【主な日本人欧州組のシーズン通信簿|DF&GK編】吉田や長谷部らベテラン勢を抑え、最高評価を得たのは?

【主な日本人欧州組のシーズン通信簿|DF&GK編】吉田や長谷部らベテラン勢を抑え、最高評価を得たのは?

(左から)長谷部、吉田、冨安の新旧日本代表戦士の評価は? (C)Getty Images



 日本人選手の主な欧州組の2019-2020シーズンを評価するこの企画。FW編、ME編に続いて最後にお届けするのがDF&GK編だ。セリエAデビューを果たした日本代表CBコンビの吉田麻也と冨安健洋、36歳になっても健在ぶりを見せつけた長谷部誠ら16人の守備者を、100点満点で採点した。

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吉田麻也(サンプドリア/イタリア)――70点(よくやった)
【2019-20シーズン成績】
プレミアリーグ=8試合・0得点・0アシスト
セリエA=14試合・0得点・1アシスト
FAカップ=1試合・0得点・0アシスト
リーグ・カップ=2試合・0試合・0アシスト

 屈辱の9失点を喫した昨年10月のレスター戦以降はバックアッパーに降格し、約7年半を過ごしたサウサンプトンを退団。年明けの1月に半年間のレンタルでサンプドリアに加入した。

 移籍後もなかなか出番が回ってこなかったが、セリエAデビューを飾った26節のヴェローナ戦以降は1試合も欠場することなく、14試合に出場し(うち先発が13)、1アシストを記録。残留争いのプレッシャーのなか、経験に裏打ちされたツボを抑えた守備でクラウディオ・ラニエリ監督の信頼を勝ち取り、降格回避に小さくない貢献を果たした。31歳にクラブが2年契約のオファーを出しているという事実が、シーズン終盤の充実度を物語っている。

冨安健洋(ボローニャ/イタリア)――90点(ほぼ申し分なし)
【2019-20シーズン成績】
セリエA=29試合・1得点・3アシスト
コッパ・イタリア=1試合・0試合・0アシスト

 怪我による二度の離脱があった点を差し引いても、「90点」で高すぎることはないだろう。ベルギー・リーグからステップアップしたセリエAで、本職のCBではなく右SBで開幕から定位置を確保。いきなり8月にクラブの月間MVPに選ばれ、ファンのハートをがっちり掴むと、その後も攻守に積極的なプレーと的確なビルドアップを武器に、故障時を除いて常にスタメン出場を果たした。

 コロナ中断明けの過密日程でもそれは変わらず、シニシャ・ミハイロビッチ監督が「休ませたいけど外せない」と漏らすほど。残留争いに巻き込まれることなく12位でフィニッシュしたチームで、文字通り不可決な存在となった。34節にはミランを相手にミドルレンジから左足の強烈なシュートでセリエA初ゴールを奪うなど、その攻撃力は魅力的ながら、指揮官は来シーズンのCB起用を明言。本職で挑む2年目にも注目したい。

長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)――70点(よくやった)
【2019-20シーズン成績】
ブンデスリーガ=23試合・0得点・0アシスト
ヨーロッパリーグ=8試合・0得点・0アシスト※8月6日に再開マッチ
ヨーロッパリーグ予選=5試合・0得点・0アシスト
DFBポカール=3試合・0得点・0アシスト

 体調不良やパフォーマンスのバラつきがあり、18−19シーズンほどの輝きは放てなかった。それでもチーム成績が悪化した際などに、指揮官がきまって頼りにしたのがこの元日本代表キャプテン。すっかり板についたリベロを主戦場に、ボランチでの起用にも応えながら公式戦39試合に出場した。チーム最年長である36歳の長谷部よりプレータイムが長い同僚は、フィリップ・コスティッチとマルティン・ヒンターエッガーの2人だけ。クラブが1年間の契約延長(20−21シーズンまで)を用意したことになんら驚きはなかった。

板倉滉(フローニンヘン/オランダ)――60点(及第点の出来)
【2019-20シーズン成績】
エールディビジ=22試合・0得点・0アシスト
オランダ・カップ=1試合・0試合・0アシスト

 開幕戦からCBとしてレギュラーに定着。9節までに警告4枚を受ける“カードコレクター”ぶりだったが、出場停止にリーチがかかったことにより相手DFへのアプローチを修正し、その後のイエローカードはなかった。

 リーグ折返しの17節までは全試合に出場し、クリーンシート7回に貢献した。ここまでなら、70点を与えられたが、後半戦に入ると出番が激減してしまった。それでも、コロナ中断前の3試合のうち2試合でフル出場を果たしたのは好材料。クラブ内の評価が高く、新シーズンもフローニンヘンでプレーすることが決まっている。

中山雄太(ズウォーレ/オランダ)――50点(可もなく不可もなし)
【2019-20シーズン成績】
エールディビジ=14試合・2得点・0アシスト
オランダ・カップ=1試合・0試合・0アシスト

