新加入の遠藤渓太に求められる役割とは? ウニオン・ベルリンの新シーズンを読み解く【現地発】

新加入の遠藤渓太に求められる役割とは? ウニオン・ベルリンの新シーズンを読み解く【現地発】

開幕に向け、テストマッチでの出場を重ねている遠藤。 (C)Getty Images



 遠藤渓太が期限付き移籍した、ドイツ1部ウニオン・ベルリンは、今シーズンでブンデスリーガ2季目に突入する。

 2部から上がったばかりの昨シーズンは、組織だった守備に定評がある一方、攻撃で手数が少なかったのが問題視されていた。チームの得点はセットプレーからが主で、残りはスウェーデン代表FWセバスティアン・アンデルソンらの個人技に頼ることが多い。ボールポゼッション率も、高くはなかった。

 それだけに、来シーズンは攻撃陣のテコ入れが重要なテーマとなることは明らかだった。遠藤の加入は現地でも話題を呼んでいるが、それ以上の目玉がいる。元ドイツ代表FWマックス・クルゼの加入だ。

 ブンデスリーガ通算250試合出場、代表歴14試合を誇るクルゼは攻撃において核として期待されている。彼はブレーメンで大迫勇也ともプレーしていたことがある。

 ウニオンOBのトルステン・マツシュケは、クルゼの加入についてこう語っている。

「マックスはストリートキッカーだよ。自由な感覚でゴールを決めて、アシストをしていく。1トップで起用されるだろうアンデルソンの周囲でプレーすることになるはずだ。

 彼は意図的に相手選手を引き付けてスペースを作る能力が高い。そのタイミングを逃さずに攻撃できるようになれば、どんな選手も彼とプレーするのが楽しいと思うようになる。ボランチの選手も、これまで以上に攻撃に出ていく意欲が出てくるだろう」

 ただ、クルゼはチーム戦術に縛られるのを嫌い、自由な役割を担うことで自身の力を最大限に発揮するタイプだ。それだけに、チームメイトには彼の動きを把握してサポートしながら、逆にその動きを利用して、スペースを攻略してことが求められる。

 日本人プレーヤーに課せられる役割は、守備バランスを大きく崩さず、クルゼやアンデルソンとハーモニーを奏でて、攻撃面で違いを生み出せるかどうかだ。

 遠藤がクルゼの動きから生まれたスペースにタイミングよく侵入したり、アンデルソンのポストプレーから相手守備の裏を取ったり、というプレーがコンスタントにみられるようになれば、間違いなくウニオンの攻撃には厚みが生まれてくる。

 ただ、注意したいのは、そればかりに気を取られて自分の強みを見失わないことだろう。

 昨シーズンのウニオンは4-2-3-1と3-4-3を併用。左サイドのレギュラーとして起用されていたのが、マリウス・ビュルターだ。

 18年5月までは4部リーグのレディングハウゼンでプレーしていた選手だが、献身的な守備とダイナミックなプレーで、昨シーズンは7得点1アシスト。この記録はチーム2位の数字だ。第3節ドルトムント戦では2得点をあげる大活躍を見せており、遠藤の当面のライバルとなるのは彼だろう。

 新加入の遠藤はまず、チームが求めるプレーを理解しつつ、自分の特徴を出せるかがカギとなるだろう。現地12日に行われたヴュルツブルクとのテストマッチで前半45分間プレーした姿を、ウルス・フィッシャー監督は「機敏な動きで、1対1で勝負できる。時間帯によってはいいプレーができることを示してくれたと思う」評した。

 この「時間帯によってはいいプレーができる」という評価は悪くはない。だが、これを「1試合を通じていいプレーができる」と評価にまで高めることは、そう簡単なことではない。

 フィッシャー監督が「まだ慣れるためには時間が必要だ。チームメートの特徴などを理解しなければならない」と指摘しているように、練習を重ね、実践でチャンレンジを繰り返しながら、少しずつプレー内容を整理していくことが、定位置確保への近道になるのではないだろうか。
 筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)

ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中

関連記事(外部サイト)