久保建英“冷遇”の真意は? 渦中のエメリ監督に直撃!「タケにはカガワらを超える才能がある。だが…」【独占インタビュー】

ビジャレアル・久保建英について、監督は「周囲が早急に結果を求めすぎている」と発言

記事まとめ

  • ビジャレアル・久保建英を冷遇しているとウナイ・エメリ監督が批判されている
  • エメリ監督は取材を受け「周囲が段階を踏まずに早急に結果を求めすぎている」と答えた
  • エメリ監督は「ピッチ上ではまだスター選手にはなっていない」とも話している

久保建英“冷遇”の真意は? 渦中のエメリ監督に直撃!「タケにはカガワらを超える才能がある。だが…」【独占インタビュー】

久保建英“冷遇”の真意は? 渦中のエメリ監督に直撃!「タケにはカガワらを超える才能がある。だが…」【独占インタビュー】

エメリ監督(左)が久保についての本音を語ってくれた。(C) Getty Images



 喧騒やスポットライトとはかけ離れたところに位置し、平穏なクラブとして名高いビジャレアルがここ数週間、メディアの主役になっている。焦点となっているのはタケ・クボ(久保建英)の起用を巡る論争だ。

 とりわけ批判のやり玉に挙げられているのがラ・リーガ開幕5試合を経過して一度もスタメンに起用していないウナイ・エメリ監督だ。パリ・サンジェルマン時代にはキリアン・エムバペ、ネイマールという2人のワールドクラックを共存させる難易度の高いミッションに取り組んだ指揮官であるが、まさかビジャレアルでこのような騒動に巻き込まれるとは考えていなかったに違いない。

 タケの待望論には大別して2つの種類がある。一つは出身国の日本から起こっているもの。タケが試合に出場して活躍することを望み、現地の動向を注視しているが、その大半はリスペクトを伴った声で、距離もあるため大きな反響を得るまでには至っていない。

 問題は首都マドリード発のもう一つのほうだ。マドリードは言うまでもなくタケのレンタル元であるレアル・マドリーのお膝元だ。何かにつけ誇張して報道する傾向のある彼らは今回の件でも持ち前のメディアパワーを発揮。「天下のマドリーが貸し出した近未来のスターを冷遇するとは何事か」という上から目線で、ビジャレアル、とりわけエメリに向けて批判キャンペーンを展開している。

 なかには、このまま出場機会に恵まれない状況が続くようなら、シーズン途中でのレンタル移籍の打ち切りという法的に根拠のない話を持ち出すところもあるほどだ。もちろん全てとは言わないがヒステリックな論調も少なくなく、そのスタンスからはビジャレアル、エメリ、そしてビジャレアルの選手たちへのリスペクトが明らかに欠如している。
 
 折しもいまはインターナショナルウィークで、ラ・リーガは一時中断しており、タケを巡るニュースはその隙間を埋めるための格好のネタになっている。しかし言うまでもなくこのような外部からの圧力はタケにとって何の得にもならない。サッカー選手の本分はあくまでピッチ上で活躍を見せることであり、それ以外のところで話題になることは彼自身にとっても本意ではないはずだ。

 とはいえ、そんな周囲の喧騒をよそに、ビジャレアルの首脳陣の間でタケが重要な選手になるという確信は揺らいでおらず、その中心にいるのはもちろん育成プランを練りながら日々の指導に当たる監督のエメリだ。

 このたび「サッカーダイジェストWeb」は、渦中の指揮官にインタビューを行なった。エメリ監督はその中でタケへの厚い信頼感を示すと同時に、一段ずつ階段を駆け上がることの重要性を強調。マドリーでプレーするという将来の目標を達成するためにも、このビジャレアルでの挑戦に全力を注ぎ込み、成果を挙げてもらいたいと愛情に満ちたエールを送った。では、その一部始終をお届けしよう。

【動画】ポルトガル代表DFを翻弄!久保建英が披露した圧巻のドリブル突破はこちら
 

――タケの今の状況を監督としてどのように見ていますか?

「タケをどう成長させるか。これは本人の挑戦であると同時に、われわれビジャレアル関係者、そしてマドリーにとって重要なテーマだ。タケの挑戦とは、日本サッカーの歴史に名を刻む選手になることだろう。さらに日本サッカーの顔となり、将来への道しるべになることであるはずだ。

 過去にも多くの偉大な日本人選手がヨーロッパで成功を収めてきた。ドルトムントの香川(真司)、シャルケの内田(篤人)、マルセイユの酒井(宏樹)、インテルの長友(佑都)、レスターの岡崎(慎司)などがその代表格だ。ただ、まだトップレベルで活躍を見せた選手はいない。

 日本はサッカー熱の高い国だ。そんななかで国民は、ヨーロッパ最高峰のクラブで活躍する日本人選手の出現を待ち望んでいる。そこに到達し、足跡を残せる選手をね。そこに現れたのがタケだ。彼にはもちろんそのポテンシャルがある。ただまだ19歳の選手だ。周囲の人間は段階を踏まずに早急に結果を求めすぎているように感じる。それはタケにとって何のプラスにもならない」
 
――いまタケはどの段階にいるのでしょうか?

