【橋本英郎】コロナ禍のJリーグに感じる変化と選手の本音。「なんとも言えない感覚のなかで進んでいる」

【橋本英郎】コロナ禍のJリーグに感じる変化と選手の本音。「なんとも言えない感覚のなかで進んでいる」

41歳にして今治で主軸を張る橋本。2年ぶりのJリーグで充実の日々を送る。(C)J.LEAGUE PHOTOS



 コロナ禍の自粛期間を経て、たくさんの方々の尽力でJ3リーグが6月27日に開幕しました。

 今回はJ3が開幕して自分たち選手の立ち位置、コロナの環境下でどんなところに変化が生まれたのかなどを中心に書きたいと思います。

 自粛期間は、パーソナルトレーニングに励んで自分の弱かったところ、以前は使えていた身体の動きを見直す時間になりました。トレーニングコーチはコロナの影響で対面のトレーニングができなくなりましたが、リモートで一緒に取り組む機会を多く作ってもらいました。気持ちとしては、ゴールの見えない状況でしたし難しい自粛期間でしたが、自分の足りないもの、欠けつつあったものと向き合える時間だと、ポジティブに捉えるようにしていました。

 そしてようやく迎えた開幕戦。僕たちFC今治の対戦相手はFC岐阜でした。十分にJ3でも戦えるんじゃないかと手応えを感じたと同時に、勝ち切る力のなさ、相手チームをリスペクトし過ぎる点などを、試合を通じて感じました。

 最初の2試合はリモートマッチになり、初めてのサポーターのいないスタジアムでの公式試合も経験しました。各クラブの方針でバックミュージックを流していたりいなかったりと、違和感を感じながら試合をしていました。練習試合のような、でも、気持ちの入り方は公式戦。このなんとも言えない感覚のなかで、僕たちの今シーズンは進んでいます。
 
 去年JFLを戦うなかで、なんとか来季はJリーガーに復帰したいと思っていましたが、Jのピッチの違いを感じるというより、コロナ環境との違いをより強く感じています。

 それでも始まればあっという間で、先週末の日曜日にシーズンの約3分の1となる10節が終わりました。ここまでの戦いを振り返ると、個人的に予想していた順位よりは、正直少し上でした(8月19日時点で18チーム中5位)。みんなのプレーが、カテゴリーが上がったなかでも通用しているからだと思います。

 闘う気持ちはスペイン人監督(リュイス・プラナグマ・ラモス)になってから明らかに安定してきました。去年の小野(剛)監督の流れを受けて、闘える集団になりつつあったところがより洗練されてきたように感じます。いまのFC今治は、新しい発想を付け加えて、勝利、勝負にこだわるチームに変貌していっています。
 JFLとJ3の違いを端的に言うと、試合会場と選手のフィジカルの違いとなります。会場の雰囲気やロッカーの環境が良くなったのは明らかで、やはりJ3の選手のほうが全体的にガッシリしていて、サイズも少し大きくなった印象を受けます。

 またU-23チームのガンバ大阪とセレッソ大阪は若手の集団ですが、将来有望な選手たちで、能力の高さを感じます。ただ、経験の少なさと今年で終了することになってきているところで、難しさを抱えているようです。

 そんななかで7月の終わりに、ガンバU-23との試合がありました。かつて籍を置いたチームとの対戦。ガンバの未来を切り開くメンバーと試合ができて、大きな喜びを感じました。唐山(翔自)くんや川崎(修平)くんは僕たち相手でも臆することなく、果敢に仕掛けてきましたね。

 この試合で一番印象に残ったのは、交代する際にすべてのスタンドにいるみなさんから拍手をしていただいたことです。僕自身、クラブを離れて気づけば9年。そんな僕のことを覚えてくれているだけでなく、敬意を感じさせてくれる拍手には涙が出るほど感激しました。

 J3の水曜日開催、そこまで多くのサポーターの方が観戦に来られたわけではなかったですが、何万人もの方から拍手をしてもらっているような錯覚を感じました。右膝の前十字靭帯損傷後に復帰してピッチに戻った、あのときを思い出しました。当時も盛大な拍手をもらってピッチに入って、泣きそうになっていました。
 
 今後はセレッソU-23(10月2日)、長野パルセイロ(9月2日)との試合があります。古巣との対戦がこんなに楽しみなものになるとは想像もしていませんでした。

 とくにパルセイロは半年だけしかいませんでしたが、本当に温かく迎え入れてもらえたことをよく思い出しますし、チームをJ2に昇格させるために加入したのに結果が出せなくて、ものすごく後悔の念も感じています。好調を維持している今シーズンのパルセイロ。来月2日に戦えるので、本当に楽しみです!

 僕たちも1年での昇格を真剣に考えて取り組んでいます。簡単なことではありません、難しいことだとみんな理解しています。でもそこに全力でチャレンジすることで、見えてくる未来があると信じています。
 最後に、新型コロナウイルスの蔓延に終息の兆しがありません。

 僕たちサッカー選手はコロナから回復させる薬でも、いまかならず必要な仕事でもないかもしれません。でも僕たちがサッカーを通じて自粛の生活、新しい生活様式になるなかでも、これまでと同様にポジティブな刺激を与えられる存在であり続けたい。

 これからも前向きに進んでいきたいと思います。

<了>

橋本英郎

PROFILE
はしもと・ひでお/1979年5月21日生まれ、大阪府大阪市出身。ガンバ大阪の下部組織で才能を育まれ、1998年にトップ昇格。練習生からプロ契約を勝ち取り、やがて不動のボランチとして君臨、J1初制覇やアジア制覇など西野朗体制下の黄金期を支えた。府内屈指の進学校・天王寺高校から大阪市立大学に一般入試で合格し、卒業した秀才。G大阪を2011年に退団したのちは、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、長野パルセイロ、東京ヴェルディでプレー。昨季からJFLのFC今治に籍を置き、見事チームをJ3昇格に導く立役者のひとりとなった。日本代表はイビチャ・オシム政権下で重宝され、国際Aマッチ・15試合に出場した。現在はJリーガーとして奮闘する傍ら、サッカースクールの主宰やヨガチャリティー開催など幅広く活動中。Jリーグ通算/447試合・21得点(うちJ1は339試合・19得点/2020年8月19日現在)。173センチ・68キロ。血液型O型。

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