英国の熟練記者が森保ジャパンを斬る!「強力な守備がさらなる進化を促すだろう。正直言って久保には…」

英国の熟練記者が森保ジャパンを斬る!「強力な守備がさらなる進化を促すだろう。正直言って久保には…」

左サイドで先発した久保。コートジボワール戦では存在を誇示できなかった。(C)Getty Images



 今回もまた、実に見応えのあるフレンドリーマッチだった。

 日本もコートジボワールもよくボールを動かし、ハイテンポを維持しながら上手くバランスを保っていた。ピッチを広く使い、互いのカバーリングを怠らずに、攻守両面で致命的なミスはほぼなかったと言える。数日前、コートジボワールはベルギーを相手にドローを演じたという。それも納得の内容だった。たとえベルギーがメンバーを落としていたとしてもである。

 そんな拮抗したゲームでは、得てしてたったひとつのエラーが勝敗を分ける。ゲームの最終盤に日本の驚嘆すべきフィニッシュが生まれるのだ。柴崎岳と植田直通のコンビは長身揃いのコートジボワール守備陣をまんまとトラップにはめ、見事なクロスと見事なポジショニングからのヘッダーで決勝点をもぎ取った。とりわけ植田の動きは特筆に値する。おそらく彼らは鹿島アントラーズ時代にこのパターンを何度も練習していたに違いない。

 さて、今回の日本代表チームをどう評価しようか。ディフェンスは輝き、中盤は安定感があり、攻撃陣もまずまずの出来映えだった。将来的なことを考えれば、チームの基盤を厚くするうえであまりにも貴重な経験を積めた90分間だろう。守備があれだけの強度を誇れば、指揮官は攻撃においてさまざまなバリエーションを試せる。カメルーン戦と同じく、鉄壁の守備が特大の支えとなっているのがよく理解できたし、今後のさらなる進化を促していくはずだ。

 では、最終ラインから個別に見ていこう。

 先発を飾ったGK、シュミット・ダニエルは必要とされるプレーをしっかりと示した。セービング然り、フィード然りだ。吉田麻也と冨安健洋のCBコンビはこの日も出色の出来で、感服した。カメルーン戦を超える圧倒的な存在感を放ち、攻撃への繋ぎも完璧だったと付け加えたい。室屋成は右サイドで継続的な守備の貢献を見せ、70分に南野拓実のビッグチャンスをお膳立てするなど攻撃面でも積極的に関与した。

 今回は左サイドバックに入った中山雄大は、まるで中盤でプレーしているようにスムーズに振る舞い、チームが求める汎用性を体現してみせた。今回のツアーでもっとも大きな発見にして収穫と見なすべきタレントである。遠藤航と柴崎は、経験豊富でパワフルなコートジボワールのアタッカーに対して、ピンチの芽を摘み取る絶妙な働きを繰り返していた。

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 ひるがえって、攻撃面はまだまだ物足りなさが残ったか。ただこれはコートジボワールのアタッカー陣についても同じで、敵のディフェンスの質があれだけ高ければチャンスはそう容易く掴めない。日本のチャンスが乏しかったのは批判の対象ではなく、むしろ、ハイレベルな守備陣を向こうに回して価値ある経験を積んだ、と好意的に捉えるべきだろう。

 ポジティブなところでは、鎌田大地はこれまでの日本代表戦でベストのパフォーマンスを披露した。“サポーティング・ストライカー”として素晴らしい内容を示しただろう。プレッシャー下にあっても確かなボールコントロールを保ち、余裕を持ってプレーしていたように思う。先制点の絶好機は決めておくべきだったが、鎌田のフィジカルは、コートジボワールの屈強な守備陣を相手にしてもかなり効き目のあるパンチになっていたように感じる。

 鈴木武蔵は身体を張ってボールを収めようと懸命に戦ったが、それでもやや動きが硬かったし、まだ大迫勇也とは比べられない。コートジボワール戦は彼に不向きな展開で、もっとスペースがある場所でこそ光り輝くタイプだ。とはいえ、重要なスカッド・プレーヤーである点に変わりはない。

 今回も右ウイングの位置で存分に魅せてくれたのが伊東純也だ。森保一監督は伊東のスピードか、堂安律のテクニックかで嬉しい悩みを抱えていることだろう。堂安は確かに周囲と絡みながらバリエーション豊かなプレーを披露するが、伊東はそうした事象を超越する図抜けたスピードを有する。クロスボールの精度も高く、今回の2連戦で敵ディフェンスの脅威であり続けた。

 正直言って、久保建英には若さが垣間見えた。前回のカメルーン戦より落ち着いていたし、30分過ぎには良質なクロスも供給した。ボールスキルはコートジボワールの選手を相手にしても1対1で凌駕していたと思う。だがその一方で、チームメイトの動きを読み切れない場面が多く、不必要なファウルも多かった。



 日本の攻撃は南野がピッチに登場してから改善され、原口元気がウイングに配されてからはいっそうペースアップした。やはりスピードとフィジカルパワーが発揮できるとチャンスも巡ってくる。南野は途中出場だったが、しっかりと違いを生み出していた。みるみると当たりに強くなっているが、そこはやはりリバプールで日々揉まれているがゆえだろう。

 そして最後に、植田だ。守備固めのために投入され、出場時間はわずかだったが、(採点は)フルマークを与えていいだろう。勝利に貢献した点に最大限の価値がある。誰も予想だにしなかった驚愕のエンディングを提供してくれたのだから。

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著者プロフィール
マイケル・プラストウ/1959年、英国のサセックス州出身。80年に初来日。91年に英国の老舗サッカー専門誌『ワールドサッカー』の日本担当となり、現在に至る。日本代表やJリーグのみならず、アジアカップやACLも精力的に取材し、アジアを幅広くカバー。常に第一線で活躍してきた名物記者だ。ケンブリッジ大学卒。

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