「俺を見てくれ!」大津高の点取り屋がプロ入りへ強烈アピール!! 合同トライアウトで覚悟を示す鮮烈ショット!

「俺を見てくれ!」大津高の点取り屋がプロ入りへ強烈アピール!! 合同トライアウトで覚悟を示す鮮烈ショット!

合同トライアウトで存在を示した大津高の宮原。直前の交流大会でもハットトリックを達成するなどストライカーとしての能力の高さを見せた。写真:安藤隆人



 8月3日、4日の2日間にわたって、熊本県の大津町運動公園球技場において、『コネクティング・サポート・セレクションin九州』が行なわれた。これは株式会社リトルコンシェルが主催し、九州だけでなく、中国、関西、東海(※東海は高校生の部が中止、大学生の部は延期)の4地域で、進路が決まっていない高校3年生、大学3、4年生を対象に行なわれた合同トライアウトだ。

 39のJクラブ、強豪大学などのスカウトたちが熱い視線を送るなか、九州での2日間は3日の15時から大学生の部、17時半から高校の部が行なわれ、4日は10時、15時半、17時半の3回の高校生の部が行なわれた。

 その中で高校生の部で特筆すべき活躍を見せた選手がいた。大津高のFW宮原愛輝だ。今季、対外試合負けなしで直前に行なわれた2020強化交流U-18サッカーフェスティバルin九州でもハットトリックを達成するなど全勝優勝に貢献したストライカーは、4日の15時半の部に登場。人数の関係で20分×3本(他は4本)のラスト3本目の終了間際に強烈なシュートを突き刺して、最後の最後で意地を示した。

「自分の良さはゴールへの意欲とシュート、それを出すためのオフ・ザ・ボールの動きと、切り返しの切れなどを意識して取り組んできました。それを今日は絶対に出し切ると思っていたので、最後にゴールを決めることができたのは良かったと思います」

 相当な決意をもってこのトライアウトに臨んでいた。彼の第一希望は高卒プロ。その意思は固かった。
「周りのみんなが進路を決めている中で、僕はとにかくプロに行きたくて、大学の話を進めていなかったのもあったので、自分だけ何も前に進んでいない感じがしたので、悩んでいました。それにインターハイが中止になって、プレミアリーグもなかなか始まらず、プロのスカウトの人たちに見てもらえるチャンスもなく、自分の気持ちも晴れない状態でした。でも、今回のトライアウトの参加が決まって、これに全てを懸けようと思っています」

 今季、大津では3トップの左を担い、抜群の動き出しで裏を狙ったり、得意の切り返しを生かしたドリブルでシュートを放つなど、ダイナミックなアタッカーとして存在感を放つ一方で、センターフォワードの半代将都、右の坂本との距離感を見ながら、ワンタッチプレーでリズムを作ったり、周りを生かすプレーの精度も上がって来た。だが、プロからのオファーは届いていない。それでもチャンスがある限り、簡単に高卒でのプロ行きを諦めたくなかった。
 

「僕はプロになるために大津に来たんです」と語るように、中学時代はロアッソ熊本U-15でプレー。ユース昇格の声が掛かったが、宮原は「高校サッカーで全国制覇をしたいと思いましたし、県外ではなく地元の大津高のサッカーが好きだったので進学しました」と高校サッカーでさらなる成長を求めた。さらに熊本U-15の1学年上に荒木遼太郎がおり、彼は東福岡高から鹿島アントラーズに加入。大津高では2学年上の福島隼人(福島ユナイテッド)が高卒プロになっている姿を見て、その思いはさらに深まった。

「コロナの影響で自粛をしている時に、何のために大津に来たのかをもう一度考えました。自分と向き合って考えたときに、隼人さんと遼太郎さんの姿も刺激になったし、隼人さんからは『プロの日々は濃い』と言われ、大学の4年とプロの4年は全然違うと思いましたし、挑戦したいと思ったんです。それに大津はこれまで植田直通(セルクル・ブルージュ)さん、豊川雄太(セレッソ大阪)さん、一美和成(横浜FC)さん、野田裕喜(モンテディオ山形)さんと、高卒でJ1の名のあるクラブに行っている。僕もプロに行って先輩たちのように活躍するのがこれまでお世話になった方への恩返しだと思っています」

 今、彼のサッカー観において、多大な影響を与えている選手がもうひとりいる。それはヴィッセル神戸の藤本憲明だ。
「藤本選手はプレー面では相手を背負ったり、裏に抜けたり、いろんな形で点が取れますし、一番共感ができるのはJFLから這い上がって来た選手だと言うことです。これまで相当どん底を経験しているでしょうし、それでもJ3、J2、J1と這い上がって来て、神戸というビッグクラブで堂々とプレーをしている。這い上がっていく選手は本当に力があると思うし、精神面も強くて、素直にすごいなと思うんです。だからこそ僕も今はプロのオファーがなくても、ここから這い上がっていきたいんです」

 話をトライアウトに戻すと、彼は内に秘めた覚悟と意欲をピッチで存分に発揮した。1本目から周りに声を出してボールを要求し、何度もスプリントを繰り返して攻撃を活性化。鋭い切り返しからの強烈なシュートを放つなど、ゴールの予感を漂わせていた。

 そして、前述した3本目の終了間際にMF松添大輝(V・ファーレン長崎U-18)のクロスに対し、「1回後ろに下がってDFの視界から消えてから前に行く動きを入れた」と見事なオフ・ザ・ボールの動きでゴール前に入って、きっちりとゴールネットを揺らした。

「もう今日は『俺を見てくれ!』と思っていました。ほとんどの人がこの時期にオファーがないと大学を選ぶかもしれませんが、僕はとにかくプロに行って、たとえ苦境に立たされてもあきらめずに自分のストロングポイントを生かしてやっていきたいし、とにかくお世話になっている人にも恩返ししたい。その姿を後輩たちにも示したいと思う。『プロをとことん目指すのも重要だぞ』ということを、身をもって示せるようになりたい」

 果たして宮原のもとにオファーは届くのか。それは今後も追っていきたいが、まずはトライアウトというプレッシャーのかかる難しいステージで、自らの覚悟を結果で示した彼を心から讃えたい。全ては自分を信じて、やり切ることの大切さをサッカーに対して純粋な高校生から教えてもらった。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

【PHOTO】2020年の高校サッカー界を彩る主な注目選手!〜九州編

関連記事(外部サイト)