【鹿島】先発した3試合で必ず勝点をもたらす遠藤康。そこに必然性はあるのか?

【鹿島】先発した3試合で必ず勝点をもたらす遠藤康。そこに必然性はあるのか?

5日のルヴァンカップ川崎戦に向けては、「負けたら終わりの大一番。個人的にもフロンターレには勝ちたい」と意気込む。(C)KASHIMA ANTLERS



 J1リーグの8節を終えた時点で、遠藤康の個人成績は6試合・0得点。取り立てて際立つ数字ではない。2月下旬の開幕戦はベンチ外だった。7月初旬のリーグ再開後はしばらく途中出場が続いていたが、5節の横浜戦で今季初先発を飾ると、開幕4連敗中だったチームは4-2と待望の白星を掴み取る。

 続く湘南戦はメンバーから外れたものの、7節のFC東京戦で先発復帰、さらに8節の大分戦もスターティングメンバーに名を連ねる。その間のチームの戦いぶりを振り返れば、湘南戦は連勝を飾れず0-1の手痛い完封負け、FC東京戦は粘り強く2-2のドローに持ち込み、大分戦は先制される嫌な展開も、終わってみれば4-1と鮮やかな逆転勝利を収めた。

 自身が先発出場した3試合のチームの戦績は2勝1分。一度も負けていない。遠藤本人は「勝っている試合にたまたま出ている、だけかな」と謙虚に語るが、そこに必然性がまったくないかと言われれば、強く否定したくなる。

 FC東京戦では土居聖真がチームを救う値千金の同点弾を鮮やかなボレーで決めた。その土居に完璧な浮き球のボールを送ったのが遠藤だった。また横浜戦、大分戦ではいずれもチーム3点目の起点となるパスを供給している。

 そうしたフィニッシュに絡む決定的な仕事はもちろん、協調したいのは、遠藤がピッチにいるとボールの流れが滑らかになり、ポゼッションが安定し、チーム全体が落ち着くということだ。
 
 何気ないショートパスや、ウォーミングアップの時にするようなパス交換。それで局面が大きく変わるわけではないが、自然とつなぎにリズムが生まれてくる。短くボールを動かす。それをテンポ良く繰り返すことで、チームメイトの状態を整えて、敵陣を微妙に動かして“穴”をうがち、時にわざとボールをさらして相手を食いつかせ、背後にスペースを作り出す。

 遠藤がいると、そうしたシチュエーションがいつも以上に多い気がするのだ。8月4日のオンライン取材に応じた本人にこちらの見立てをぶつけてみると――。
 

「特に深く意識して、“これをやっている”というのは正直、ないですね。今、取り組んでいるビルドアップに関して言えば、CBとボランチとSBで(相手を)剥がしてくれたら、前の選手はすごく楽っていうのはあるんですけど、後ろだけにやらせるわけにはいかないというか、それはそれでリスクはあるので。そこに前線の選手がちょっと手助けをしているっていう感覚ですね」

 そのサポートのタイミングは、「どこか空いたら、自分がそこに入って、という感じ」。つぶさに状況を観察し、アンテナを張り巡らせ、行動に移す。

「あっちにパスが出るなってなった時、みんな動き出すから、そういう時にここが空くなとか、いろいろ考えたり。やっぱり、全員が前向きでボールをもらえるように。僕はそれを意識してやっていますね」

 チーム全体のボールの動かし方については「余裕が出てきたというか、自信を持ち始めたんじゃないかな。一人ひとりがボールを持った時、ちゃんと狙いを持ってパスを出すようになってきた」と手応えを語る。

 自分たちでボールを握り、アクションを起こす。狙いとするサッカーの土台が形成され、勝点という目に見える数字も積み上げられるようになってきたチームを、柔軟なテクニックと優れた戦術眼を兼備する遠藤が、さらに高みへと引き上げる。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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