「重圧のなか期待を裏切らなかった」久保建英のEL初戦をスペイン人記者はどう見たのか?「エメリ監督は難しい立場に…」【現地発】

「重圧のなか期待を裏切らなかった」久保建英のEL初戦をスペイン人記者はどう見たのか?「エメリ監督は難しい立場に…」【現地発】

シワススポル戦で1ゴール・2アシストの活躍をみせた久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA



 タケ・クボ(久保建英)を巡る起用法について様々な論争が巻き起こっているのは繰り返しお伝えしている通りだ。

 ただ、当の本人からすれば、より多くの出場機会を与えられるという希望は持っていただろうが、入団当初から定位置を勝ち取ることが難しいことは十分に覚悟していたはずだ。さらにラ・リーガと並行して行われるヨーロッパリーグの開幕が自分をアピールするための絶好の機会になることも頭に入っていたことだろう。

 しかし、周りがそれを許さなかった。ベンチを温める機会が増えるにつれレアル・マドリー寄りのメディアを中心に待望論が高まり、それは自ずとタケに対する重圧となっていった。

 そして迎えたヨーロッパリーグ初戦となるトルコのシウススポル戦。タケのプレーにはウナイ・エメリ監督、ビジャレアルのファン、われわれ記者、レアル・マドリーの取り巻き連中、そのお抱えメディア、そして母国日本人のファンと多くの人間が注目していた。

 すなわちタケは非常に難しい状況の中で、待望の試合に臨んだのだ。これは選手にとって、ましてや弱冠19歳の青年にとって決して簡単なことではない。過度な重圧に押しつぶされて、自分のプレーを発揮できない可能性は十分にあった。

 しかしタケは期待を裏切らなかった。1得点2アシストの活躍で、チームの勝利(5-3)に貢献。攻撃を牽引するだけでなく、守備でも奔走し、一つ一つのプレーに集中してピッチを駆け回り続けた。タケは改めて、その才能の高さとメンタルの強さを見せつけたのだ。

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 そのタケの活躍を真っ先に祝福したのが、騒動のもう1人の主役、エメリ監督だった。「タケの働きぶりは素晴らしかった。われわれが求めている役割をそのまま実行に移してくれた。ゴールやアシストを挙げただけでなく、守備面でもハードワークを欠かさなかった。われわれが要求していることをね」

 個人スタッツに目を向けると、タケは90分フル出場。1ゴール・2アシストの他に2度のボール奪取、4本の自チームに有利なシチュエーションを作るパス、1度のドリブル成功、3度のFKの獲得、39のパス総本数のうち成功率79.5%を記録した。

 ポジションは当初は左サイドハーフが有力視されていたが、4−2−3−1の2列目の中央でプレー。中盤と最前線を繋ぐ役割を担いながら、シュートやラストパスとフィニッシュにも積極的に顔を出し、先制ゴールも2点目のアシストもまさにそうした流れから生まれたプレーだった。また右サイドハーフに入ったサミュエル・チュクウェゼと息の合ったプレーを見せ、とりわけ開始20分は2人のコンビから相手守備陣を混乱に陥れた。
 

 後半に入ると、エメリ監督はシステムを4−3−3に変更。タケは前線の右サイドでプレーした。

 前半に比べれば攻撃に絡む頻度は減ったものの、守備面でそれを補って余りある貢献を披露。後半ビジャレアルにとって危険な存在になっていたマックス・グラデルが突破を仕掛けるたびに、同サイドのルベン・ペーニャを深い位置まで戻ってサポートし、それが前述のエメリ監督の賛辞にも繋がっている。

 タケは試合後、フラッシュインタビューでこう答えている。「チームが勝利できたことにとても満足している。初戦を白星で飾ることができた。簡単な試合にならないことは分かっていた。でもチーム全体でよく持ち堪えて、接戦を制することができた」

 自身のプレーについて問われると、「個人としても満足だ。チームを助けることができた。ここからさらに積み重ねていきたい」と意欲を見せた。

 最後に一連の騒動については「(起用法は)僕が決めることではない。決定権は監督にある。選手なら誰だってスタメンでプレーしたいし、それだけ競争は激しくなる。だからこそ、今日こうやって積み重ねることができて満足している」と語った。

本人が語るようにタケはこの日、アピールに成功した。これで難しい立場に立たされたのが監督のエメリだ。活躍に見合った出場機会をどう確保していくか、今度は指揮官が期待に応える番だ。

文●ハビエル・マタ(アス紙ビジャレアル番)
翻訳●下村正幸
 

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