カメルーン戦で浮き彫りになった30代ベテラン勢の必要性。カタールW杯まで彼らへの依存は続くのか?

カメルーン戦で浮き彫りになった30代ベテラン勢の必要性。カタールW杯まで彼らへの依存は続くのか?

長友は辞退となったが、日本代表でいまだ絶大な存在感を発揮する30代の選手たち。彼らに続く若手の奮闘も期待したい。写真:山崎賢人・金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)、龍フェルケル



「日本代表の1年ぶりの試合。選手たちが勝って日本に励ましのエールを送る、勝利を届ける気持ちで最後まで戦ってくれました」

 9日のカメルーン戦(ユトレヒト)。森保一監督はこう選手たちを労ったが、結果は悔しいスコアレスドローに終わった。

 慣れた4バックで戦ったはずの前半は思うようにプレスがかからず、守勢を強いられ、効果的な攻めの形を作れなかった。伊東純也(ヘンク)を投入して3バックに移行した後半は内容的に改善されたものの、決定機と言えるのは49分の大迫勇也(ブレーメン)と終了間際の久保建英(ビジャレアル)の直接FKくらい。「前の選手が結果を出すことができれば。単純ですけどそこに尽きる」と絶対的1トップの大迫も悔やんだが、約1年の空白期間を埋めるのは想像以上に難しいとチーム全員が痛感したのではないか。

 こうしたなか、特に奮闘が目立ったのは、キャプテン・吉田麻也(サンプドリア)、酒井宏樹(マルセイユ)ら守備陣だ。長友佑都(マルセイユ)不在の今回2連戦は「30代中心の最終ラインから脱皮できるか」がひとつの注目点だった。左サイドバック(SB)に抜擢された安西幸輝(ポルティモネンセ)も「自分にとっては大きなチャンス」と気合を入れていた。確かに武器の攻撃参加では幾つかの見せ場も作ったが、課題の守備面ではカメルーンに背後を狙われるなど不安定さも露呈。前半のみで下がることになってしまった。

 一方で、後半から酒井・吉田・冨安健洋(ボローニャ)が形成した3バックは、大きな安定感をもたらした。「宏樹はフランスでアフリカの選手と対峙することに慣れているし、僕も長く欧州でやってきて、いろんなタイプの選手と戦ってきた。冨安はその経験をしているところだけど、落ち着いて対応できた」とキャプテンも安堵感を吐露した。

 やはり欧州で多種多様な相手を封じてきた実績というのは、やすやすと得られるものではない。それは欧州3か国で10年超にわたってプレーし、日本代表で12年間レギュラーを張っている長友にしても同様だ。今回ベンチから見守った37歳の川島永嗣(ストラスブール)がここ一番で力を発揮できるのも、数々の苦境を乗り越えてきた自信があるからだろう。2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)でコーチを務めた手倉森誠監督(現長崎)も「『修羅場』って簡単に言うけど、そんなに簡単にはくぐれない」と強調していた。特に守備陣はそこが重要になる。冨安の目覚ましい成長はあるものの、やはり2年後の2022年カタールW杯までは30代を軸とした陣容は変わらないと見るしかなさそうだ。
 
 百戦錬磨の経験値がモノを言う後ろと違って、前線は勢いと数字でグングン成長できるポジションと言えるだろう。森保ジャパン発足後、重用されてきた南野拓実(リバプール)や堂安律(ビーレフェルト)らにはそうした面をカメルーン戦で見せてほしかった。しかし「いつもより攻撃の回数は少なかった」と南野も落胆。堂安もシュートゼロに終わった。鎌田や久保はドリブル突破でチャンスを作ったものの、得点に直結する仕事はできずじまい。個の力で敵を凌駕したのは伊東くらいで、全体に物足りなさが拭えなかった。

 まだ13日の次戦・コートジボワール戦が残されているものの、このまま停滞感が続けば「30代のベテランがいた方がいい」という論調になりかねない。実際、今回ケガで不参加となった岡崎慎司(ウエスカ)、乾貴士(エイバル)は所属クラブでコンスタントに活躍しているのだ。本田圭佑(ボタフォゴ)は現在ブラジルで出たり出なかったりで、香川真司も移籍問題で苦しんでいるが、ロシア大会後も「彼らが代表にいれば何か大仕事をしてくれるかもしれない」と期待させる凄みがあった。だからこそ、大迫は昨夏のインタビューで「確実に現時点ではロシアの時のチームの方が強いと言うのは断言できる。ただ、3年後にはあのレベル以上にならないとダメだと思う」と語気を強めたのだ。

 その後、コロナ禍による1年の空白期間が足かせになって、代表は進化の場を失った。20歳前後の世代はそれぞれクラブで経験を積み、少しずつ前に進んではいるが、目覚ましい数字や結果を残した人間は1人もいない。その成長スピードを一気に上げないと、2年後にロシア以上のレベルになるのは難しいかもしれない。

 2列目アタッカー陣は国内組にも三笘薫や旗手怜央(ともに川崎)、ボランチも田中碧(川崎)ら成長株がいるため、まだまだ若返りの可能性は残されているが、1トップに関しては依然として大迫依存が続いている。目下、ブレーメンで苦しんでいる彼に多くの責任を背負わせた状態は決していいとは言えない。次戦先発が確実視される鈴木武蔵(ベールスホット)には「30代FW陣はもう不要」と言わせるくらいの迫力と勢いを見せてもらいたいところだ。

 いずれにしても、守備陣とFW陣は30代ベテラン頼みの状態から抜け出す見通しがなかなか立たない森保ジャパン。風穴を開ける存在がひとりでも多く出てくることを祈りたい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

【日本代表PHOTO】カメルーン&コートジボワール戦招集メンバー25人

関連記事(外部サイト)