ボランチは川崎勢ら多士済々、選手層の薄い左SBに2人の左利き――注目すべき国内の「A代表予備軍」【守備編】

ボランチは川崎勢ら多士済々、選手層の薄い左SBに2人の左利き――注目すべき国内の「A代表予備軍」【守備編】

今季のJリーグで活躍を見せる選手たち。左上から時計回りに、山口(神戸)、田中(川崎)、山中(浦和)、昌子(G大阪)。写真:サッカーダイジェスト



 約1年ぶりの日本代表活動となった9日のカメルーン戦と13日のコートジボワール戦(ともにユトレヒト)が無事に終わった。

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 初戦は2019年の公式戦を戦ったメンバーを軸に挑み、スコアレスドロー。守備面では前半プレスがハマらず、苦しみながらも最終ラインの奮闘もあって零封。攻撃面は後半から3バックへシフトによって活性化したものの、全体に物足りなさが感じられた。

 2戦目は攻守両面で改善。最終的には植田直通(セルクル・ブルージュ)の劇的決勝弾で勝利。チームとして力強い一歩を踏み出した。ただ、このまま2022年カタール・ワールドカップ出場、本大会ベスト8という目標を達成できる保証ない。この先も継続的に前進し続けなければならないことを森保一監督も選手たちも再認識する好機になったと言える。

 こうした中、まず守備陣を見ていくと、GKは権田修一(ポルティモネンセ)とシュミット・ダニエル(シントトロイデン)が各試合に出場。無難なプレーを見せた。ベテラン・川島永嗣(ストラスブール)は出番なしに終わったが、森保一監督も3人の現状はしっかりと確認したはずだ。ただ、GK陣は若い世代の台頭が著しく、欧州に小久保ブライアン玲央(ベンフィカ)や山口瑠伊(レクレアティーボ・ウェルバ)、国内にも沖悠哉(鹿島)や大迫敬介(広島)ら成長株がいる。彼ら若手をどのタイミングで思い切って抜擢するのかが気になるところだ。

 センターバック(CB)は吉田麻也(サンプドリア)、冨安健洋(ボローニャ)の鉄壁コンビが2戦続けて大きな存在感を示した。植田も「2人はミスも少ないし、安定してきている」と絶賛したが、彼らだけがいればいいわけではない。2戦目のラスト数分間だけピッチに立った植田、出番なしに終わった板倉滉(フローニンヘン)はさらなる飛躍が求められてくる。

 加えて言うと、CBは国内組の発掘も進めていくべき。というのも、国内には今春Jリーグに復帰した昌子源(G大阪)、森保ジャパンで招集回数の多い三浦弦太(G大阪)や畠中槙之輔(横浜)、伸び盛りの渡辺剛(FC東京)、中谷進之介(名古屋)らが控えているからだ。

 特に2018年ロシア・ワールドカップ16強経験者の昌子は8月の本格復帰後、12試合に出場し、持ち前の統率力を遺憾なく発揮している。「パスの感覚だったり、相手のアプローチがすごく速く感じたりする。前は瞬時に一番いい判断がもっとできていた」と本人は復活途上にあると話すが、感覚が戻れば世界レベルでも十分やれる選手。11月にコロナの入国制限が緩和されれば、Jリーグ組も欧州遠征に参加できるかもしれない。昌子らが加わったサバイバルをぜひ見てみたい。
 

 サイドバック(SB)は右の酒井宏樹(マルセイユ)と室屋成(ハノーファー)が落ち着きある仕事を披露。若い菅原由勢(AZ)も左ウイングバックで初キャップを踏むなど、人材は充実しつつある。しかし、長友佑都(マルセイユ)不在だった左SBの方はバックアップ筆頭だった安西幸輝(ポルティモネンセ)が守備面での脆さを垣間見せた。2戦目では守備のマルチ選手であるレフティの中山雄太(ズウォーレ)が左SBもこなせる器用さを示したのは朗報だったが、彼も所属クラブでこの位置を突き詰めているわけではない。やはりまだ人材が薄いと言わざるを得ないだろう。

 そこで国内組が浮上するところだが、左SBはJリーグ組も適当な人材を抜擢しづらい状況だ。今季奮闘中の登里享平(川崎)は30歳前後で若返りという意味では難があるし、国際経験豊富な酒井高徳(神戸)はA代表から一線を引いている。東京五輪世代の杉岡大暉(鹿島)はチームで出番を得ておらず、菅大輝(札幌)はウイングバックが最適な人材。4枚も3枚もこなせる人材はなかなか見つからないのだ。

 敢えて抜擢するとすれば、今季鹿島で評価を挙げている永戸勝也、浦和レッズで光っている山中亮輔あたりだろうか。2人とも左利きのSBで長友や安西にない魅力を持っている。永戸は年代別代表経験が皆無の選手だが、最近の躍進ぶりは著しい。一方の山中はFKというスペシャルな武器を持つ。課題の守備に関しても今季の浦和ではかなりの改善を見せている。最近3試合はスタメン落ちしているのが気がかりだが、復調すれば可能性はありそうだ。
 

 ボランチに関しては柴崎岳(レガネス)、中山雄太、遠藤航(シュツットガルト)が2連戦に出場。中山が大きく株を上げたのが収穫だった。ただ、橋本拳人(ロストフ)が招集外になったこともあり、今回の3人で確定とは言い切れない。

 国内組に目を向けても、ロシア組の大島僚太、東京世代の田中碧(ともに川崎)という逸材がいるし、FC東京の安部柊斗、北海道コンサドーレ札幌の田中駿汰のような大卒新戦力も出てきている。G大阪の井手口陽介、鹿島の三竿健斗、神戸の山口蛍といった代表経験者たちも好パフォーマンスを見せており、虎視眈々と代表復帰を狙っている。彼らも日の丸をつけて戦えるだけの実績・能力を兼ね備えているだけに、11月以降の候補者に入ってくるはず。2021年3月以降の予選再開に向けて、人材は多ければ多いほどいいのが森保監督の本音だろう。

 とはいえ、このコロナ禍では国内組と海外組をすぐさま融合させる機会を作るのは容易ではない。11月もメキシコ戦は決まったが、国内組も呼べるかは不透明な情勢だ。だからこそ、インターナショナルマッチデー(IMD)に国内組だけの合宿を別途実施するのも一案ではないだろうか。ロシアで西野ジャパンのコーチを務めたV・ファーレン長崎の手倉森誠監督も同様の提言をしている。10月2連戦はA代表・東京五輪代表スタッフ全員がオランダに赴いたが、次回は半々に分かれて活動してもいい。そういう形で国内組の底上げを図ることも考えてほしい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)
 

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