「プレシーズンの時点で、タケにはチームへの適応には一定のプロセスが必要であることを説明している。とくに当時はなかなかエンジンがかからない様子だったからね。そもそも入団する前の段階で直接話をした時に、2列目の3つのポジションで起用するというこちらの構想を伝えた。それが将来のためになるともね。

 現状右サイドがもっともハイレベルなパフォーマンスを見せるポジションだ。ただその7番はすでに他の選手によってカバーされ、入り込む余地は限られている。だから出場機会を得るには、10番(中央)や11番(左サイド)でもプレーできるところを示せるように成長していかないといけない。実際、そういった考えもあって実際の試合でも起用しているんだ。

 タケが中央でプレーできるようになることでチームにもメリットがもたらされる。いまチームとしてその課題に取り組んでいるところで、良くはなってきたけど、まだ右サイドでプレーしている時のような揺るぎない自信というものは感じられない。

 左サイドはもっとも不得手にしているポジションで、まだ適応の段階にある。ただ繰り返すが、そうしたプロセスを経ることで選手は成長を重ねていくものなんだ。タケも現在の状況を乗り越えることで重要な選手になると確信している」
 

――タケを巡るメディアの報道が過熱する一方ですが、この状況を理解できますか?

「タケのプレーを見たい、楽しみたい、タケを取り巻く周囲の期待の高さというものは理解できるよ。すでに彼はスター選手だからね。もっともそれはあくまでピッチ外でのことで、ピッチ上ではまだそのような存在にはなっていない。それにそういったステータスはプロセスを経て手にしていく類のものであり、焦らず急がす一つずつクリアしていけばいい。

 タケとはよく話をしている。わたしが彼に何を求め、何を期待しているのかをね。タケが周囲の望むような選手に成長することは、われわれ全員の責任でもある。ただ同時にわたしにはその時期を見極める責任もある。チームの中心的な役割を託せるというタイミングをね。タケが日々責任を持って取り組んでいけば、その時は来る。重要なのは急がないことだ」

――タケはどんな様子ですか? 平静さを保っていますか?

「タケの取り組みぶりにはとても満足している。いま何をやらなければならないかを明確にイメージしながら、自分のやることに集中している。周囲の喧騒に影響されている様子は感じられない。それはわたしも同様だ。タケは将来性豊かな選手だ。彼には多くの人間の期待が注がれている」
 
――タケがビジャレアルへの移籍を決意する前に直接話をされたということですが、具体的にどのような内容だったのでしょうか?

「ビジャレアルに来れば、また一つ成長することができる。それが結果的に所属クラブのレアル・マドリーでプレーするという目標に近づくことができると伝えた。今はそのプロセスの最中にある。スタメンを確約することはしなかった。

 ただ、結果を出せばそれに見合った出場機会を与える、同時にそのためには熾烈な競争を勝ち抜く必要があることも強調した。右サイドでプレーするには、(サムエル)チュクウェゼと争う必要があるという具体的なことも含めてね。だから出番を得るには中央や左サイドでプレーさせることも選択肢として考えていることも話した」
 

――タケは将来、スター選手になれると考えていますか?

「タケは人間的にとても成熟している。常に落ち着いていて、自分の考えというものを明確に持っている。向上心が強く、われわれのアドバイスにも耳を傾けながら、いまやるべきことに全力で取り組んでいる。映像も活用しながら、われわれスタッフ全員で個別での指導にも当たっている。先週にもニ度にわたって個人面談を行なったばかりだ。

 タケは練習熱心だし、自分のことに集中している。本人にもよく言っているんだ。我慢強くありなさい。ビジャレアルへの移籍は大きなキャリアアップであり、この階段を登りきることはそれだけの困難が伴う。だから時期が来たら、駆け上がっていけばいいんだとね。

 それにこの階段を登り遂げたとしても、次にはもっと難易度の高い階段が待ち受けている。タケが辿ろうとしているのは決して容易な道ではないんだ。だからこそ、そのための準備を積み重ねていく必要がある。そしてそれをいまわれわれは全員で取り組んでいるところなんだ」

インタビュアー●ハビエル・マタ(アス紙ビジャレアル番)
翻訳●下村正幸
 

関連記事(外部サイト)