【柏】横浜戦の“サンドバック状態”に危機感。かつて大谷秀和が残していた金言に改善のヒントがある

【柏】横浜戦の“サンドバック状態”に危機感。かつて大谷秀和が残していた金言に改善のヒントがある

厳しい表情でゲームを見つめるネルシーニョ監督。横浜戦はかなりの劣勢を強いられた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)



 1−1に終わった横浜戦は、柏にとってはまさに“サンドバック状態”だった。

 データサイト『Opta』によると、ポゼッション率は横浜の74%に対して柏は26%。試合のほとんどが守備の時間で、「ちょっと受け過ぎた感はあった」(三丸拡)。もっとも、三丸が「失点するまではそこまで崩されることはなかったと思う」と言い、ネルシーニョ監督が「守備では相手の攻撃を許さない堅い守備ができた」と振り返るとおり、ある程度は耐えられていた。

 そんななかでも柏は62分、相手のミスとオルンガの身体能力に助けられて先制に成功。しかし、横浜に波状攻撃でジャブを打ち続けられてしまえば、さすがに一瞬の隙は生まれるもので、78分にはオナイウ阿道に同点ゴールを許してしまった。
 相手の攻撃を受け続けたゲーム展開を考えれば、横浜戦の柏は“恵みの勝点1”だった。実際、「すごく良いゲームができました」と胸を張った敵将に対し、ネルシーニョ監督のコメントは反省の言葉のほうが多い。

「前半は特に攻撃の入り口をうまく作れず、ボールを握ってポゼッションする時間がほとんどなかったと思う。相手が攻守の切り替わったタイミングで空けるスペースを効率的に突ける時間帯はほぼなかった。

 守備では相手の攻撃を許さない堅い守備ができたと思いますけど、引っかけてからカウンターに出ていくタイミングで縦に急ぎ過ぎて、ボールを入れるけどすぐに失ってしまう流れが続いてしまった。

 ハーフタイムに、『もう少しボールを握る必要がある。相手の空けるスペースをしっかり見つけて、ボールを引っかけてからロングボールだけでカウンターに出ていくことが前半は続いていたので、ボールを奪ってからじっくりと握ろう』と伝えた。

 後半は守備から攻撃までのひとつの流れを何回か作れていたし、前線の選手も前に飛び出すアクションが増えた。ただ、最後、勝利に必要な攻撃のクオリティは足りなかったのかなと思います」

 昨季王者の横浜に対して柏は昇格組と、昨季の成績で見る力関係を考えれば、“サンドバック状態”は仕方ないという甘い捉え方もできる。だが、選手や監督からは昇格組でも「目標はJ1でも優勝」という言葉をよく聞くので、そこに基準を合わせれば、1−1でも横浜戦の出来には危機感を持つべきだろう。

 改善に向け、これから重要になるのはネルシーニョ監督が言うとおりボール保持率の向上だ。ただし、だからと言ってポゼッションに戦術の軸が傾き過ぎて、名古屋戦や横浜戦でのオルンガの得点のような1本のロングボールでゴールを奪えるチャンスを見逃せば、おそらくベンチから檄が飛ぶだろう。では、どうするべきなのか――。昨季のJ2優勝決定後の取材対応のなかで、大谷秀和がチーム戦術について語った際にこんなことを言っていた。

「監督はボールをつなげるなら、つなげと言いますし、あくまで、その後はボールを持っている人の判断です。

 僕はボールを持っても持っていなくても、あくまで結果にそれがつながるかどうか、有効かどうかだと思う。監督もそうだと思います。相手がハイプレッシャーで来ているのに、足もとにつないで、つないで、じゃなくて、ちゃんと相手を見て、というのは監督が言っていることです。

 だから、中の選手がその判断のミスをしないように、プレーする必要があると思います。あくまで、相手ありきなので、相手のラインが高いのであれば、シンプルに背後を取るというのも、ひとつだと思う。そのへんの使い分けを選手が相手を見ながら柔軟にできれば、対戦するチームにとっても、嫌だなと思う場面も多く作れるんじゃないかと思います」
 11年のJ1優勝時と現在、どちらもネルシーニョ監督の下で主力として戦った主将がかつて残していた金言は、まさに今、改善に向けて重要なヒントだ。常に「あくまで相手ありきで判断のミスをしないこと」を意識し続ければ、これからもっと良いサッカーができるかもしれない。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)

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