序列変化、監督の新様式、ファン離れ…日本代表、欧州遠征にまつわる3つの重要ポイント

序列変化、監督の新様式、ファン離れ…日本代表、欧州遠征にまつわる3つの重要ポイント

約1年ぶりの活動となる日本代表。アフリカ勢を相手にいかなる戦いぶりを見せるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



 日本サッカー協会は10月1日、同9日、13日にオランダで行なわれる国際親善試合に向けた日本代表メンバーを発表する。約1年ぶりとなる代表活動において、注目したいポイントとは何か。サッカーライターの清水英斗氏が解説する。
 
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【布陣図】現時点での日本代表のベストメンバーは?

 2020年初となるサッカー日本代表の活動が行なわれる。10月はオランダへ飛び、9日にカメルーン戦、13日にコートジボワール戦と、欧州遠征2試合が開催される予定だ。

 ただし、遠征とは言っても、日本から飛ぶのは森保一監督をはじめとするスタッフだけ。今回の招集は、欧州クラブの所属選手に限られるようだ。仮に国内組が招集されれば、試合後に日本へ帰国した際、新型コロナウイルスの影響で2週間の待機を命じられ、過密日程を極めるJリーグに大問題を生じさせる。そのため今回は国内組の招集を見送り、オール海外組のA代表になる見込みだ。そんな編成が可能になるほど、昨今は多くの日本人選手が欧州クラブでプレーしている。

 そんな状況なので変則的ではあるが、なんと言っても約1年ぶり、久しぶりのA代表活動である。1つめの注目ポイントとして、チームの序列変化は挙げられるだろう。この1年の空白の間に、選手個々では様々な動きがあった。南野拓実は強豪リバプールへの移籍を果たし、現状はレギュラーとは言えないが、準レベルの期待を得た上で欧州ビッグクラブでプレーしている。それから19歳の久保建英だ。昨季マジョルカで大きなインパクトを残した後、今季は上位陣のビジャレアルへ移籍。今のところスタメン出場はないが、毎試合確実に出場機会を得ており、期待は大きい。一方、そうした上昇気流に乗る選手とは反対に、ポルトの中島翔哉は諸般の事情で試合に出られておらず、足踏み状態だ。

 こうした選手の近況がどの程度、日本代表のスタメンに影響を与えるのか。これは気になるところだ。今までの序列はキープされ、2次予選前の“復習”という色合いの試合になるのか。あるいは新たな序列を組み込んで作り直す、“再出発”の試合になるのか。士別れて1年なれば、更に刮目して相待すべし――。ここは注目ポイントだ。
 

 気になるポイントの2つめは、今後のA代表の活動指針だ。

 10月だけでなく、11月も欧州で強化試合を組み、その間、森保監督とスタッフがそのまま欧州に残って視察を続けるプランも出ているようだ。その方針はコロナ禍にかかわらず、今後も続けたほうがいいのではないか。

 つまり、すでにA代表の主軸大半は欧州組なのだから、A代表の監督とスタッフは欧州で仕事をすればいいのだ。都度、日本に帰ってくる必要はない。欧州に居たほうが、主軸選手とコミュニケーションを取りやすいし、練習を視察できる時間も増える。怪我の状態だって直接チェックできるし、メリットは多い。

 Jリーグの視察は他のスタッフに任せたり、あるいは日本国内で代表の試合を行なう時は、選手より前に帰国して準備を整えたりすればいい。欧州を軸とした新しい代表様式として、欧州拠点のA代表監督が根付いてもいいと思う。

 また副次的だが、栄枯盛衰の激しい欧州サッカーの生の情報に、日本代表監督がタッチしやすい環境を作ることも大事だ。勤勉なJリーグの指導者は、シーズンオフに欧州クラブを視察して様々な学びを得て来るが、海外チームと戦うことが前提である代表監督こそ、そうした国際的環境に、日頃から身を置くほうがよいのではないか。

 JFAの関係者は、欧州サッカーで仕事をした経験のある指導者やクラブスタッフが日本へ帰国すると、その人と連絡を取り、精力的に知見を得ようとしている。だが、そうした知見が新しい知識であるのは最初の1年程度で、数年経てば、それは一昔前の知識に劣化してしまう。生の情報に触れ続けるのは大事なことで、A代表の監督とそのスタッフこそ、最先端の場所に居を構えたほうがいい。この欧州遠征が、新しい代表監督様式を定着させるきっかけになればいいと思う。
 

 3つめの注目ポイントは、久しぶりの代表戦で、果たしてどれだけのファンが戻ってくるかだ。

 例えばコロナ禍で集客力が激減した飲食業界でも、近ごろは客足が戻りつつあるが、それでも一度失った顧客の2〜3割は戻って来ない、元通りにはならない、という試算を時折見かける。サッカーも状況は同じだ。無いことが当たり前になり、別の愉しみを見つけてしまえば、その人はサッカーに戻って来ない。

 今回は地上波でサッカーを見られる貴重な機会だが、そうした不安は視聴率やSNSの反応等にどう現われるのか。一般層にサッカーを思い出してもらう意味でも、今回は大切な代表戦になる。

文●清水英斗(サッカーライター)

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