バルサは買い物下手、それ以上に売るのも下手。上層部は自画自賛も、クーマン監督は憤慨【現地発】

バルサは買い物下手、それ以上に売るのも下手。上層部は自画自賛も、クーマン監督は憤慨【現地発】

(左から)ビダル、スアレス、(右端奥の)ラキティッチらこれまでチームを支えてきた主力がバルサを去った。(C) Getty Images



「コロナショックを考慮すれば、ラ・リーガ3強の中で、われわれがもっとも有意義な移籍マーケットの期間を過ごした。他のクラブが一体どんな補強と売却を行なったというんだ?(ロナルド・クーマン)監督が望まなかったベテランの選手たちを放出し、7000万ユーロ(約87億円)以上の人件費を削減することができた」

 今月5日に移籍市場がクローズし、バルセロナの上層部は同期間中に自分たちが挙げた成果についてこう自画自賛するが、その中身に目を向ければ、かなり苦しい弁明にも聞こえる。

 何しろラフィーニャ(現パリ・サンジェルマン)、イバン・ラキティッチ(現セビージャ)、アルトゥーロ・ビダル(現インテル)、ルイス・スアレス(現アトレティコ・マドリー)の放出、そしてジャン=クレア・トディボ(現ベンフィカ)のレンタル移籍で手にした金額を全て足しても、Bチームの新戦力、グスタボ・マイアの獲得に費やした移籍金450万ユーロ(約5億6250万円)にすら満たないのだ。

 当のクーマン監督も、自らリクエストしたメンフィス・デパイとエリック・ガルシアの獲得交渉が不調に終わったことを耳にした際には、憤りを隠さなかったという。

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 クラブは最後まで抵抗を示した。しかしその移籍期限最終日の5日22時過ぎにデパイの所属クラブ、リヨンに対し、要求額の2000万ユーロ(約25億円)を用意できない旨を通知。エリック・ガルシアについても、その約1時間後に1000万ユーロ(約12億5000万円)+インセンティブ500万ユーロ(約6億2500万円)の最終オファーを出したが、相手クラブ、マンチェスター・シティのSD、チキ・ベギリスタインは当初の2000万ユーロのラインを譲ることはなかった。

「(年が明ける)14週間後に交渉が解禁となる選手に対して払う額ではない」と、バルサの上層部は強がるが、高給取りでポジションが重なるサミュエル・ウンティティの受け入れ先を探し当てることができていれば、状況は異なっていたはずだ。

 そのほか最終日の動きとしては、同じくCBで、構想外組の1人のトディボをレンタル料200万ユーロ(約2億5000万円)で2シーズンの期限付き移籍でベンフィカに放出。そして1600万ユーロ(約20億円)の収入を見込んでいたラフィーニャは、最終日になっても買い手が見つからず、パリSGに無償で引き渡すことになった。そう、近年、マルコ・ヴェラッティ、アドリアン・ラビオ、アンヘル・ディ・マリア、チアゴ・シウバ、マルキーニョス、そしてネイマールと所属する選手の獲得に興味を示し交渉を持ちかけても、ことごとく門前払いを受け続けた因縁浅からぬ相手に、である。

 バルサの上層部がその舞台裏を明かす。
 

「(SDの)レオナルドから当日の朝に電話で獲得の申し入れがあった。FFP(ファイナンシャル・フェアプレー)に抵触しないために無償が条件だった。クーマンはかねてから必要な選手ではないと意見していたし、ラフィーニャからも(パリSGへの)移籍を容認してほしいと懇願された。国内のクラブでは(昨シーズン、所属した)セルタからもオファーがあったが、条件はパリSGよりも悪かった」

 CLの出場権獲得に応じたインセンティブが300万ユーロ(約3億7500万円)、さらに将来売却される際に、35%の収入を得るという条項が盛り込まれているが、今現在このラフィーニャの放出でバルサに計上される売上額はゼロだ。

 昨シーズンのCLバイエルン戦で2-8という歴史的大敗を喫した直後に、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は「われわれは決断を下す必要がある」と発言した。しかし結局のところ、その決断とは、高年俸のベテラン選手たちを整理することにあったことが移籍マーケットを経て図らずも明らかとなっている。

「われわれの目的は売り上げ記録を樹立することではない。タイトル獲得のレコードを更新できるチームを作ることだ。補強ターゲットは旬を迎えている選手であり、売りに出すのは機が熟した時に限られる」

 今から約10年前に前出のベギリスタインはバルサのSD時代にこう胸を張って語っていたが、隔世の感すらある。
 
 もちろんパンデミックの影響があったのは間違いない。事実、昨年までは選手の売却資金を除き6000万〜7000万ユーロ(約75〜88億円)が補強予算として計上されていたが、今年は早い段階でエリック・アビダル(前SD、昨シーズン終了後に退団)とラモン・プラネス(アビダルの退任に伴いSDに昇格)に対し、選手売却で資金を捻出しない限りは、補強費を工面することができないと釘を刺されていたという。

 しかしながら、バルサが過去6シーズンにマーケットに投下した総額は10億7985万ユーロ(約1350億円)に達する一方で、選手放出による売却益は7億2275万ユーロ(約903億円)に留まる。しかもその間、獲得した選手の中で昨シーズン、レギュラーとしてプレーしたのはクレマン・ラングレ、アントワーヌ・グリエーズマン、フレンキー・デヨングの3人のみ。準レギュラーと呼べるのもいずれもこのオフ、退団したアルトゥーロ・ビダルとネウソン・セメド(現ウォルバーハンプトン)くらいだ。

 いくら本人たちが美辞麗句を並べてもこの買い物下手、さらにそれを上回る売り下手がバルサをあらゆる面で弱体化させたのは紛れもない事実である。

文●ジョルディ・キシャーノ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。

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