手で構成するラージグループを作りますが、2年前のようにやっている余裕はありません」(影山監督)。指揮官の考え方を理解しているコアなメンバーを最初から幹に据え、チームを作っていく意向が見て取れた。

 その上で指揮官は“上手いチームより強いチーム”のコンセプトを維持しつつ、今回の活動で掲げたテーマがある。“チーム強化のスピードアップ”だ。

 今合宿では個々でばらつきのあるコンディションを把握しつつ、戦術的なトレーニングに着手。全選手が揃った3日目まではフィジカルメニューを主にしていたが、4日目の午前中から守備面を確認。同日午後は攻撃面を整理した。そして、仕上げに最終日の15日にはフルピッチで30分ハーフの紅白戦を実施。影山監督は後半にアディショナルタイムを約15分も取るなど、熱心に選手たちへ”戦い方のイロハ”を伝えた。

 指揮官の狙いは選手たちにも伝わっており、短い期間でチームを構築する必要性を理解している。

 前回のU-20ワールドカップにも出場した斉藤光毅(横浜FC)は言う。

「準備期間が短いので、一人ひとりが考えてやらないと上手くいきません。一人ひとりの考えを持てるようなチーム、それを持ちやすいチームにしていきたい。このような意見を言う立場ではないですけど、そうなれたらいい」

 実際に合宿中にはそこかしこでコミュニケーションを取る場面が見られた。「練習の中から一つひとつの場面で意見交換をしていましたし、そういうのを増やしながらよりよくしていきたい」と斉藤が振り返ったように、限られた時間の中で濃度の高い練習を重ねられるかがポイントになるのは間違いない。
 
 合宿は終わり、再び所属クラブでのトレーニングとなる。次の活動は未定だが、そこで会う時に個々でレベルアップを果たしながら代表での戦い方を頭に残せているか。影山監督も千葉キャンプをポジティブに捉え、さらなる進化に向けて手応えを得ている。

「今回の活動では一番長いトレーニングでも1時間15分ほどしかやっていません。その中で選手の理解力や周りとの連係で良くなっていく部分がありました。一方で本当の意味で練習が反映されるのは1日後や、次のセッションです。合宿最終日から再びスタートとはいかないですが、また集まった時に(代表での活動を)思い出しながらもっと高いレベルにいけると確信を得ました」

 異なる状況での代表活動は今後も変わらない。ワールドカップの出場権を獲得するために個人の取り組みが今まで以上に試される中で、指揮官が掲げたテーマを理解できたことは今合宿最大の収穫だった。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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