【京都】ホーム4戦全勝! 決勝弾で見えたチームの着実な歩み。ノーゴール判定にも屈しなかったふたつの要因は…

【京都】ホーム4戦全勝! 決勝弾で見えたチームの着実な歩み。ノーゴール判定にも屈しなかったふたつの要因は…

直前のノーゴール判定にも意気消沈せず、集中力を保てたワケとは。(C)J.LEAGUE PHOTOS



[J2リーグ9節]京都1-0町田/8月2日/サンガスタジアム by KYOCERA
 
 嫌な流れを払拭する勝利だった。
 
 京都は第7節の首位・長崎との一戦でリーグ再開後初の黒星を喫すると、中3日の岡山戦はドローで終える。やや停滞ムードを感じるなかで迎えた3連戦最後のゲームが、第9節の町田戦だった。
 
 前半からチャンスを作り出した京都だが、町田の粘り強い守備に苦戦しゴールを奪えない。後半も相手を揺さぶりながら攻め続け、79分にはセットプレーの流れからジュニーニョのクロスをヨルディ・バイスが頭で決めて先制かと思われたが、シュートコースの先のオフサイドポジションにいた中川風希が関与したという判定でゴールは取り消しとなってしまった。
 
 ホームゲームでは定番となりつつある、ゴールパフォーマンスまで行なった後での判定。意気消沈してもおかしくなかったが、選手たちの集中力は研ぎ澄まされていた。再開直後にボールを奪い返すと、その流れからショートカウンターに持ち込み、最後はピーター・ウタカのシュートのこぼれ球を金久保順が豪快に蹴り込んで、正真正銘の先制点を奪ってみせたのだ。
 
 ノーゴール判定の直後に決めた流れもさることながら、一連のプレーに関わった選手の面々がいい。前線へのフィードからのこぼれ球を奪取して、パスを出す前のワンフェイクも効果的だったのが中川だ。
 
 期待の新戦力として開幕スタメンを飾るも、リーグ中断期間にシステムと中盤の役割が変わったことで再開後はリザーブに甘んじる。交代出場しても、攻撃の最終局面で違いを見せるという持ち味を出せずにいた。「守備でやらなきゃいけないことが多い。頭では理解してるんだけど、実際のピッチではなかなか……」と苦悩している様子もあった。それが町田戦では攻撃に絡む場面が増え、ゴールに繋がるプレーも見せた。
 
「前半からピッチを見て『あそこが空いているな』というイメージはしていて、それを表現できました。前線の選手が動き出してくれたので、選択肢がいくつかあった。(パスを受けた)ジュニーニョも、そこからウタカへいいパスを出してくれたので、得点はチームメイトのおかげです」と話し、表情を緩めた。
 
 金久保にとっては嬉しい今季初ゴール。攻守両面で運動量が要求される消耗の激しいポジションにあって、連戦のなかでも全試合スタメン出場を続ける、中盤を支える存在だ。この日も随所に光るプレーを見せ、前半には味方のシュートのこぼれ球にゴール前でつめる場面も見られた。それを試合終盤の出足が鈍りがちな時間帯でもしっかり実行したことが、値千金の得点に繋がったのである。
 
 同じ中盤でプレーし、前所属の仙台時代からの仲である庄司悦大は、「チームのためによく走って、守備でも攻撃でも貢献してくれる。そういう選手の前に、ご褒美じゃないけれどボールがこぼれて来るんだなと実感しました」と話す。
 
 金久保自身も試合後のインタビューで、「前半のチャンスを決められず、後半の立ち上がりに少し嫌な流れになったけれど、みんなで我慢して最後に勝点3を取れて満足しています。(得点前のゴール取り消しは)ちょっとショックだったけど、すぐに切り替えて、みんなで前へ前へプレーできたので、最後に僕のところへこぼれてきました」と得点シーンを振り返っている。
 ノーゴール判定に落ち込むことなくプレーし続けられたのには、ふたつの要因があるように思う。

 ひとつはチームの雰囲気の良さだ。結果が出ていることにもよるが、実にムードが良く、何人かの選手のキャラクターも好影響を与えている。試合後、この日に千秋楽を迎えた大相撲を取り入れたゴールパフォーマンスについて尋ねられた庄司が「ゴールパフォーマンスを考える専属の人がいるんですけれど(笑)」と現在、負傷離脱中の森脇良太をいじっていた。ピッチ内はもちろん、ピッチの外でも彼の存在がプラスに作用しているのは間違いない。
 
 もうひとつは、今季から新たなホームスタジアムとなったサンガスタジアム by KYOCERAだ。客席とピッチが離れていた西京極陸上競技場からサッカー専用スタジアムに移転したことで、観客はもちろん、実際にピッチに立つ選手にとっても様々な面で臨場感が増している。現在は声を出しての応援などは禁止されているが、欧州を彷彿とさせる最新鋭のスタジアムでプレーできる喜びを選手たちは口々に話している。實好礼忠監督も「僕たちのパワースポット。ここではメラメラと、沸々とする状態にさせてくれる」と後押しを感じている様子。これでホームゲームは4戦全勝だ。
 
 この日は試合前、町田の選手に新型コロナウィルスの陽性反応が出たという発表があった。当該選手は遠征に帯同しておらず、京都入りしていたメンバーやスタッフは陰性で濃厚接触者もいないことから、Jリーグと両クラブの協議の結果、試合が開催されることとなった。
 
 選手には心理的な影響が出てしまわないかという懸念もあったが、「集中して、自分たちのプレーをより高いレベルで出せるようにしよう」という指揮官の言葉を選手たちが実践することで勝利を掴んだ。手応えだけでなく課題も見え隠れする状況ではあるが、その中でチームは着実な歩みを進めている。
 
取材・文●雨堤俊祐(サッカーライター)

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