コロナ騒動に揺れた名古屋のいま――。柏戦に向けた“クラブの努力”と“萎えない闘志”

コロナ騒動に揺れた名古屋のいま――。柏戦に向けた“クラブの努力”と“萎えない闘志”

新型コロナウイルス感染者が相次いだ名古屋。8節の柏戦に向け迅速に対処を重ねていった。写真:田中研治



 結果的にJ1第7節のサンフレッチェ広島戦の中止、延期という事態にまで発展した今回の“コロナ禍”だが、そこに真っ向から対峙し、ファイティングポーズを崩さない強さを名古屋グランパスは見せようとしている。

 次節の対戦相手、柏レイソルにまつわる様々な論調もありはするが、これは明日は我が身で、どのクラブ、選手、スタッフにも起こりうる事態である。ならば今回の当事者である名古屋がすべきことは何かと言えば、反省すべき部分は反省し、改善すべき部分を改善し、しかるべき対処の後にリーグ戦の運営を継続していく努力である。そして名古屋はそれを粛々と実施してきた。

 7月26日、第7節の試合当日になって急遽中止の判断がなされた経緯については既報の通りで、そこから名古屋はクラブを挙げて追加検査と濃厚接触者の特定、クラブ内での感染対策のさらなる徹底と、迅速に対処を重ねていった。

 チーム独自で体制を確立しているPCR検査は27日、29日と立て続けに行ない、その両方でDF宮原和也、MF渡邉柊斗以外の選手については陰性であることが確定。選手寮の調理スタッフが27日の検査で陽性判定を受けたものの、濃厚接触者はいなかったことでチームは制限されつつも活動を止めることなく準備を継続できたのは大きかった。

 実質、「思いきって練習と準備ができたのは今日(30日)からでした」(DF中谷進之介)という状況にはなったが、事の経緯を考えれば評価すべき推移だったと思う。
 
 そもそも名古屋は、6月に感染者を出したことでチーム内に厳格なガイドラインを設定し、実行してきたクラブだ。選手の生活面における行動管理はもとより、クラブハウスの使用に関してもかなり細かく感染症対策を練り、選手への徹底を図ってきた。

 各入り口への消毒液の設置と消毒の励行、シャワールームの使用制限、ロッカールームも分けて距離感を保ち、今後はさらに細分化したガイドラインの追加を検討しているとも聞く。生活面での制限、規制については選手の家族にも共有を徹底しているといい、Jリーグの村井満チェアマンが、「濃厚接触を避けるような生活およびトレーニング、試合運営を施していたという認識がある。クラブとして大きな瑕疵があったわけではないと認識している」と言うのも理解できる体制は整っていた。

 それでも感染者が出てしまったというのは、全国で加速度的に感染者が増加している昨今の情勢では不可避なものだったと言える。そして残念なことに、名古屋がその最初の事例になったということでもある。

 現場サイドとしても、複数回のPCR検査を受けられたことは安心材料となったとともに、「自分が陽性だったらどうしようというのは、本当に怖さはありました。自分にも家族がいますから」という中谷の正直な感想もまた同様に存在する。

 村井チェアマンが明言した「状況は本人に感染の責があるわけではなく、新型コロナウイルスの難しさを改めて再認識する次第」という言葉は、コロナ禍における忘れてはならない基本姿勢であるべきだ。
 
 試合前日の31日にはJリーグの公式検査も行なわれ、8月1日は豊田スタジアムで予定通り、5000人以下の制限付きの有観客試合が開催される見通しだ。第6節の大分トリニータ戦で負傷者が続出した名古屋は、そういった部分でのマネジメントも並行して行ないつつ、3連勝中と好調の柏を迎え撃つ算段を練る。

 マッシモ・フィッカデンティ監督は、「どんな困難にも崩れない強さが今季は求められる。そういうところを見せていかねばならない」と覚悟を示し、「相手の良いところを出させない、こちらが終始主導権を握る試合をしなければ」と、いつも通りの勝ちに行く姿勢を強調した。

 中谷も厳しい質問に真摯に答えながら、「今までの流れを続けて、勝ちに持っていって上位に食いつく。この順位をキープしなければ」と気迫を見せる。コロナ禍の真っ只中に置かれても、名古屋の闘志は萎えてはいない。

取材・文●今井雄一朗(フリーライター)

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