浦和L、なでしこリーグ首位独走の秘訣は? 指揮官が植え付けた「考える習慣」が生み出した力

浦和L、なでしこリーグ首位独走の秘訣は? 指揮官が植え付けた「考える習慣」が生み出した力

浦和Lは現在勝点34で堂々の首位。エースの菅澤優衣香も16ゴールで得点ランク首位に立つ。写真:徳原隆元



 今年、浦和レッズレディース(以下・浦和L)は強くて面白い。

 リーグ戦11勝1分2敗 勝点「34」。2位のINAC神戸レオネッサに勝点「8」差をつけ、首位を走っている。

 2-1で勝った前節マイナビベガルタ仙台レディース戦。前半は相手にボールをほぼ渡さない圧巻の出来だった。

 長短のパスを織り交ぜたポゼッションサッカーをベースにイレブンは状況を見ながら、右サイドが左に。ボランチが前線に。FWが中盤にと前後左右と流動的にポジションチェンジを繰り返した。

 かといって組織に隙を生じさせることなく、良い距離感と絶妙なポジショニングで攻守の秩序を保った。

 またボールを奪われても数人で囲んで奪い返すと素早く攻撃に転じ、思い切りの良い判断からのプレーも光った。スタメン11人、いやベンチメンバーを含めた18人しか分からない世界がそこにあった。

 古巣相手に1ゴール・1アシストのDF佐々木繭は「個々の力があって、そのうえで助け合えているため、チーム力が上がっている」と強さの理由を話す。

 昨年、クラブとして掲げたチームコンセプト。
『個の能力を最大限に発揮する』
『前向き、積極的、情熱的なプレーをすること』
『攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをすること』

 これらがいまの浦和Lで今季、継続的に表現され、結果につながっている。

 その強くて面白いサッカーを築いたのが就任2年目 森栄次監督だ。指揮官が就任当時、まず選手に伝えたこと。それは「考える」ことだ。

 初陣となった昨季リーグ開幕戦のAC長野パルセイロ・レディース戦後、森監督は「こちらが“こうやりなさいよ”というばかりでなく、選手が考え、瞬間、瞬間に判断するプレーをさせたい。チームとしての道筋はつけるが、選手のアイデアを大事にしたい」と指針を示した。

 現役時代は読売クラブでプレー。引退後、東京ヴェルディのアカデミー、日テレ・メニーナで長年、指導した指揮官らしいアプローチだ。

 考えること――。それは自分自身のプレーを考えることにつながり、その考えをチームメイトに伝え、共有することにつながっていくもの。

 また自身のプレーを考えるキッカケのひとつとしてFW清家貴子を右サイドバックに、DF高橋はなをFWで起用し、思考を促した。
 

 経験豊富。テクニシャン揃いの浦和Lだが、それでも一朝一夕には結果につながらなかった。もともと地力のあるチーム。昨季もリーグで優勝争いを演じたが、日テレ、INAC神戸が立ちはだかり、またホーム最終節の伊賀FC戦では0-1で敗れ優勝を逃がすなど、ここぞという試合を落とす、勝負弱さがあった。

 悔しさを噛み締めて臨んだ今季。

 戦術の浸透とともに考えてプレーする習慣、そしてその延長線上として選手同士、ピッチ内外を問わず、自然と話す機会が多くなったという。

 MF塩越柚歩は「一つひとつのプレーの食い違いはなるべくすぐに話している。また監督からは『(選手間で)話すことが増えた』と言われており、無意識にできている」というように、こうした小さな積み重ねの効果か、昨季は相手の変化に対応しきれなかったが、今季は暗黙の共通意識が生まれ、ポジションにこだわらず、流動的なプレーができるようになった。

 安易に使われるコミュニケーションという言葉の大事さが改めて分かる。

 就任会見の際に森監督が語った言葉が思い出される。
「浦和Lは頑張り、走り抜け、最後まで諦めないチーム。そうした長所を勝利に結び付けたい」

 リーグ戦は残り4試合。喜びの瞬間は刻々と近づいている。

取材・文●佐藤亮太(レッズプレス!!)

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