 開幕から2試合連続スタメンで抜擢されるなど、前半戦は何度かチャンスを与えられたがレギュラーに定着できなかった。負傷によって戦線離脱する不運もあったが、パフォーマンスが安定しなかったのも確かだった。CB、左SB、MFとポジションを転々とした難しさもあっただろう。

 しかし、4バックから5バックにシステムが変った年明けから、調子が上向きとなった。左CBとして生き生きプレーし、守備だけでなく攻撃面でも力を発揮。週間ベストイレブンに選ばれたこともあった。それだけにシーズン終盤、手痛いミスによってポジションを失ったのは残念だった。
 
植田直通(セルクル・ブルージュ/ベルギー)――50点(可もなく不可もなし)
【2019-20シーズン成績】
ベルギー・リーグ=19試合・0得点・0アシスト
ベルギー・カップ=1試合・0試合・0アシスト

 12節の段階で1勝11敗という最悪のスタートを切ったC・ブルージュは、「最下位=降格間違いなし」との見方が大多数を占めたが、終盤で驚異的な追い上げをみせて14位でフィニッシュした。

 そんなチームにあって、植田は前半戦から中盤戦にかけてレギュラーとしてプレー。11節から指揮を執ったベルント・シュトルク監督も「植田の能力に関して満足している」と高く評価していた。しかし、チームが不振打破のため、冬の市場でCBを補強したことから、後半戦の出番は極端に減少。今年に入ってプレーしたのは、鹿島時代のチームメート、鈴木優磨とのバトルを制して1−0の勝利に貢献したSTVV戦だけだった。
 

酒井宏樹(マルセイユ/フランス)――70点(よくやった)
【2019-20シーズン成績】※コロナ禍により、28節でシーズン打ち切り
リーグ・アン=21試合・0得点・0アシスト
フランス・カップ=3試合・0得点・0アシスト
リーグ・カップ=1試合・0得点・0アシスト

 左足首の故障や相棒フロリアン・トバンの離脱などが影響し、公式戦32試合で1得点・5アシストをマークした昨シーズンに比べ、攻撃面での貢献度はやや低下した。とはいえ、左右のSBを堅実にこなし(右SBで19試合、左SBで5試合)、アンドレ・ヴィアス・ボアス監督の信頼は揺がず。CL出場権が与えられる2位でフィニッシュしたチームで、十分に存在感を示した。

 今年の2月に左足首の手術に踏み切り、現在は戦列に復帰。8月22日にスタートする新シーズンも、引き続き重要な戦力として名門の一翼を担う。

長友佑都(ガラタサライ/トルコ)――30点(不満が残る)
【2019-20シーズン成績】
シュペル・リギ=15試合・1得点・0アシスト
チャンピオンズ・リーグ=6試合・0得点・0アシスト
トルコ・カップ=2試合・1得点・0アシスト
トルコ・スーパーカップ=1試合・0得点・0アシスト

 トルコ挑戦3年目で屈辱のシーズンを送った。前半戦は左SBのレギュラーとしてプレーしながら、1月にウルグアイ代表SBのマルセロ・サラッチ(←RBライプツィヒ)が加入すると、外国人枠の都合から登録メンバー外に。噂されたスペイン行きも実現せず、全くプレーせずに半年を棒に振った。ガラタサライ退団が決定し、フリートランスファーとなった今夏には、セリエAに昇格したベネベントへの移籍などが囁かれている。

安西幸輝(ポルティモネンセ/ポルトガル)――60点(及第点の出来)
【2019-20シーズン成績】
リーガNOS=23試合・1得点・1アシスト
ポルトガル・カップ=4試合・0得点・1アシスト
リーグ・カップ=1試合・0得点・0アシスト

 昨夏に鹿島アントラーズから完全移籍。加入直後から右SBを任され、時には左右のウイングも務めた。中島翔哉と対戦した第5節ポルト戦で豪快なミドルシュートを決めると、以降もスピードを武器に攻守で奮闘し、順調に出場機会を重ねた。

 だが、1月に成績不振でアントニオ・フォーリャ監督が解任されると、立場が一変。パウロ・セルジオ新監督の下ではペンチに甘んじる日々が続いた。残留のために勝利が必須だった最終節のアベス戦でフル出場を果たし、2-0の勝点3奪取に貢献したのが唯一の見せ場だった。

 この白星も実らず、チームは2部に降格するはずだったが、1部残留のアベスとセトゥーバウのクラブライセンスに問題点が指摘され、来季の参戦が現時点で不可能に。そのため、1部残留が決定した。試合に出れば、ストロングポイントを出せるところは見せただけに、新シーズンの定位置奪取に期待したい。

ファン・ウェルメスケルケン・際(ズウォーレ/オランダ)――60点(及第点の出来)
【2019-20シーズン成績】
エールディビジ=18試合・0得点・2アシスト
オランダ・カップ=2試合・0試合・0アシスト

