フランス代表ジルーが100キャップ&“プラティニ超え”を達成!2部から這い上がった男の快挙をデシャン監督も絶賛【現地発】

フランス代表ジルーが100キャップ&“プラティニ超え”を達成!2部から這い上がった男の快挙をデシャン監督も絶賛【現地発】

プラティニに並ぶ得点を決め、妻と生れてくる子供にゴールを捧げるジルー。(C)Getty Images



 フランスがウクライナを7−1で粉砕した10月7日、オリビエ・ジルーは特別な夜を味わった。フランス人も今回ばかりは彼を心から讃えている。

 この特別な夜を、ディディエ・デシャン監督は最初から"お膳立て"していた。ジルーはこの日、フランス代表で記念すべき100試合目をプレーすることになっていたからだ。

 フランス代表におけるキャップ数の最多記録はリリアン・テュラムの142。次いでティエリ・アンリ(123)、マルセル・デサイー(116)、ユーゴ・ロリス(同)、ジネディーヌ・ジダン(108)、パトリック・ヴィエラ(107)、ディディエ・デシャン(103)と続く。何とも錚々たる顔ぶれである。そこにジルーが8位で仲間入りするのだから、半端ではない。

 そこでデシャン監督は、ジルーに初めてキャプテンマークを手渡した。無言の、だが最大級の、祝賀の意味がこめられていたと言える。もちろん激励も、だ。

 そしてジルーはそれに応えた。24分、見事なトラップから左足を振り抜き、豪快なミドルシュートをネットに突き刺したのだ。実にストライカーらしい一撃だった。
 
 この瞬間のデシャン監督の反応がまた凄かった。破顔して両腕を天に突き上げ、ガッツポーズを見せたのである。ジルーも指揮官に向かって威勢よくガッツポーズを送り返し、次いでボールをお腹に入れた。

 実はこれには深い意味があった。妻が第4子を妊娠中で、11月に出産する予定のため、“妊娠セレブレーション”で家族と生まれてくる子にゴールを捧げたのだ。しかもこれはジルーの代表通算41ゴール目。あのレジェンド、ミッシェル・プラティニと並んだ瞬間でもあった。

 ジルーの活躍は終わらなかった。33分、今度は“ペナルティー・エリアのキツネ”に変身すると、相手キーパーが弾き返したこぼれ球にダイブで頭から突っ込んだ。これで代表通算42ゴール目。何と一晩でプラティニを抜いてしまったのである。

 こうしてジルーは、フランス代表という煌びやかな場で、レジェンドたちをごぼう抜きしながらゴール数で歴代2位に躍り出た。51ゴールで歴代1位に君臨するアンリとは9ゴール差である。

【動画】 デシャン監督も称賛!ウクライナ戦でジルーが決めた圧巻のミドル弾はこちら

 そんなジルーにデシャン監督は試合後、「最初のゴールはファンタスティックだった。オリビエを思ってとても嬉しかった。彼はフランス代表にとって非常に重要だ。2012年から私と一緒に冒険に乗り出してくれた選手の一人でもある。彼は常にこういう強いメンタリティーをもっている。彼にブラボーだ。だからこそキャプテンマークも授けたのだ」と語り、笑顔がなかなか消えなかった。

 2011年11月のアメリカ戦で代表デビューを果たしたジルーは、翌2012年8月にデシャン監督が就任してから、すでに91キャップを刻んでいる。

 国内ではセックステープ事件(ベンゼマがヴァルビュエナ脅迫に関与した容疑で捜査対象となり、結果的に代表から外された)のとばっちりで、ベンゼマの支持者から「ポジションを奪った」と逆恨みされ、イングランドではクラブシーンの苦戦で馬鹿にされた。おそらく容姿でジェラシーも買っているはずだ。

 フランスには、両手でハートをつくったジルーの映像に「キャアー! ジルーがハートマークを送っていますー!」と男性の絶叫解説を入れた皮肉なテレビCMさえあり、笑いをとっているほどだ(他選手バージョンもあり、ジルーだけではない)。
 
 だが、何度滑り落ちそうになっても這い上がり、その度にフランス代表の勝利に貢献してきた。

 そんなジルーにテレビジャーナリストのカリーヌ・ガリ女史は、「昨日もみんなで、『忘れられないジルーのゴールは?と聞かれると、とくに思い出せない』と笑っていたけど、今夜の最初のゴールは本物のストライカー・ゴールだったわ。これがジルーのゴールとして記憶に残ると思う」と素直に讃えた。

 ジルー本人はと言えば、「特別な日だった。フレンドリーマッチではあったけど、代表100キャップを主将として戦って、2ゴールも決めて、チームの勝利に貢献できたから、やっぱり嬉しいよ」と照れ気味だった。

 また「アンリの記録に挑戦するか」との問いには、「目標はもたなくちゃいけないし、13試合で10ゴールを決めたこともあるから、確かにそうしたいけど、まあ、45か46ゴール目になったら考えるよ」と密かな決意を滲ませた。

 育成されたグルノーブルで認められず、リーグ・ドゥ(2部)のクラブで再出発した若手時代から、ジルーは常に、落とされても、落とされても這い上がってきた。来年はEUROがあり、再来年はワールドカップもある。彼はどこまでいけるだろうか。

 34歳となっても、ジルーのレ・ブルーでの挑戦は続く。

取材・文●結城麻里
text by Marie YUUKI

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