 オランダ2部リーグのリザーブチームから7年かけて、1部リーグの舞台にたどり着いた叩き上げは、厳しいマークを受けても、ドリブルで剥がして前へボールを運ぶ強みを発揮。本職の右SBだけでなく、左サイドでも難なくプレーした。

 チームでは準レギュラーという立場で、定位置奪取には至らなかった。だが、試合の流れや状況によって急遽出番が回ってきても、スムーズに試合に入り込み、時にはゲームチェンジャーになることもあった。

菅原由勢(AZ/オランダ)――60点(及第点の出来)
【2019-20シーズン成績】
エールディビジ=16試合・2得点・1アシスト
オランダリーグ2部=7試合・0得点・1アシスト
ヨーロッパリーグ=7試合・1得点・0アシスト
ヨーロッパリーグ予選=4試合・0得点・0アシスト
オランダ・カップ=1試合・0試合・0アシスト

 「使って伸ばす」という明確なプランがあるのだろう。AZは菅原をオランダ1部リーグ、2部リーグ(U-21チーム)、ヨーロッパリーグという各種各様の舞台でプレーさせることによって成長を促した。1部リーグの出場は16試合に留まったものの、右SB兼ウイングとしてベンチの戦術的要求を高い水準で遂行し、特にフェイエノールト戦、PSV戦(ともに3-0で勝利)といった強豪相手との試合で遺憾なく能力を発揮した。
 
松原后(シント=トロイデン/ベルギー)――採点なし
【2019-20シーズン成績】
ベルギー・リーグ=1試合・0得点・0アシスト

 左SBの選手層が薄いチーム事情から、チームに付加価値をもたらす即戦力との期待を受けて入団。だが、ビザの都合でチームの全体練習に合流したのは、2月13日になってから。コンディションやゲーム勘が上がらぬなか、28節のメヘレン戦に先発出場したが、相手ウイングを抑えることができず、ホロ苦いベルギーデビューとなった。この1試合だけで、今シーズンを採点することはできない。

小池龍太(スポルティング・ロケレン/ベルギー2部)――60点(及第点の出来)
【2019-20シーズン成績】
ベルギー・リーグ2部=27試合・2得点・0アシスト
ベルギー・カップ=2試合・0得点・0アシスト

 昨夏に柏レイソルから加入し、早々に右SBの定位置を確保。第2節から打ち切りとなる28節まで27試合連続で先発出場を果たしたが、周囲との連係に苦しむ場面も少なくなかった。少し前までベルギーの中堅上位クラブだったロケレンだが、またたく間に凋落し、19−20シーズンは2部の最下位に沈んだうえ、クラブが破産。そうした難しい状況もあり、ポテンシャルを十分に発揮したとは言い難かった。

権田修一(ポルティモネンセ/ポルトガル)――60点(及第点の出来)
【2019-20シーズン成績】
リーガNOS=13試合・0得点・0アシスト
ポルトガル・カップ=3試合・0得点・0アシスト
リーグ・カップ=1試合・0得点・0アシスト

 守護神リカルド・ペレイラの控えに甘んじ、前半はカップ戦4試合のみの出場だった。しかし、先発に抜擢された第20節のスポルティング戦で、1-2で敗れたものの、好セーブを連発。このパフォーマンスが高く評価され、以後は正GKとして定着した。

 ただ、度々チームを救う好セーブを見せる一方、DF陣との連係ミスや拙守でピンチを招く場面も少なくなく、安定感が今後の課題だ。

シュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー)――60点(及第点の出来)
【2019-20シーズン成績】
ベルギー・リーグ=20試合・0得点・0アシスト
ベルギー・カップ=2試合・0試合・0アシスト

 正守護神ケニー・ステッペの負傷によって、第2節のクラブ・ブルージュ戦から定位置を奪取。強豪相手のデビューマッチは6ゴールを浴びたが、翌節のスタンダール戦では番狂わせの勝利に貢献し、周囲の信頼を勝ち得た。

 DFラインのポジション取りが不安定で、頻繁に1対1にさらされてしまい大量失点を食らう試合もあったが、ビッグセーブでチームを救うシーンも目立った。なかでもヘント戦の終盤、1対2の数的不利の状況からゴールを死守した場面はベルギー国内で大きく報道された。だが、年明けのキャンプで負傷してしまい、後半戦は欠場。新シーズンはステッペとの熾烈な定位置争いが待ち受けている。

川島永嗣(ストラスブール/フランス)――採点なし
【2019-20シーズン成績】※コロナ禍により、28節でシーズン打ち切り
リーグ・アン=0試合・0得点
フランス・カップ=0試合・0得点

 公式戦出場はなかったものの、元々第3GKという立場。クラブは若手への手本という点も含めて戦力として考えており、「採点なし」とした。ただ、7月に正守護神のマッツ・セルツがアキレス腱を断裂して長期離脱となり、マーク・ミラー会長が「20-21シーズンは現時点ではカワシマが第2GK」と格上げを明言。出番が回って来る可能性もある。
 

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